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スイスでサステナブルな旅をしよう! 秋編① 秋にしか食べられない栗料理に出会う

さんたつ

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地球環境を守るためには何かを強いられたり、ガマンをしたり、そんなイメージがありませんか? でも「サステナブル」って意外とシンプル。地産地消だって、公共交通機関を使うことだって、環境意識の高い宿に泊まることだってサステナブル。そんなサステナブルなスイスの旅、秋編を5回にわけて案内します。今回の旅の舞台はスイス南西部に位置し、“アルプスの心臓部”ともいわれるヴァレー州。マッターホルンをはじめとした4000m級の名峰群、山間に延びる谷や氷河、山の斜面に続くブドウ畑など、幅広い景観が売りのエリアです。

スイス観光のベストシーズンは?

スイス観光のベストシーズンは一般的に春と冬。雪解けすぐの春、花畑を求めて多くの人たちがハイキングへと出かける。そして冬はスキーヤーたちで活気づく。日の長い夏にハイキングを楽しむ人もいるだろう。あれ? 秋は?

日本は紅葉でにぎわうシーズン。スイスにも秋はあり、紅葉だって見られる。ワインもおいしい季節だし、さらにこの時期だけしか食べられないグルメも。そんな期間限定の味を目指し、秋を待って出かける人もいるほど。秋のスイスって実は狙いめ?

ほくほくのカスタニエン(シャテーニュ)

土地の伝統の味を守り、食文化を伝えていくこともサステナブル。ということは、それを現地でいただくこともサステナブルにつながる。

秋だけしか食べられない、おいしいものってなんだろう。現地の人に聞いてみると「まずは『ブリゾレ』だよ」と。ブリゾレって?

特産品の焼き栗をメインに、山のチーズやブドウ、ドライビーフなどをあわせて食べるヴァレー州の秋の名物料理だ。

プレートに盛られたビジュアルにうっとり。スイスの焼き栗は、日本のものとは少し違うみたい。実の黄色、そしてほくほく感が強い気がする。栗=カスタニエン(ドイツ語)、シャテーニュ(フランス語)という名前の響きも新鮮。

焼き栗で口の中がまったりとしたところに、ワインに使われるシャスラという品種のブドウを頰張り、みずみずしい甘みを。そこに山のチーズやドライビーフで塩けを追加し、白ワインで締める。このおいしいループが止まらない……。

ワイナリーやレストランなどで提供されるので、「Brisolée」の文字を要チェック!

実りの秋、スイスにも栗がいっぱい。駅前などには焼き栗の屋台も出る。
『シャトー・ド・ヴィラ』のレストランで。5種のチーズに3種のドライビーフがセットに。
小皿に盛っていただきます!

シャトー・ド・ヴィラ

16世紀に建てられた貴族の館を利用し、ヴァレー州の郷土料理が味わえるレストランと地元の銘柄がずらっとそろうワインセンターになっている。ワイン博物館も併設。
●シエール駅から徒歩16分
https://www.myswitzerland.com/ja/experiences/chateau-de-villa/

栗まつりにも行かなくちゃ

1000年ほど前、ティチーノ州やグラウビュンデン州、ヴァレー州など温暖な中央スイス地方の一部には、豊かな栗の森が広がっていた。しかし南米からジャガイモやトウモロコシが入ってくると、手間のかかる栗は使われなくなり、次第に森も消えていく。

そうして一度は失われかけた栗の伝統だが、近年、ティチーノ州を中心にした保護運動により、かつてのような栗の森と食文化が蘇りつつある。

ちょうど、フィスプで栗まつり「フィスパー・ブリゾレ」をやっているというので、行ってみることに。会場は駅から少し歩いたカウフ広場。毎週金曜の夕方にイベントが開かれるところだ。

昼から多くの人が陽気にブリゾレを楽しんでいる。システムがわからずもたもたしていると、世話焼きのおばちゃんがやってきて、手取り足取り教えてくれた。

「ブリゾレ」の看板が目印。
みなさん、飲んでますね~。

チケットを買うと、紙のお皿を渡される。テントを左へと順に進み、食材をもらっていくスタイル。

まずはチーズを。「2種類あるのよ」と切り分ける前の状態を見せてくれる。次はドライビーフ。こちらも2種類ある。そしてフルーツとパン。シャスラとリンゴがお皿に。

やっと主役の焼き栗の登場。焙煎機の中からあつあつの栗をすくってお皿にのせたかと思ったら、すぐにおまけ!と追加してくれた。

最後はワイン。赤、白と選べるけれど、やはりここは白ワインを。テーブルに持っていき、無限ループを始めたら、買い方を教えてくれたおばちゃんが「楽しんでる?」とやってきた。

「フィスパー・ブリゾレ」で食べられる栗は、保護運動をしている隣町・アイホルツの栗の森で採れたもの。ハイキングコースになっているので、次は歩いてみたい。

「2つ目のチーズはこれ」。
ドライビーフのテントで、お父さんのお手伝い。
シャスラとパン、バターものせてくれた。
ワインをセットして、できあがり!
殻がきれいにむけるとうれしい。

メレルのカスタニエンヴェーク

せっかくなので少し栗の森を歩きたい。おすすめしてもらったのは、アレッチ地方観光拠点・リーダーアルプに結ぶロープウェイの麓にあるメレルの栗の道(ヴェーク)。入口はメレル駅からすぐ。教会が目印だ。

教会前の橋を渡ってサインどおりに進むと、あちこちに栗のイガイガが落ちている。でも中身はない。みんなが持っていっちゃった?

カスタニエンヴェークとして整備されたのは最近らしい。かわいいサインがあちこちに立っているので、迷う心配はない。教会の横には、栗の森の歴史などを説明するパネル展示も。

歩いていると、途中でカウベルの音が。鳴り響くほうへ進むと……わぁ、顔と足が黒いヴァリサー・シュヴァルツナーゼンシャーフ! 赤ちゃんもいる。撮影に夢中になり、栗のことはすっかり遠くへ(笑)。

中のパネル展示も見ていこう。
かわいいサインが案内してくれる。
小川沿いを歩いて森の中へ。
かわいい♡ こっちを見てくれた。

気を取り直して、さらに道を進む。栗の木がどんどん増えてきて、下にはイガイガが大量に落ちている。痩せた実もあれば、パンパンに膨らんだ実も。大きなアップダウンもなく、気持ちのいい1時間ほどのハイキングだった。

駅のそばにあるパン屋さんやレストランでは、ハーブティーやジャムなど地元の特産品とあわせて栗の商品を販売しているので、お土産にぴったり。栗の道を歩いて、栗のお土産を買う。秋ならではの贅沢な旅だ。

栗の大木。見渡すと周りはすべて栗。
途中には水場もある。
お土産探しも楽しい。

スイーツも食べたい!

この時期、絶対に食べたい栗のスイーツも。「ヴェルミセル」という、栗のスペシャリテを忘れてはいけない。

お店によってアレンジは変わるが、日本でいうモンブランの栗のクリーム部分のようなかんじ。甘すぎず、栗の渋みもしっかりあって大人の味わい。大きいなと思ったけど、ペロッと食べてしまった。

提供期間が短いので、「Vermicelle」という名前を見かけたら、すぐにオーダーを!

メニューに見つけちゃった。
幸せな甘さで秋を満喫したい。

【Information】日本からスイスへは

成田~チューリヒ間を約14時間で結ぶ、スイス インターナショナル エアラインズの直行便が週5便運航している。
[気候]春・秋は8~15度、夏は18~28度、冬は-2~7度。山岳地帯と麓の村では温度差があり、日中と朝晩の気温差も激しいので、レイヤード(重ね着)が基本。着脱しやすい服装を準備したい
[時差]日本の-8時間(夏は-7時間)
[言語]ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4言語(地域により異なる)。ホテルやお店では英語が通じる
[スイスの情報]https://www.myswitzerland.com/ja/

スイス インターナショナル エアラインズのビジネスクラス

燃料効率の高い技術への継続的な投資や「SAF(持続可能な航空燃料)」の開発と使用などで、CO2の排出を2030年までに半減、2050年までにゼロを目指しているスイス インターナショナル エアラインズ。快適な空の旅には、ビジネスクラスを利用したい。

うれしいのはフルフラットシート。ボタン一つで全長2mのベッドに変わり、シートクッションの硬度も調節できるうえにマッサージ機能もついている。さらにモジュール方式の座席配置(2名席と1名席)で、最大限のプライバシーを確保。陶製の食器で味わう、スイス料理も格別だ。

トイレの洗面スペースには「Soeder」との提携で特別に開発・製造された、リフレッシュスプレーやセラムなどが置かれているので、アルプスのさわやかな心地いい香りを堪能しよう。

液晶付きのコントローラーの横にはマッサージのボタンも。
食事にはもちろんチーズが付く。
メインは4種から選べる。牛テンダーロインのグリルに。
スイスが誇るアーミーナイフのメーカー・ビクトリノックスと共同でデザインしたトラベルキット。黒のかっこいい缶に入っていて、テンションがあがる。

取材・文・撮影=『旅の手帖』編集部 協力=スイス政府観光局、スイス インターナショナル エアラインズ、スイストラベルシステム

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