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木内酒造の歴史を見守り続けてきて「母屋」がレストランに。イノベーティブフレンチと日本酒の見事な競演

ワイン王国

木内酒造の歴史を見守り続けてきて「母屋」がレストランに。 イノベーティブフレンチと日本酒の見事な競演

木内酒造の新しいレストラン「母屋」が2月14日にオープンする。那珂市鴻巣にある木内酒造本店内にあり、祖業である日本酒造りを見守り続けてきた“母屋”をリノベーションし、そこで日本酒を中心に常陸野の食材を使用した創作フレンチ(イノベーティブフレンチ)のペアリングを提供する。

格式の高い日本建築と美の巨匠の競演を目の当たりにする店内

吹きガラス、繊細な桟にはめ込まれた磨りガラスなど、どれも現代ではなかなかお目にかかることのできないもの。ひとたび足を踏み入れたならば、往時の匠の技に息を飲むに違いない。

さらに室礼に目を向けると、岡倉天心、横山大観らとともに五浦海岸に移住し研鑽を積んだ下村観山の掛け軸や水戸藩の第9代藩主徳川斉昭の知恵袋として知られる藤田東湖の書など、一級の美術品がいたるところに配置されている。

床の間の掛け軸は、下村観山の「鵜の暁」。鵜は観山が得意とした題材。盟友の菱田春草への追悼の意を込め制作したと伝えられる「鵜」は東京国立博物館に所蔵されている。

水戸黄門として知られる水戸藩第2代藩主、徳川光圀から拝領したと伝えられる書画。木内家は、江戸初期から代々鴻巣一帯の庄屋であり、水戸藩に年貢米を収めていた。その余剰米の活用として1823年に酒造りが始まった。

中庭を望む廊下のガラス戸は手吹きガラス。表面が微妙に波打っているため光が不規則に屈折し、外の景色が揺らいでいるような独特の風情を見せる。そのため「メラメラガラス」、「ユラユラガラス」と呼ばれることも。現代の建築物では見ることのできない光の表情を、ぜひ楽しんでいただきたい。

1階には最大6人、8人で個室利用できる部屋が客室として用意される。繰り返しになるが、各部屋に設えられる室礼も、じっくり堪能していただきたい。

2階には4人用の個室が用意されている。

200年間培われた発酵技術と常陸野食材が織りなすイノベーティブフレンチ

そんな“母屋”でいただくコース料理は、常陸野の食材をふんだんに使ったイノベーティブフレンチだ。腕を振るのは、東京の著名フレンチ店に10年勤務した白井啓介シェフ。注目すべきは、その調理に酒造りで培った発酵技術が採り入れられていることだ。詳細は後述するが、料理によっては酒や酢を“味変”のための調味料として提供されるなど、その趣向も楽しい。

ここ母屋では、基本は日本酒とのペアリングになるが、今回はビールファンへの特別ペアリングとして、まさしく蔵出しの希少なビンテージビールを中心にペアリングを実践していただいた。ここで紹介するビールとは異なるが、予約時にリクエストをすれば希少ビールとのペアリングも対応してくれるとのことなので、ぜひ本格的料理とのペアリングを堪能していただきたい。奥深いビンテージビールの扉が開けば、あなたのビアライフが大きく変わるに違いない。

<アミューズ>
自家製バカリャウと里芋のコロッケ×淡雫HOPS
自家製ドライトマトのタルト
自家製真鰯のサワークリーム

「淡雫HOPS」は、白麹を使った発泡性純米酒「淡雫」に希少品種のホップを投入することで、液色が赤みを帯びる。一般的なIPAよりもホップの使用量は多いとのことだが、純米酒としての甘味があるせいか、ホップの苦味はほとんど感じることはない。

<前菜>
大洗産平目昆布締め×だいだいエール
春菊ホップ、柚子胡椒・梅酢

昆布の旨味をたっぷり吸いこんだ平目は、まさに滋味に溢れている。春菊とホップ、柚子胡椒、そして梅酢をベースにしたソースを添えて供される。さらに「だいだいエール」に使われる茨城県産の福来みかんのフレッシュな香りが加わると、各種ソースがまた違った味わいを醸し出す。そこへシェフが二つの調味料を持って現れた。ひとつは赤酢、もうひとつが昆布締めに使った昆布を酒で煮出した旨味たっぷりの煎り酒だ。真昆布の上品な香りと旨味が口いっぱいに広がった。

<パン>
生ハム サワーブレッド×3DAYS

6,000本のバレルが眠る八郷蒸溜所のビジターセンターに併設される「常陸野ハム工房 BARREL SMOKE」で17カ月熟成させたプロシュートと、乳酸発酵させたサワーブレッド(フォカッチャ)が見事な相性を見せる。日本酒造りにおいて、乳酸菌の特性を熟知している木内酒造ならではだ。そこに合わせるビールは日米の友情の証である「3DAYS」(ダークストロングエール)だ。これは、東日本大震災で被災した木内酒造がある茨城県那珂市のために、木内酒造と親交の深いブルックリンブルワリーのマスターブルワーであるギャレット・オリバー氏が中心となりチャリティーイベントを同ブルワリーで開催。入場料等の収益約12,000$を、代理店を通じ木内へ送り、那珂市周辺地域の被災者支援に充てられた。ネーミングの由来は、額田醸造所は震災時に停電となり、電力の回復までマッシング期間を3日間延長したことから「3DAYS」とした。なお、このビールは、義援金のお礼として、ブルックリンブルワリーに8,000本贈呈された。

料理によっては、各テーブルで切り分けたり、盛り付けしたりと、シェフやサービルの方々のパフォーマンスを眼前で見せてくれる、ライブ感たっぷりの演出も。

<魚料理>
那珂湊産 鰆の粕漬け 山廃ブランソース×Exp 105 Vintage2012
常陸秋そばの実と発酵麹芋のリゾットを添えて

旬の鰆をしっとり、かつ香ばしく焼き上げ、白ワインの代わりに骨太の山廃酒を加えたブランソースでいただく。山廃酒由来のほんのり漂う酸味が絶妙のアクセント。合わせるビールは常陸野ネストビールの、正月の定番である「賀正エール」(ベルジャントリペル)。2012年に仕込んだビンテージだ。山廃酒とはまた違ったニュアンスの酸味とともに、ビンテージビール特有の美しい余韻が鰆の旨味を引き上げる。添えられたリゾットの、プチプチとした常陸秋そばの実のプチプチとした食感も楽しい。味、香り、そして食感と丁寧に組み上げらた料理とそれをまた別の次元へと昇華させるビールのペアリング。食の神髄を見た思い。

<肉料理>
常陸野ポークの藁焼き 朝紫ソース×Exp.H205 ROUGE
十年熟成味噌と発酵白菜ピューレ

常陸野ポークの、もっとも旨味を感じられ最上位のロース部を焼き上げ、藁の薫香をまとわせ仕上げた。古代米の朝紫(あさむらさき)で仕込んだ菊盛 古代米造り「朝紫」をソースでいただく。10年熟成させた味噌、発酵させた白菜を使ったピューレと、蔵元ならではの発酵調理が盛り込まれる。合わせるビールはH205 ROUGE。樽熟成をさせた赤ワインのようなボディとかすかなスモーキーな香りが、常陸野豚の濃厚な旨味と響き合う。

<〆のご飯>
17カ月熟成自家製プロシュートご飯×賀正2004年
(茨城県産米)

常陸野ハム工房 BARREL SMOKEでつくった17カ月熟成プロシュート(生ハム)を、利尻昆布をふんだんに使って炊き上げた茨城県産米に並べたシメのご飯。その独創的なアイデアはもちろんだが昆布のグルタミン酸と生ハムのイノシン酸の旨味が相乗効果となって、米の一粒ひと粒に絡まるのだから、もう箸は止まらない。このご飯に合わせるのが「賀正エール」2004年。ベストコンディションで20年眠っていたビールは、残留酵母をはじめさまざまな菌がゆっくりとビールを変えてゆく。換言すれば、20年という時間がつくり上げた味わい。そう考えると、なんとも愛おしくなる。

<デザート>

土浦蓮根のアイスと金砂郷産白インゲン豆のブランマンジェ×エスプレッソスタウト
さりげなく振りかけらた豊かな香りのオリーブオイルと柚子が、清涼感とともに味わいの奥深さを醸している。合わせるビールはエスプレッソスタウト。深入りコーヒーの香り高いアロマがこれまでの興奮を、すっと沈めてくれた。

Chef
母屋のシェフ、白井啓介さん。都内の著名フレンチレストランに10年勤務後、地元でもある茨城に戻り母屋のシェフに就任。なお、母屋では今後不定期ではあるが、国内外の著名シェフを招いてのコラボレート晩餐会も企画予定。詳細はブランドサイトでリリースされるので、チェエクをお忘れなく。

「母屋」
〒311-0133 茨城県那珂市鴻巣 1257
営業時間 11:30~ / 17:30~
定休日: 火曜・水曜
席数: 1F 14席 / 2F 8席 (全席テーブル席・個室あり)
ランチコース: 5,500円 / ディナーコース: 10,000円

※完全予約制となります。
※コース内容は季節や仕入れ状況により異なります。
※アレルギーをお持ちの方は事前にご相談ください。

「母屋」ブランドサイト

[母屋]

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