真鶴町湯河原町 唯一の助産院が開院 地元有志の思いを実現
真鶴町と湯河原町で唯一の助産院「海とつき」が3月28日、真鶴町岩に開院した。一般社団法人月と海(岩田美也子代表理事)が助産院の運営を通じて妊婦健診や産後ケア、医療機関との連携など総合的な支援で母子を支える地域の拠点を目指す。
両町には約10年前から、出産を取り扱う施設がなく、妊婦は小田原市や静岡県熱海市などの病院に通う必要があった。過去には湯河原町に里帰り中だった妊婦が小田原市の病院に向かう途中に車内で出産した事例もあったという。
これら背景もあり、地域の保育士や助産師などが2020年、両町での安全な出産を目指し、「湯河原に助産院を!プロジェクト」を設立。誘致活動を展開する中で県助産師会に協力を呼びかけたところ、川崎市内で助産院の院長を務めていた岩田代表が活動に賛同し、開院に名乗りを上げた。岩田代表は「地元の人が助産院を必要としていることに感銘を受けて、協力したいと思った」と振り返った。
当初は、湯河原町の古民家を活用する構想だったが、改装費の課題から真鶴町に新築する方針に転じた。開院の準備を進めるなかで、2年前から地域の妊婦や母親と継続的につながる場として、月1回両町で交流会を開き、産前産後や育児の悩みなど対話も重ねてきた。
海とつきは、約170平方メートルの2階建てで、診察室や分娩室、沐浴室のほか、陣痛から産後までを同じ部屋で過ごせる個室を5部屋備える。
岩田さんは「ふらっと寄れて、お産だけでなく子育てのことなど、何でも気軽に相談してもらえる場所にしたい」と話した。