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秋季特別展「尾張徳川家 名品のすべて」開催! 家康の遺産から近代の粋まで、90年の歴史が織りなす美と誇りの物語

イロハニアート

2025年秋、名古屋の地で日本の歴史と文化の深淵に触れる特別な展覧会が開催されます。 徳川美術館と蓬左文庫が共催する秋季特別展「尾張徳川家 名品のすべて」は、開館90周年を記念し、徳川家康の遺産から尾張徳川家が守り伝えた数々の名宝、そして近代以降に加わった文化財までを一堂に紹介する、まさに「名品の宝庫」とも言える展覧会です。 将軍家を支える「御三家筆頭」として、名古屋城を居城とした尾張徳川家。彼らがいかにして日本の美と知の結晶を守り、次世代へと繋いできたのか。この記事では、展覧会の見どころを深掘りし、その魅力をお伝えします。

家康からの贈り物:「駿府御分物」に秘められた天下人の美意識


重要文化財 紫地葵紋付葵の葉文辻ケ花染羽織 徳川家康着用 桃山・江戸時代16~17世紀 徳川美術館蔵(前期:9/13~10/13)

徳川家康がその生涯を終えた後、莫大な遺産は将軍家と尾張・紀伊・水戸の御三家に分け与えられました。尾張徳川家の初代・義直(家康の九男)が相続した「駿府御分物(すんぷおわけもの)」は、刀剣、書画、茶道具、衣服など多岐にわたり、その中には室町将軍家や織田信長、豊臣秀吉といった歴代の天下人が愛用した名宝も含まれています。

これらの品々は単なる財産ではなく、家康が天下統一の過程で集め、磨き上げた東洋美術の粋そのものです。天下人の美意識と権威を象徴する品々が、時を超えて現代に息づいている様は圧巻の一言。特に、重要文化財「紫地葵紋付葵の葉文辻ケ花染羽織」は家康が実際に着用したと伝わる逸品で、歴史の重みを感じさせます。

暮らしの中の一流品:「尾張徳川家伝来の大名道具」が語る格式


銀溜白糸威具足 徳川義直所用 江戸時代19世紀 徳川美術館蔵

江戸時代の大名家で代々受け継がれてきた美術工芸品を「大名道具」と称します。尾張徳川家には、武具甲冑はもちろんのこと、書画、茶道具、能道具、儀礼に用いる調度品など、格式にふさわしい最高級の品々が集められ、膨大なコレクションを形成しました。

将軍家に次ぐ家格を誇った尾張家の大名道具は、単に美しいだけでなく、尾張家の歴史、格式、そして文化的な教養を象徴しています。
例えば、勇壮な「銀溜白糸威具足(ぎんためしろいといおどしぐそく)」は、尾張義直所用と伝わり、武家の矜持を感じさせます。

重要文化財 長生殿蒔絵手箱 鎌倉時代13~14世紀 徳川美術館蔵
重要文化財 豊国祭礼図屛風 岩佐又兵衛筆 六曲一双の内 左隻 蜂須賀家伝来 江戸時代17世紀 徳川美術館蔵(後期:10/15~11/9)
重要文化財 花鳥七宝繋文密陀絵沈金御供飯 琉球16~17世紀 徳川美術館蔵

茶道具では、千利休の作と伝わる「千利休竹茶杓 銘 泪」は、その簡素な美しさの中に深い精神性を感じさせます。

千利休竹茶杓 銘 泪 大名物 古田織部・徳川家康ほか所用 桃山時代・16世紀(前期:9/13~10/13)

これらの品々を通して、当時の大名文化の豊かさと、そこに息づく東洋美術の奥深さを感じ取ることができるでしょう。

知の宝庫:日本屈指の大名文庫「御文庫」の系譜


張州雑志 内藤東甫編 百冊の内(部分)江戸時代18世紀 名古屋市蓬左文庫蔵

尾張藩の書物倉である「御文庫」は、家康から譲られた約3千点もの書物「駿河御譲本(するがおゆずりぼん)」を核として発展しました。歴代藩主の熱心な収集活動により、古地図や絵図なども加わり、幕末には約5万点もの蔵書を誇る日本有数の大名文庫へと成長しました。

明治維新の混乱を経て、一部は散逸したものの、残された蔵書に旧藩士の旧蔵書などが加わり、現在の「名古屋市蓬左文庫」へと受け継がれています。今日、蓬左文庫には14万点もの貴重な書物類が所蔵されており、尾張徳川家が守り伝えた「知の遺産」の大きさを物語っています。今回はその一部も展示され、古書の持つ独特の雰囲気と歴史的な価値に触れることができます。

未来へ託す文化:近代の購入品と寄贈品が紡ぐ新たな物語


重要文化財 黒織部筒茶碗 銘 冬枯 岡谷家寄贈 江戸時代17世紀 徳川美術館蔵

関東大震災や世界恐慌を機に、多くの旧大名家が大名道具を手放さざるを得ない状況に陥りました。この文化財散逸の危機に心を痛めたのが、尾張徳川家19代当主・徳川義親(よしちか)です。彼は、積極的に売立品を購入するとともに、尾張徳川家の大名道具を永く後世に伝えるため、徳川美術館の設立を決意します。

昭和10年(1935年)の開館後も、名古屋の豪商・岡谷家をはじめとする篤志家からの寄贈品が加わり、徳川美術館のコレクションは1万件を超える規模にまで成長しました。これは、単に歴史的な遺産を収集するだけでなく、日本の文化財を「国民の財産」「世界の財産」として未来へ託そうとした義親の先見的なビジョンと、多くの人々の文化への情熱が結実したものです。
本展では、これらの近代に加わった名品も紹介され、文化継承の新たな物語を感じられるでしょう。

徳川義親(1886~1976)

展示会概要


徳川美術館・蓬左文庫開館90周年記念 秋季特別展
尾張徳川家 名品のすべて

【会期】
2025年9月13日(土)~11月9日(日)
〔前期日程〕 9月13日(土)~10月13日(月祝)
〔後期日程〕 10月15日(水)~11月9日(日)

【開館時間】10:00~17:00(最終入館は16:30)

【休館日】月曜日
※月曜が祝日の場合は、翌火曜日に振替で休館いたします

【会場】徳川美術館名品コレクション展示室・徳川美術館本館展示室・名古屋市蓬左文庫展示室

【料金】※()内は前売・20名以上の団体料金
一般1,600円(1,400円)
高大生800円(700円)
小中生500円(400円)
※土曜日は高校生以下無料

チケット購入はこちら
※前売券は9/12までオンラインチケットサイトのみでのお取り扱いとなります。

【主催】徳川美術館・名古屋市蓬左文庫・中日新聞社・NHK名古屋放送局

■徳川美術館
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■PR TIMES

引用元:秋季特別展「尾張徳川家 名品のすべて」開催

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