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静岡県稲取温泉『はまべ荘』。目利きの館主が供する極上の稲取キンメは、食事制限中でも食べられる!

さんたつ

【旅の手帖】はまべ荘

静岡県の東伊豆、稲取漁港からわずか30秒のところにある『はまべ荘』は、経験と勘で培った目利きの力で地元の「稲取キンメ」を仕入れ、調理する料理自慢の宿。食事制限中の人向けに会席料理を提案し、「闘病中でも旅ができる」と喜ばれている。

はまべ荘

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今回の“会いに行きたい!”

稲取温泉『はまべ荘』館主の鈴木弘康さん

脂のりのよい稲取キンメをお造りや煮魚で思う存分

稲取漁港からわずか30秒のところにある『はまべ荘』の館主・鈴木弘康さんは、昼過ぎに立つ港の市場で「稲取キンメ」を競り落とす。

稲取港で水揚げされるキンメダイは陸の近くでゆっくりと泳ぐ地キンメで、ハダカイワシや白エビを食べているから、ほかの産地のものと比べて脂のりがよいのが特徴。鮮やかな赤い身で、金目が美しく澄んでいるものを選ぶ。

「漁港で直接買い付けをしているのは、宿ではうちくらい。祖父が漁師だったので、競りに参加できる買参(ばいさん)権をもっているんです」と弘康さん。

冬の10〜3月と夏の6〜8月の産卵期の年2回が、稲取キンメの最もおいしい季節だ。

稲取漁港ではキンメダイや伊勢エビ、アワビなど豊富な魚介が獲れる。
活気あふれる競り場。稲取漁港に市が立つのは、正午過ぎだ。

稲取温泉に来たからには、冷凍の海外産ではなくて新鮮な稲取キンメが食べたい!

そんな人には『はまべ荘』をおすすめしたい。ここは客室数8室の小さな宿。

リーズナブルな料金帯なのに、どのプランでも稲取キンメが出てくる。最安プランでも稲取キンメの切り身、一つ上のプランからは丸煮を出す。1尾まるごと買い付けるから、夏のシーズンには卵や白子の料理も味わえる。

弘康さんは実家の宿に戻る前は病院の栄養士だった。そのノウハウを生かして糖尿病・腎臓病、減塩食に対応した会席料理も提供している。

その日のお客さんに合わせて稲取キンメを仕入れる。ウロコを引き、冷蔵庫で6時間寝かせてから調理する。
二面採光で明るい角部屋の和室。

減塩などの制限食でも見劣りしない料理を

糖尿病食や減塩食というと、味気ないメニューをイメージしてしまいがちだが、『はまべ荘』では制限食でもアワビやサザエのつぼ焼き、稲取キンメの煮付けなど、おいしい海の幸をたっぷり食べられる。

お客さんが医師からどのような指示を受けているのか事細かくヒアリングし、カロリー・塩分計算をしてメニューに落とし込む。

「調理法や切り方を変えたり、出汁を多めにしたり、ショウガの絞り汁を入れて口あたりをよくしたり、果実酢を使ったりと、やり方はいろいろあるんです」

人によっても異なるのだが、減塩食の場合は、1食あたりの食塩相当量2g、腎臓病対応食ならたんぱく質20g、食塩相当量1.8g、カリウム538mg以内など、食材から調味料の量にいたるまで細かく量らなければいけない。その分手間はかかるし、薄味になるほど、味つけはデリケートになる。

カリウム制限のある人には生野菜ではなくボイル野菜を出し、果物も生ではなくコンポートしてから出すなど工夫も必要だ。

だから、制限食の受け入れは平日2組まで、土・日曜は1組までと決めている。

稲取キンメの丸煮(手前)と舟盛り。お造りはサザエ、アワビ、黒ムツ、ヒラソウダなど、その日仕入れた魚も一緒に。

始めたきっかけは、以前勤めていた病院の先輩から「糖尿病食をやってくれないか」と頼まれたから。「どこも受け入れてくれない」と嘆くお客さんが「久しぶりに温泉旅館でゆっくりくつろぐことができた」と喜ぶ顔を見ることが、続ける張り合いにもなっている。

二人連れのお客さんが、明らかに違う料理を出されたと感じないように、食材を変えるときは似た食材を使うなどの工夫をし、「今日はビールを2杯飲みたいから、それに合わせた料理を作ってよ」などという、個々人に合わせたニーズにも臨機応変に対応する。

温泉は源泉かけ流し、しっとり美肌の湯

雛のつるし飾りとキンメダイで有名な稲取温泉。知名度が高い温泉地なので歴史ある地だとばかり思っていたが、意外や意外、開湯は昭和31年(1956)と、比較的新しい。

塩分を含んだ温泉は保温・保湿効果が高く、肌をしっとりと潤す美肌の湯である。しかも源泉かけ流し。真綿にくるまれているようなやさしい浴感だ。

「せっかく海が近いのだから、海の景色を見せたかったんです」と弘康さんがいうとおり、内風呂ながら、ガラス窓の目線の先に、青い海を一望できる眺望のよい浴室である。1991年の建て替え時に、階下にあったものを最上階の4階に移した。

かけ流しの極上湯と稲取キンメをリーズナブルな料金設定で楽しめるとあって、長年通う常連さんが多いが、「誰にも教えたくない」と本当に誰にも言ってくれないのが目下の悩みとか。

女湯には目隠しが施されているが、内湯でありながら稲取漁港や相模(さがみ)灘が望め、開放的な雰囲気。

これまでに受け入れたことがある制限食希望のお客さんは狭心症、糖尿病、透析、大動脈解離を治療中の方など多岐にわたり、その界隈では認知度が高まってもいるようだ。

別の宿では、制限食の方が「家で食べている袋ものと同じものが出てきた」などという笑えない話もあるくらいで、温泉宿で手作りの制限食を食べられること自体が珍しいのだが、『はまべ荘』ではさらに進化させて3泊までの延泊にも対応できるようにした。

卵と白子の甘辛煮。夏の産卵期限定の珍味だ。
宿泊の翌朝は稲取キンメを使った味噌汁を味わえる。

勝手口にちょこんと座る黒猫の愛らしい姿も港町らしい情景。この黒猫は『はまべ荘』の看板猫・ミーちゃん。2023年に亡くなった先代が、子猫の頃から余ったアジの干物をあげていた。それ以来、懐いて餌をもらいに勝手口にやってくるという。

スローな時間が流れる漁師町でのんびりと過ごせば、誰もが幸せな気持ちになれることだろう。

魚を食べているせいか、毛並みがきれいな看板猫のミーちゃん。「絶品の魚を味わって~」。

『はまべ荘』の詳細

はまべ荘
住所:静岡県東伊豆町稲取373/アクセス:伊豆急行伊豆稲取駅から徒歩7分

取材・文・撮影=野添ちかこ
『旅の手帖』2024年3月号より

野添ちかこ
温泉と宿のライター/旅行作家
神奈川県生まれ、千葉県在住。心も体もあったかくなる旅をテーマに執筆。著書に『千葉の湯めぐり』(幹書房)、『旅行ライターになろう!』(青弓社)。最近ハマっているのは手しごと、植物、蕎麦、癒しの音。

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