大きな“山場”へ向かう琉球ゴールデンキングス、公開練習を実施 チームDFで屈指の「好ガード」たちを抑えられるか
プロバスケットボールBリーグ1部(B1)西地区の琉球ゴールデンキングスは17日午前、沖縄アリーナサブアリーナでメディア向けの公開練習を行った。 18、19の両日に行われるBリーグオールスターゲームによる中断期間を挟み、1月22日の東アジアスーパーリーグ(EASL)のアウェー戦から試合が再開するキングス。Bリーグは25、26の両日にホームである東地区首位の宇都宮ブレックス戦を皮切りに強豪との対戦が続き、2月5日には沖縄アリーナで行われる三遠ネオフェニックスとの天皇杯全日本選手権準決勝に臨む。 公開練習は、約1時間のチーム練習で攻守の細かい連係を確認。オールスターゲームに参戦する岸本隆一、ジャック・クーリー、脇真大らが不在の中、比較的高い強度でのプレーが目立った。その後は個々のシュート練習などに汗を流した。 トレーニング終了後、キャプテンの一人である小野寺祥太と平良彰吾がメディアの取材に応じた。2人の話などから、今シーズンにおける大きな“山場”となる再開後の戦いの見どころを探る。
“堅守”が武器の宇都宮、A東京「ペイントに入って…」
宇都宮と三遠のほか、2月1、2の両日にはアウェーで中地区2位のアルバルク東京(A東京)との連戦も控えるキングス。その他のカードも各地区の上位陣との対戦となるが、優勝候補に挙げられるこの3チームとの対戦をメインに展望したい。 まず、宇都宮とA東京はリーグ屈指のディフェンス力を誇る。現在、相手に100回攻撃された場合の平均失点を示す「ディフェンシブレーティング」はA東京が1位(数字が少ない順)の101.2点、宇都宮が5位の104.0となっている。ちなみに、キングスは103.5点の4位で同水準にある。 この2チームは積極的に相手ボールマンにプレッシャーを掛け、他の選手も常にパスカットを狙い、圧力が高い。ハンドラーを担うキングスのポイントガード(PG)陣にとっては嫌な相手だろう。PGの一人である平良に、どうゲームコントロールをするかを問うと、以下のように語った。 「ボールが止まってしまう時間帯があると思うので、そこをガードとして自分でアタックしたり、パスをさばいたりしながら、いいオフェンスをつくりたいです。ペイントに入っていって、その判断をすることが大事なのかなと思います」 受け身になってしまうと、どうしてもターンオーバーが増える。平良が言うように、積極的にインサイドへ進入し、相手ディフェンスの「ズレ」をつくることが重要になる。 また、ピック&ロールの場面でハンドラーにダブルチームなどプレッシャーを掛けられた場合、どう「いなす」かも気になるところだ。 公開練習で取り組んだポイントを聞かれた小野寺は「パスの出しどころの部分でターンオーバーになったことが前の試合でもあったので、そこの対策をしっかり練習しました」と言った。「安易なターンオーバー1つで5点、10点と差が開いていくと思うので、パスを共有しながらチームで戦っていきたいです」とも。 これらはピック&ロールの場面のみを想定した話ではないだろうが、ドリブル、横や縦へのパスなど、相手のプレッシャーをいなすためには様々な選択肢があるため、どう対策するか注目したい。
比江島、テーブス、佐々木…「チームで守りたい」
チームのスタイルこそ違えど、得点力の高いガードを擁していることも、先に挙げた3チームの大きな共通点だ。宇都宮の比江島慎、D.J・ニュービル、A東京のテーブス海、三遠の佐々木隆成、大浦颯太…。いずれもリーグ屈指のプレーヤーであり、彼らをいかに波に乗せないかは勝敗を分ける重要なポイントだ。 宇都宮戦の展望を聞かれた小野寺は「攻撃力が高いチームだと思っていて、比江島選手とニュービル選手がオフェンスの起点になってくると思います。そこはチームとして守っていきたいです」と答えた。 続いて、天皇杯準決勝でぶつかる三遠戦のポイントについても語った。 「ディフェンスだと思います。攻撃力の高いチームで、フィジカルが強い選手が多いので、自由にさせないことが大事です。一人ひとりが強みを生かして、ファウルとかをうまく使いながらチームで守っていけたらなと思います」 二つの回答に共通するのは「チームで守っていく」という部分だ。 もちろん1対1で守り切れれば理想だが、相手も巧みにスクリーンを使ったり、高いスキルで交わそうとしたりするため、容易ではない。各選手とも3Pシュートも上手い。マークマンだけでなく、スクリーナーとマッチアップするビッグマン、さらに3人目、4人目のディフェンダーも含め、うまくローテーションをしながら守りたい。 その点で言うと、今シーズンのキングスはアレックス・カークが高い位置で積極的に相手ガードにプレッシャーを掛けたり、全体でスイッチをしながらズレが生まれるのを防いだりして、ディフェンスの連係がより深まってきているように見える。 リーグをけん引する強豪に対し、現時点でチームのディフェンス力がどこまで通用するかは、終盤戦やチャンピオンシップ(CS)の戦いを占う上でも大きな見どころになるだろう。
小野寺、天皇杯は「ファンの皆さんと決勝に行きたい」
強豪との対戦が目白押しの中、“一発勝負”である天皇杯準決勝は少し質が異なる一戦になる。負ければ終わり、勝てば3月15日の決勝に駒を進める。 キングスは昨年まで2年連続で決勝の舞台に立ったが、いずれも千葉ジェッツを相手に敗北。特に昨シーズンは69ー117で大敗するという屈辱を味わった。所属6シーズン目の小野寺にとっても、強く意識するタイトルだ。 「キングスはあと一歩というところでまだ取れていないですし、(天皇杯に対しては)かなり強い思いがあります。準決勝はホームコートアドバンテージというすごい大きな力があるので、そこで勝ち切って、ファンの皆さんと決勝に行きたいです」 3月7〜9日にはマカオでEASLのプレーオフ「ファイナル4」にも進出することが決まっているキングス。3月15日の天皇杯決勝に出場すれば、スケジュール的にはよりハードになるが、大事な試合で勝ちを重ねられれば、その後のBリーグの試合にも好影響が出るだろう。 小野寺も「(天皇杯を取れれば)チームとしても、個人としても自信は付くので、もっとチームの雰囲気が良くなっていくと思います」と見通す。 シーズンの山場を戦っていくにあたり、実に見どころの多いキングス。現状のチーム力はどうなのか、スケジュール感も含め、試合結果が今後の戦いにどう影響してくるのか。様々な要素を念頭に置きながら観戦すれば、より一層楽しめるはずだ。