救急隊員 コンビニ利用を開始 出場激増、横浜市、休憩確保が困難 車内に理由説明パネル
横浜市消防局は救急出場の激増を受け、出場中の救急隊員が市内のコンビニエンスストアを利用できるようにすることと、その理由を説明するパネルを救急車内に掲示する取り組みを8月1日に始めた。
近年、全国的に救急出場が増加し、救急車が消防署に戻る時間がなく、飲料購入などのためにコンビニを利用する機会が多くなった。しかし、駐車場に救急車が停まっていると、店内に傷病者がいると勘違いされることから、利用理由を車内に示す対応が増えている。
市消防局の担当者は「以前、『なぜコンビニに救急車が停まっているのか』との問い合わせがあった」という。救急出場の急増は「コロナ禍以上」とし、「出場後、署に戻れずに次の現場へ向かうなど、活動時間が延びて食事や休憩の確保が難しくなっている」と話す。救急車内に持ち込める飲料の量にも限度があり、隊員からは「健康維持のためにも、コンビニ利用を後押ししてもらえると助かる」との声が出ていたという。
同局は、日本フランチャイズチェーン協会に加盟する各コンビニに協力を依頼し、連続出場で救急隊の活動が長時間になった場合、コンビニで飲料水購入やトイレの利用ができるようにした。
コンビニ駐車場に駐車する際は、見やすい場所に「救急隊は、飲料水等の購入、トイレをお借りしています」などと書かれたパネルを掲示する。
増強するもひっ迫
7月以降、熱中症とみられる搬送要請が急増している。同局は臨時の増強救急隊を編成するなどしているが、出場増加に追い付かない状況だ。
指令から現場到着までの所要時間も、6月の8・2分から7月は9・6分と今年に入ってから最長を記録している。
迷ったら#7119
救急要請が多発すると、遠くの救急隊が出場するため、現場到着に時間がかかる。担当者は「このままでは本当に必要な人の救急要請に迅速に対応できない恐れがある」と警鐘を鳴らす。
同局は熱中症対策の徹底とともに、救急車を呼ぶか迷った場合は、救急車を呼ぶべきかを相談できる電話、「#7119」の利用を呼び掛ける。