【在宅介護】自宅に訪問して散髪を行う訪問理美容サービスとは?
外出が困難な高齢者にとって、散髪は大きな悩みのひとつです。
特に介護を必要とする方は、理容・美容院へ行くことが難しく、髪型を整えるのに苦労されている方も多いでしょう。
そんなときに役立つのが「訪問理美容サービス」です。このサービスを利用すれば、自宅にいながら専門の理容師や美容師によるカットやシャンプーなどのサービスを受けることができます。
本記事では、訪問理美容サービスの基本から選び方、費用、予約方法まで詳しく解説します。
在宅介護中の家族の散髪にお悩みの方や、これから訪問理美容サービスの利用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
訪問理美容とは?
訪問理美容とは、外出が困難な方の自宅や施設に理容師・美容師が訪問し、カットやシャンプーなどの理美容サービスを提供するものです。高齢化社会の進展に伴い、近年ではこうしたサービスのニーズが高まっています。
一般的な理美容店に行くことが難しい方でも、自宅や入所している施設などで身だしなみを整えることができる便利なサービスです。
特に要介護状態の方や障がいのある方などの外出が難しい方にとって、定期的な散髪は生活の質を維持する上で重要な要素といえるでしょう。
訪問理美容サービスの仕組み
訪問理美容サービスは、専門の資格を持った理容師や美容師が、利用者の自宅や施設を訪問し、その場でサービスを提供するシステムです。サービスの流れは一般的に以下のようになります。
利用者または家族が訪問理美容サービスに予約を入れる
予約日時に理容師・美容師が訪問する
自宅の適切な場所(リビングやベッド周りなど)でカットを行う
多くの訪問理美容サービスでは、利用者の体調や状態に合わせたサービス提供を心がけています。
例えば、ベッドから起き上がれない方には、ベッド上での散髪が可能なように工夫を行います。
また、認知症の方など特別なケアが必要な方に対しては、認知症の方への対応経験があるスタッフが担当するケースもあります。
なお、訪問理美容サービスは主に以下の3つの形態で提供されています。
個人の理容師・美容師による訪問サービス
理美容店が提供する出張サービス
訪問理美容に特化した専門の事業者によるサービス
それぞれ特徴や料金体系が異なりますので、ご自身のニーズに合ったサービスを選ぶことが大切です。
どういった人が訪問散髪を利用できる?
訪問散髪サービスは、主に以下のような方々を対象としています。
高齢や疾病により外出が困難な方
障がいにより移動に制限がある方
施設に入所している方
認知症などにより理美容店での対応が難しい方
利用条件は事業者によって異なりますが、医師の診断書や要介護認定の有無などの要件が必要になる場合があります。
サービス内容や料金も事業者によってさまざまですので、事前に確認することをおすすめします。
また、訪問可能なエリアは各事業者によって設定されています。大手の訪問理美容事業者は全国展開している場合もありますが、個人の訪問理美容師の場合は対応エリアが限られる場合もあります。
そのため、お住まいの地域でサービスを提供している事業者を事前に調べておくことが重要です。
在宅介護の場合だけでなく、一人暮らしの高齢者の方も利用可能です。その場合は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談すると、適切なサービスを紹介してもらえることがあります。
身だしなみが介護生活に与える影響とメンタルケア効果
身だしなみを整えることは、外見の問題ではなく、要介護者の精神的健康や生活の質に大きく影響します。
特に散髪は、清潔感を保つだけでなく、自己肯定感を高める効果があります。
要介護状態になると、これまで当たり前にできていた散髪などの身だしなみのケアが難しくなります。髪が伸びてボサボサになると、本人の気持ちも沈みがちになる場合もあります。
そのため、きちんと散髪をして身だしなみを整えると、気分が明るくなり、前向きな気持ちになれることがあります。
定期的な身だしなみのケアは、要介護者にとって日常生活のリズムを作る上でも重要な役割を果たします。散髪の日を楽しみにしたり、散髪後に周囲から褒められることで社会とのつながりを感じられたりすることもあります。
特に外出の機会が減った高齢者にとって、訪問理美容サービスは貴重な社会的交流の機会となることも少なくありません。
また、散髪という行為は五感への刺激となり、脳の活性化につながる可能性があります。髪を切る感覚、シャンプーの香り、理容師との会話など、普段とは違う雰囲気がよい効果をもたらすことが期待できます。
さらに、散髪や身だしなみを整えることは、単に外見を美しくするだけでなく、要介護者の気持ちを高め、生活の質を向上させる重要な要素といえるでしょう。
特に長年身だしなみに気を使ってきた方にとっては、要介護状態になっても身だしなみを保つことができるという安心感は、精神的な支えになります。
訪問理美容の費用はどのくらい?
訪問理美容サービスの費用は、一般的な理美容店と比べて高額になるイメージがあるかもしれませんが、実際にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
また、地域によっては助成制度が利用できる場合もあります。ここでは、訪問理美容の料金体系や助成制度について詳しく解説します。
訪問散髪の料金体系
訪問理美容サービスの料金は、基本料金と出張料(交通費)で構成されることが一般的です。サービス内容や地域によって差がありますが、以下のような料金体系が多く見られます。
基本料金(カット): 3,000円前後~6,000円以上
出張料: 1,000円前後~3,000円以上
オプションサービス(シャンプー、顔そり、パーマなど): 各1,000円前後~5,000円以上
都市部と地方では料金に差があり、都市部の方が若干高めに設定されている傾向があります。また、距離が遠い場合は追加の交通費がかかることもあります。
サービス内容によっても料金は変わります。最も基本的なサービスはカットのみですが、シャンプーや顔そり、パーマ、カラーリングなどのオプションサービスを追加することができる事業者も多いです。これらのオプションサービスには追加料金がかかることが一般的です。
また、家族や同居者が同時に利用する場合、2人目以降は出張料が不要になったり、基本料金が割引になったりするサービスを行っている場合もあります。
複数人での利用を検討している場合は、こうした割引制度があるか確認してみるとよいでしょう。
支払い方法は、現金払いやクレジットカード、最近では電子マネーやQRコード決済に対応している事業者も増えています。サービス内容と合わせて事前に確認しておくと安心です。
地域別の訪問理美容助成制度と活用法
訪問理美容サービスの利用にあたり、お住まいの自治体によっては助成制度を利用できる場合があります。これらの制度を活用することで、費用負担を軽減することが可能です。
自治体各所では、65歳以上の高齢者や障がい者手帳を持つ方を対象に、訪問理美容サービスの利用券を発行したり、費用の一部を助成したりする制度を設けています。例えば、以下のような助成制度があります。
年に数回分の理美容サービス利用券の配布
サービス料金の一部(1回あたり1,000円~3,000円程度)の助成
出張料の一部または全額の助成
助成制度の内容や対象者の条件は自治体によって大きく異なります。
例えば、東京都新宿区では、要介護4・5以上の認定や身体障がい者手帳1・2級の認定を受けた65歳以上の方を対象に、年6回まで1回あたり2,000円の助成を行っています。
ただし、申請のタイミングによっては利用できる回数が少なくなる場合もあるため注意が必要です。
これらの助成制度を利用するには、通常、事前に申請が必要です。
申請窓口は、市区町村の高齢福祉課や障がい福祉課、地域包括支援センターなどが一般的です。申請に必要な書類は、自治体によって異なりますが、以下のようなものが多いです。
申請書(各自治体所定のもの)
要介護認定証のコピーまたは障がい者手帳のコピー
印鑑
本人確認書類(保険証など)
助成制度を利用する場合の一般的な流れは以下のようになります。
もちろん、自治体によって予約の流れや支払いのタイミングなどが変わってきますので、利用前に一度詳細を確認することをおすすめします。
自治体の窓口で申請し、利用券や助成決定通知を受け取る
訪問理美容サービスを予約する際に、助成制度を利用する旨を伝える
(提携事業者でないと助成が受けられないケースもあるため、事前に調ベておく必要があります)
サービス利用時に利用券を提出、または助成金額を差し引いた料金を支払う
一部の自治体では、いったん全額を支払い、後日申請して助成金を受け取る方式もある
お住まいの地域にどのような助成制度があるかは、市区町村の窓口や公式ウェブサイトで確認できます。また、担当のケアマネージャーがいる場合は、相談してみるのもよいでしょう。
介護保険の適応はできる?
訪問理美容サービスは、一般的に介護保険の適用外サービスとなります。介護保険は医療や介護に直接関わるサービスをカバーするものであり、散髪などの理美容サービスは対象外とされているためです。
保険適応という形ではありませんが、以下のようなケースで補助を行っている場合もあります。
訪問入浴サービスとの組み合わせ 介護保険サービスの一つである訪問入浴サービスと組み合わせて、シャンプーや簡単な整髪を提供する事業者もあります。
この場合、入浴に関わる部分は介護保険が適用されますが、カットなどの理美容サービス部分は自己負担となります。
介護予防・日常生活支援総合事業での対応
一部の自治体では、介護予防・日常生活支援総合事業の一環として、訪問理美容サービスの費用の一部を補助しているケースがあります。このサービスは支援が必要と判断された方が対象となることが多いです。
地域支援事業としての実施 市区町村によっては、地域支援事業として独自に訪問理美容サービスを実施している場合があります。この場合、通常の訪問理美容サービスよりも低価格で利用できることがあります。
介護保険適用外のサービスであっても、前述の自治体の助成制度を利用することで費用負担を軽減できる可能性があります。
また、訪問理美容サービスの利用について困ったことがあれば、担当のケアマネージャーや地域包括支援センターに相談してみましょう
訪問理美容はどうやって選べばいい?
訪問理美容サービスを利用する際、どのようにして自分に合ったサービスを選べばよいのでしょうか。
サービスの質や内容は事業者によって異なりますので、利用者の状態に合った事業者を選ぶことが重要です。ここでは、訪問理美容サービスの選び方、予約方法、準備するもの、そして受けられるその他のサービスについて解説します。
訪問理美容選びのポイント
訪問理美容サービスを選ぶ際は、以下のポイントを確認することをおすすめします。
資格と経験 事業者を選ぶ際には、理容師・美容師としての経験年数だけでなく、高齢者や障がいのある方への対応経験や研修の経験があるかどうかを確認しましょう。
特に認知症の方や寝たきりの方へのカットには特殊な技術と経験が必要となるため、事前の確認が必要です。
サービス内容と料金
各事業者によって提供されるサービス内容や料金体系は異なります。基本的なカットサービスだけでなく、必要な場合は以下のようなオプションサービスがあるかどうかも確認しましょう。
シャンプー
顔そり(男性)
パーマ
カラーリング
また、料金体系も明確に提示されているかを確認しましょう。出張料や追加料金がどのように設定されているかも重要なポイントです。
対応エリアと訪問可能日時
自宅がサービス提供エリア内にあるかを確認しましょう。また、訪問可能な曜日や時間帯も事業者によって異なります。緊急時の対応が可能かどうかも確認しておくとよいでしょう。
口コミや評判
可能であれば、実際にサービスを利用した方の口コミや評判を確認することをおすすめします。ケアマネージャーや地域包括支援センターのスタッフに相談すると、地域で評判の良い事業者を紹介してもらえることもあります。
衛生管理と感染対策
特に高齢者や体調の優れない方にとって、衛生管理や感染対策は重要な要素です。事業者がどのような衛生管理を行っているか、使用する道具の消毒方法や感染症対策について確認しましょう。
コミュニケーション能力
理美容サービスは技術だけでなく、コミュニケーションも重要です。特に高齢者や障がいのある方とのコミュニケーションには配慮が必要です。事前の打ち合わせや電話対応の際に、サービスを利用する高齢者に合った対応が可能かどうか確認しておくとよいでしょう。
予約方法と準備するもの
訪問理美容サービスを利用する際の予約方法と、当日準備しておくものについて解説します。
訪問理美容サービスの予約方法は、一般的に以下のような方法があります。
電話予約
直接事業者に電話をかけて予約を入れます。この際、利用者の状態(寝たきり、認知症の有無など)や希望するサービス内容を伝えると、適切な準備をしてもらえます。
ウェブサイトからの予約
大手の訪問理美容サービスでは、ウェブサイトから24時間予約を受け付けているところもあります。必要事項を入力して申し込みます。
ケアマネージャーを通じての予約
要介護認定を受けている方の場合、担当のケアマネージャーを通じて予約をする方法もあります。ケアマネージャーが地域の訪問理美容サービスと連携している場合は、紹介や予約の代行をしてもらえることもあります。
予約の際は、希望するサービス内容と合わせて、事前に気を付けてほしいことなどを共有しておくとスムーズです。
寝たきりである、車椅子を利用しているなど利用者の身体状況や特別な要望(髪型の希望、過去のトラブルなど)があれば共有しておきましょう。
準備するもの
訪問理美容サービスを受ける際には、以下のものを準備しておくと、スムーズにサービスを受けることができます。
もちろん、利用する事業者や利用者の状態によって準備するものが変わる場合や、そもそも準備の必要がない場合もあります。そのため、準備の必要があるかどうか事前に確認しておきましょう。
タオル
カット時に首に巻くタオルや、シャンプーを行う場合は追加のタオルが必要です。事業者によっては持参してくれるケースもありますが、事前に確認しておきましょう。
新聞紙やビニールシート
カットした髪の毛を受けとめるために、新聞紙やビニールシートがあると便利です。事業者によっては、専用のケープやシートを持参してくれる場合もあります。
写真や資料
希望する髪型がある場合は、雑誌の切り抜きや写真があると伝わりやすいです。過去に気に入った髪型の写真なども参考になります。
支払い用のお金
事業者によっては、サービス終了後にその場で現金で支払う場合もあります。事前に料金を確認し、釣り銭のないように準備しておくとスムーズです。
場所の準備
サービスを受ける場所も事前に準備しておくとよいでしょう。以下のポイントに注意して準備してください。
十分な明るさを確保する
車椅子や介護ベッドの周辺に十分なスペースを確保する
シャワーや洗面台が必要な場合は、移動しやすい場所を選ぶ
訪問理美容で受けられるその他のサービス
訪問理美容サービスでは、基本的なカット以外にもさまざまなサービスを受けることができます。事業者によって提供されるサービスは異なりますが、以下のようなオプションを提供している場合があります。
顔そり・眉カット 髭剃りサービスや眉のお手入れサービスなども提供されています。これらのサービスは、身だしなみを整える上で重要な要素です。 マッサージ・リラクゼーション 理美容サービスと併せて、頭皮や肩のマッサージサービスを提供している事業者もあります。リラクゼーション効果があり、血行促進にも役立ちます。 メイクアップサービス 特別な機会(誕生日や記念日など)に向けたメイクアップサービスを提供している事業者もあります。身だしなみを整えることで気分の向上が期待できます。 家族向けサービス 一部の事業者では、要介護者へのサービスと同時に、家族や介護者にもカットサービスを提供しています。外出が困難な介護者にとっても、自宅で理美容サービスを受けられるのは便利です。
これらのオプションサービスは、事業者によって大きく異なります。また、追加料金が発生する場合がほとんどです。利用を検討している場合は、事前に提供可能なサービスと料金を確認しておきましょう。
さらに、定期的な訪問プランを組むことで、身だしなみを継続的に保つことができます。事業者によっては1〜3ヶ月に一度など、事前にスケジュールを組むことが可能な場合があります。
定期利用することで割引が適用される場合もありますので、興味のある方は問い合わせてみるとよいでしょう。
まとめ
訪問理美容サービスは、外出が困難な高齢者や障がいのある方が自宅で理美容サービスを受けられるシステムです。専門の理容師や美容師が必要な機材を持参し、自宅や施設でカットなどのサービスを提供します。
料金は基本料金と出張料がかかり、オプションには追加料金が必要です。
身だしなみを整えることは高齢者の精神的な健康や生活の質を向上させる大切な要素です。多くの自治体では高齢者や障がい者を対象に助成制度を設けており、費用負担を軽減できる可能性があります。
サービス選びでは、経験や料金、対応エリア、衛生管理などを確認することが大切です。予約は電話やウェブサイト、ケアマネージャーなどを通じて行います。
訪問理美容サービスを上手に活用して、介護が必要な高齢者も家族も快適な生活を送りましょう。