被災者救出や炊き出しなど体験、四日市で市民総ぐるみ総合防災訓練
三重県四日市市の市民総ぐるみ総合防災訓練が9月29日、西村町の市立保々小学校などを会場に行われた。巨大地震を想定し、自宅からの避難、防災ヘリコプターやドローンを使った状況確認、被災者の救出、避難所の設営、炊き出しなどを地域住民と市、関係機関が一体となって体験した。
熊野灘を震源にマグニチュード8.7の巨大地震が発生し、四日市市では震度6強を観測、気象庁から大津波警報と南海トラフ地震臨時情報が発表された。市内では複数の家屋が倒壊し、火災も発生、ため池の一部が決壊して水が住宅地に流れ込む恐れがあるという大変な状況を想定し、水道などライフラインにも被害が出ているとした。
市の訓練は、2023年度から市内の防災組織を中、北、南、西の4ブロックに分けて実施しており、今年は北部ブロックの7地区(保々、下野、八郷、大矢知、羽津、富田、富洲原)が協力した。地区の住民約380人、市と防災関係機関の約300人の計700人近くが参加した。
午前8時に地震発生を知らせるサイレンが鳴り渡り、4時間近い訓練が行われた。自宅から会場に避難した住民は、安否確認を想定した受付を済ませ、訓練に参加した。校庭では、住民による土嚢づくりや消火器での初期消火、担架を使ってけが人を運ぶ訓練などが行われた。
担架を使ってけが人を運ぶ訓練をする住民参加者たち
体育館では、プライバシーに配慮したファミリーテントや簡易ベッドの組み立てを体験する避難所の設営訓練、校庭の一角では炊き出し訓練があり、約400人分のわかめごはんと豚汁を用意して参加住民らに配った。
炊き出し訓練で用意した食事を配る参加住民ら
市災害対策本部メンバーの訓練では、森智広市長ら市幹部や四日市西署、陸上自衛隊第33普通科連隊の代表者が参加し、ドローンの映像でコンビナートがある海浜地域までを見渡しながら被害情報を集約するやりとりをした。
家が倒壊した現場の、あおむけになった車やがれきをレッカー車などで撤去する訓練や、警察、消防、自衛隊が協力して倒壊家屋からけが人を救助する訓練が行われた。三岐鉄道の保々駅では、整備車両を使って運行時の緊急対応の訓練があり、保々中学校の体育館では、携帯電話会社、消防、自衛隊などの防災関連の展示もあった。
ファミリーテントや簡易ベッドの組み立てを体験する参加住民たち