“映画の父”リュミエール兄弟によって撮影された映像が、130年後の今、完璧に蘇る『リュミエール!リュミエール!』
世界最古の映像クリエイター、リュミエール兄弟によって撮影された貴重な映像から選りすぐりの110本をまとめた『リュミエール!リュミエール!』が、11月22日(金)より公開される。このたび、1897年に撮影された「京都 家族の食事」を含む、場面写真が解禁となった。
世界で初の映像クリエイター・リュミエール兄弟
“映画の父”リュミエール兄弟が発明したシネマトグラフによって撮影された映像が、より深く、より美しく、130年後の今、完璧に蘇る。2017年に公開された『リュミエール!』に続き、リュミエール研究所所長でもあり、カンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモー氏による後世に残すべき歴史的映像約1,400本の中から選りすぐられた110本の集大成。そこに映し出されるのは、130年前に息づく人々、当時の世界の町並み…悠久の時を感じる貴重な映像体験。映像の始まりとともに、未来に想いを馳せる必見の映像ドキュメンタリー。
場面写真は、今年のパリ五輪でフェンシングの会場になった「パリ グラン・パレ」、五輪のマラソンコースにもなった「パリ・オペラ座広場」、1899年パリの芸術祭にて撮影された「パリ 花で飾った自動車のコンクール(出発)」など、当時のパリの風景が映し出されたカットや、「(リュミエールは)興行を念頭に、当初から映画作家としてふるまった」と監督が解説し、観客を喜ばす要素が感じられる「水を撒かれたカード遊びをする人」(1896年撮影)など。
特筆すべきは、まだ交通・通信手段が開発途中である時代に、リュミエール兄弟により世界各国に派遣された専属カメラマンたちが各地の風景や人々の営みを撮影したこと。
「京都 家族の食事」に映る右側の男性は、リュミエール兄弟の兄オーギュストとリヨンの工科大学に留学時に同級生だった稲畑勝太郎。稲畑は何度目かの渡仏時にオーギュストから相談されて日本の代理人となり、シネマトグラフ数台と、この作品を撮影したコンスタン・ジレルと共に1897年1月に神戸港に着き、2月に大阪の南地演舞場(現・TOHOシネマズなんば)で日本最初の興行を行った人物。それから1世紀以上の時を経て、日本の映画興行にゆかりのある人物や、世界各国の同じ時代を生きる人々の姿を一度に堪能できるのは本作ならではの貴重な映画体験だ。
「濱口竜介監督と是枝裕和監督はリュミエールの継承者と言えるだろう」
また、先日開催された「第37回東京国際映画祭」ガラ・セレクションでの上映にあわせて来日したティエリー・フレモー監督は、「リュミエールが残した素晴らしい遺産を21世紀の皆さんに届けたいとの責任を感じているし、それは私の任務。何故ならば私はリュミエール兄弟に恋をしているからね」と語り、前作『リュミエール!』との違いについては、「修復を経た美しい映像を選ぶとともに、シネマトグラフの発明家であり最初の映画監督であるリュミエールの両面を打ち出すようなドキュメンタリー映画にしたかった」と狙いを述べた。
リュミエール研究所所長でもあり、カンヌ国際映画祭総代表でもあるティエリー・フレモー監督は、リュミエール作品の魅力を「子供時代を思わせる純粋無垢さがポエティックな映像の力強さに繋がっている。その詩的さは世界中の様々な人々の生き様と人生を映している」と表現。
「京都 家族の食事」のナレーションで「畳での食事風景は、いつも小津を想起させる」と解説しているティエリー・フレモー監督は、「最近の日本のフィルムメーカーの中では、シンプルな映像の中に力強い美しさのある濱口竜介監督と是枝裕和監督はリュミエールの継承者と言えるだろう」と言及。「最近のフランス映画は大仰な映像になり過ぎて…。その点ではリュミエールの魂は現在の日本映画に継承されていると思う」と世界的に注目されている邦画作家に期待を込めていた。
そして、「リュミエールの映画を観ることは、まさに温故知新。彼らはシネマという芸術を残しただけではなく、映画館に足を運び映画を観るという習慣を残した。映像メディアが氾濫する昨今だけれど、映画という表現形態はこれからも一層重要性を増していくはず」と熱く明言。「ジャン・リュック・ゴダール監督とスイスの道を歩いた時、彼は『ほかでは観ることのできないものを観ることが出来るのが映画だ』と言った。リュミエールはシネマトグラフ発明当時からそれを実践していたわけで、今もその冒険は続いています」とティエリー・フレモー監督。
『リュミエール!リュミエール!』は11月22日(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー