橋本小 ダンスで食べ残し減らせ 児童が振り付けづくり
給食の食べ残しを無くすためにお腹が空くようなダンスをつくろう―。橋本小学校(佐藤美佳校長)の児童がフードロス削減に向け一風変わった取り組みをスタートさせた。5月16日にはNHKの子ども番組『おかあさんといっしょ』の身体表現コーナー『デ・ポン』のおねえさんとして知られる女優のきよこさんを学校に招き、共に体を動かして振り付けを考えた。児童は「たくさん動いてお腹が減るダンスにしたい」と意気込む。
総合的な学習の時間で食品ロスについて学んでいる4、5年生。事前に中央区の田名塩田で食品リサイクル事業を営む株式会社日本フードエコロジーセンターの高橋巧一代表取締役を招き、給食の食べ残しが飼料にリサイクルされることやフードロスについて学んだ。その際、児童は食べ残しが再利用されることについて理解を示したものの、「食べ残しをしないのが一番良い」と結論付けた。翌日の給食では前年は16%あった食べ残しが9%になる(5年)など、学習の成果が数字に表れた。「これまでは何も考えずに残していたけど、意識したら食べられるようになった」と児童は感想を話したという。
一方で、4、5年生の食べ残し量は減ったものの、全校での量は減らなかった。そこで、4、5年生はポスターを制作し全校に食べ残しをしないよう訴えたが、思うような効果を得ることはできず。すると児童の一人が「体を動かしたらお腹が減って食べ残しが減るんじゃないか」とアイデアを出したことで、取り組みは体操づくりへ。昨年度、5年生が歌手の谷本賢一郎さんと共に「橋本を有名にしたい」という思いで制作した歌『ぼくらのまちOh!』に振り付けを付けて広めれば、地域の人の健康づくりのきっかけにもなり、歌も多くの人に聞いてもらえると振り付けづくりがスタートした。
一緒に踊れる振り付けに
振り付けづくりへ協力を依頼したのは谷本さんとも親交のあるきよこさん。体育館で行われた16日の授業では、きよこさんが児童をリードしながら歌に合わせて共に振り付けを考えていった。サビの部分ではきよこさんが「手を挙げるだけじゃなく、体全体でジャンプする方が大きく見える。足も上げよう」「地域全体にこの歌を広げるんだという気持ちを込めて」などとアドバイス。互いに確認しながら振り付けを完成させていった。
児童は「振り付けにカッコいいところとおもしろいところがあって良い」「みんなと楽しく踊れて最高だった」「みんなで振り付けを考えることができて良かった」などと振り返る。きよこさんは「とてもエネルギッシュで明るく真っすぐな子どもたちだった」と笑顔を見せると、「子どもたちが話していたように、学校だけでなく地域や日本全体で一緒に踊れる振り付けになれば」と話した。
つながるきっかけに
細部などを確認し、振付が完成した後は、校内に周知するとともに、地域にも広めていくという。同校では毎年、SDGsを表現した弁当を制作しており、給食の食べ残しを減らすことで新たなフード作りにも意欲を見せる。
一連の取組について佐藤校長は「まずは総合学習を通して世界的にも課題となっているフードロスについて学んでほしい。そして、歌やダンスがきっかけとなり、地域の人たちとつながっていければ」と期待を寄せた。