上鶴間本町開発企業 鋳造技術で発明大賞 「JIS強度認定化」目指す
画期的な発明で産業の発展に寄与したとして、上鶴間本町にある(株)ダイレクト21(岩本典裕代表取締役会長・73歳)が3月、「第50回発明大賞」で発明大賞(日刊工業新聞社賞)を受賞した。鋳造技術の一つ、ダイカスト加工の新技術を開発し、製品の品質を向上させた。ダイカスト製品の「JIS強度認定化」を掲げる岩本会長は「皆さんと創造立国ニッポンを目指したい」と語る。
ダイカスト加工とは、高温で溶かした金属を金型に流し込み、圧力をかけて成形する鋳造法。複雑な形でも高い精度で成形でき、自動車や家電製品の部品など広く活用されている。一方で「鋳巣」と呼ばれる空洞が発生し、一般的に強度が低いとされている。
「あと一押し」変えた
同社が発明した技術はアルミダイカスト加工の「ランナー加圧法」。これまでのダイカスト加工法に、金型内部へ続く通路(ランナー部)からも圧力を加え、従来の4倍以上となる約3000気圧を実現。この「あと一押し」により鋳巣を押しつぶすことができ、ダイカスト製品の品質を向上させることに成功した。
岩本会長は「ダイカストは脆いとされ安全面が低いことが課題だった。ランナー加圧法の開発で目標のJIS認定に近づいた」と熱く語る。
同社は2009年に岩本会長が創業。東芝機械(株)(現・芝浦機械(株))でダイカスト事業部の技師長を務めてきた岩本会長が「ダイカスト製品のJIS認定化」を目指して立ち上げた。
岩本会長はダイカスト関連の特許を約100件取得した業界の第一人者。「ニッチな産業だが、認定化されれば業界が拡大する。そのためにいかにアイディアを出せるか」と語る。
ランナー加圧法の開発に取り組み始めたのは2019年。顧客からの依頼がきっかけだった。試行錯誤を重ねて実用化。22年に特許を取得した。現在は中小企業から大手自動車会社まで、約200社からランナー加圧法の製品依頼がある。
今回の受賞を受けて岩本会長は「ランナー加圧法が社会的認知を受けたことは大きい。海外での仕事も増えてきている。ゆっくり、焦らず、日本の技術を世界に羽ばたかせたい」と語る。
発明大賞は日本発明振興協会と日刊工業新聞社が1976年から開催している。発明を通じ、産業発展や国民の生活に寄与した資本金10億円以下の企業や個人、グループを表彰している。