世界中のクリエイターに影響を与えた「イタリアの巨匠」初期作を大スクリーンで観る!『動物三部作』全国公開中
「イタロホラーの巨匠」初期3部作
極彩色の悪夢的なビジュアルと先鋭的な音楽を融合し、それまで低く見なされがちだったホラー映画を官能的なアートへと昇華させた、イタリアを代表する映画監督ダリオ・アルジェント。今日に至るまでホラー映画のマエストロとして君臨し、全世界の映画ファンから賞賛され、多くのクリエイターに影響を与え続けている。
アルジェント監督が1970年代に発表した3本の初期代表作は、いずれもタイトルに動物の名が含まれていることから「動物3部作(アニマル・トリロジー)」と呼ばれている。
1作目『歓びの毒牙』(1969年)は、主人公が目撃した「事件」を回想する構造を用い、観客が真相に迫るスリルを追体験するという、視覚的効果とサスペンス要素を融合させた画期的監督デビュー作。続く2作目『わたしは目撃者』(1970年)は盲目の元新聞記者が主役の本格サスペンスにして、アルジェントの永遠のテーマ「視覚の喪失」を見事に映像化した作品。そして3作目『4匹の蝿』(1971年)は、現実の世界と悪夢の融合という彼の個性的な作風を確立した先駆的な作品だ。
アルジェント作品の音楽といえばプログレバンド「ゴブリン」のイメージが強いが、同3部作は巨匠エンニオ・モリコーネが手掛けており、妖しくサスペンスフルな世界観に貢献。そんな「ダリオ・アルジェント 動物3部作」が、2024年11月8日(金)より新宿シネマカリテ、菊川Stranger、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中だ。
伝説のジャッロが甦る!「ダリオ・アルジェント 動物3部作」
『歓びの毒牙(きば)』 (L’uccello dalle piume di cristallo)
アメリカ人作家サム・ダルマスはローマに滞在中、ギャラリーで起こった殺人未遂事件を偶然目撃する。謎の連続殺人事件に巻き込まれた彼は帰国を断念し、現場で耳にした《鳥の鳴き声》を手がかりに真相を解き明かそうとする。
原作はフレドリック・ブラウンの「通り魔」。アルジェントの監督デビュー作であり、彼の独特の映像美学と緊張感あふれるストーリーテリングが光る作品。特にショッキングなビジュアルと斬新なカメラワークが特徴で、後のジャッロ映画に多大な影響を与えた。
監督・脚本:ダリオ・アルジェント
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:トニー・ムサンテ、エヴァ・レンツィ、スージー・ケンドール
『わたしは目撃者』 (Il gatto a nove code)
遺伝学研究所での謎多き侵入事件と、所員である博士の列車での轢殺事件。関係者が次々と殺される中、盲目の元新聞記者フランコ・アルノと若き新聞記者ジョルダーニは、決死の覚悟で犯人を追い詰めていく。
『歓びの毒牙』大ヒットを受け、各国からの出資を受けて作られた監督第2作。サスペンスとスリルに満ちた心理描写、科学と犯罪が絡み合うプロットが魅力の本作で、アルジェントは自身の十八番である華麗なる殺人描写に磨きをかけていった。『ダーティハリー』『時計じかけのオレンジ』『フレンチ・コネクション』などがひしめく1971年の映画興行界でイタリアを代表し、ジャッロ映画の礎の形成に寄与した。
監督:ダリオ・アルジェント
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジェームズ・フランシスカス、カール・マルデン、カトリーヌ・スパー
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『4匹の蝿』 (4 mosche di velluto grigio)
ロックバンドのドラマー、ロベルトは黒いハットの男に付きまとわれていた。ある晩、限界に達したロベルトは男に詰め寄るも、揉み合いの末に誤って彼を殺害。その現場を覆面を被った謎の人物に撮影されてしまう。やがて脅迫電話がロベルトを襲い、彼の周りでは不可解な殺人事件が起こり始める。
「動物3部作」において最も音楽と映像の融合が際立つ作品。残酷と優美が同居する、アルジェントの革新的かつスタイリッシュな演出が光る。そして映画のラストを飾る驚異的なスローモーション撮影は、圧巻の一言に尽きる。
監督:ダリオ・アルジェント
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:マイケル・ブランドン、ミムジー・ファーマー、ジャン=ピエール・マ
リエール
「ダリオ・アルジェント 動物3部作」は2024年11月8日(金)より新宿シネマカリテ、菊川Stranger、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開中