【異星人が乗ってそう】姫路市民に愛される建造物『手柄山回転展望台』を見学してきた 姫路市
先日、姫路市の『手柄山交流ステーション』のモノレール展示室を訪れた際、施設の屋上からの景色を楽しんでいた記者の目になんともユニークな建造物が飛び込んできました。
SF映画に登場する異星人の飛行船のような姿に度肝を抜かれた記者は、山を下りて現地へ急行することにしました。
謎の建造物、もとい『手柄山回転展望台』へと―。
展望台があるのは、手柄山交流ステーションから歩いて5分ほどの場所。姫路空襲の歴史と平和の大切さを後世に伝える『姫路市平和資料館』の駐車場の奥にそびえ立っていました。
正面に立つと、改めてそのフォルムの異様さを実感します。展望エリアから伸びる柱の部分が、UFOが地面に向かって飛ばす怪光線のようで、昔の映画で見た宇宙人によるキャトルミューティレーションを思い出しました。
建造物を支えるアーチ状の支柱は、なんとなく世界No.1ファストフードチェーンのロゴを彷彿とさせます。
下から見上げると、こんな感じ。建設当時は真っ白だったであろう展望台も、現在は汚れが目立ち、物寂しさを感じさせます。
案内板によると、こちらの展望台は、今から約60年前の1966年(昭和41年)に開催された「姫路大博覧会」のシンボルタワーとして誕生した“喫茶展望塔”であり、当時の名称は「姫路博記念塔」でした。
最上部の高さは地上24mで、喫茶室のあった4階部分の床が約14分で1周し、姫路の街を360度見渡すことができたそうです。
現在は閉鎖されているため、人っ子一人いませんでしたが、ご近所の猫たちが自宅のリビングにいるかのように、くつろいでいました。
「礼を欠いては失礼にあたる」と考えた記者は、こちらをじっと見つめる猫たちに「失礼します」と小さくお辞儀をして、忍び足で近づいていくことに。
門の前までやってきました。看板を見る限り、エレベーターが設置されており、それを使って4階の喫茶店『手柄ポート』へ向かっていたようです。当時の姫路っ子にとって、“回転する喫茶店”でアイスクリームやカレーライスを食べる時間は、なにものにも代えがたい“特別な体験”だったことでしょう。
展望台ができた1966年は、高度経済成長期の真っただ中。不可思議で個性的なこのフォルムも、日本全体が日進月歩で発展していく当時の“イケイケ感”にマッチしていたのかもしれません。
そんな風に、まだ生まれてもいない時代に懐かしさを感じながら展望台を後にする記者に、最後にもう一度驚きが。なんと、件の喫茶店『手柄ポート』は2018年(平成30年)まで営業していたようです。けっこう最近やん…!
ちなみにこの展望台、当初は「解体」が予定されていましたが、多くの市民からの惜しむ声を受けて、モニュメントとして残すことになったそうです。
役目を終えた今も、市民に愛される存在として残り続ける『手柄山回転展望台』。姫路市を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
場所
手柄山回転展望台跡
(姫路市西延末440-1)