創業120年を超える老舗人形店の中に駄菓子屋さん!?【節句人形と駄菓子のお店 サカヰヤ】子供たちでにぎわう高岡まちなかの憩いの場
昭和が始まった1926年から数えて、2025年でちょうど100年。
高度経済成長を遂げた昭和の子供たちの集いの場といえば、商店街や学校の近くにあった駄菓子屋さんでした。
わずかなお小遣いでも買える安価な菓子やおもちゃ、好きなカードやシールが当たるくじが所せましと並ぶ駄菓子屋さんは、子供たちにとってワクワクとドキドキが止まらない夢のような場所。限られた金額で目当てのものをやりくりしなければならず、暗算や金銭感覚を身に付ける経験の場でもありました。
近年はコンビニの台頭によってめっきり見かけなくなりましたが、時代が変わっても駄菓子は子供たちに大人気。
今回は、高岡まちなかの商店街で懐かしい昔ながらの駄菓子屋さんの雰囲気を宿す「サカヰヤ」を紹介します。
高岡大仏を拝む坂下町商店街 人形店の中の駄菓子屋さん
「サカヰヤ」があるのは、富山県高岡市のまちなか。400年の歴史を誇る“鋳物のまち”のシンボル・高岡大仏のおひざもと「サカノシタ(坂の下)」の商店街です。
大仏だけではありません。坂下町は、開町の祖・前田利長ゆかりの高岡御車山祭の奉曳巡行に参加する町のひとつ。しかも、山車を持たず、獅子頭を持って露払いの先導役を務める唯一の町で、高岡の歴史と文化の中心部でもあります。
そんな坂下町の商店街では、創業100年を超えるような老舗店と若い店主が新しい感性で営む個性的な店が混在し、今もなお高岡のまちなかでにぎわいを生み出し続けています。
歴史ある商店街で創業120年超の人形店
サカヰヤの創業は1902(明治35)年。
雛人形や五月人形、天神様や七夕飾りなど、節句の人形や飾りを扱う専門店として120年以上にわたって営業する老舗です。
2018年から店内にオープンした本格的な駄菓子コーナー
そんなサカヰヤの一画で2018年にオープンしたのが、駄菓子屋さん。
高価な節句人形などが整然と並ぶのとは対照的に、駄菓子のコーナーでは昔ながらのなじみ深い商品や話題の新商品、それに、くじやその景品などがずらりと並んでいます。
それにしても老舗人形店がどうして駄菓子屋さんを始めることになったのか、気になりますよね。
「坂下町通りでは毎月2回、朝市を開催しているんですが、昔は、子供たちが楽しめるお店があまりなかったんです。そこで、テーブルをひとつ置いて駄菓子を並べてみたら、子供たちがとても喜んで。それでテーブルをひとつ増やし、ふたつ増やし…としているうちに、駄菓子屋になっちゃいました」
やさしい口調で教えてくれたのは、4代目となる店主の酒井金吾さんです。
大仏のご利益にあずかる!? たかおか朝市がきっかけに
4~10月の第2・4日曜に開催している「たかおか朝市」。
坂下町通りを歩行者天国にし、地場の特産品や青果物、塩干物、加工食品、苗木、切り花、リサイクル品など、多くの販売店が早朝5時30分から軒を連ねます。
地元の市民を中心に市街からも多くの人が訪れますが、家族と一緒に訪れる子供たちにもっと楽しんでもらいという想いから駄菓子を販売。ところが子供たちの反響は酒井さんが予想していた以上で、ついには常設で店内に駄菓子屋をオープンするまでになりました。
朝市や祭りの日はもちろん、今では「お金の大切さや使い方を勉強させたい」という家族や、社会勉強を兼ねた保育園の遠足、小学校の郊外学習などで、多くの子供たちが訪れるにぎわいスポットになっています。
「駄菓子屋という場所で生まれる、子供たちのよろこびであったり、葛藤であったり、コミュニティみたいなものが、今の時代にもあっていいのかなと思います。オープンして7年ですが、子供たちの成長も見られるとうれしいですし、とにかく子供たちの笑顔がなによりですね」(金吾さん)
店では、3代目の酒井敏行さんと手話で会話ができる奥さん、そして息子の金吾さんが子供たちの成長をほほえましく見守っています。
6月から9月にかけては射的コーナーも常設していて、朝市では早朝から子供たちでごったがえす日もあるんだそう。
時代が変わっても、駄菓子屋さんは子供たちにとってさまざまなことを学べる小さな社会であり、ワクワクがとまらないワンダーランドのようです。
【たかおか朝市】概要
開催日:4~10月の第2・第4日曜日
時 間:5:30~8:00
場 所:坂下町通り(やわやわ参道)
問合せ:090-6811-3137(たかおか朝市実行委員会)
※朝市電車で来場した人には、RACDA高岡サービス券(200円分)を進呈
※朝市開催時間内(5:30~8:30)は、市営御旅屋駐車場が3時間無料で利用可能です。ただし、5:30以前の入場は無料対象外となるのでご注意下さい
子供に人気の駄菓子ベスト5
さて、ここからはサカヰヤで人気の駄菓子を紹介します。
季節や流行りによって人気商品も変わってくるそうで、店では毎月売れ筋の駄菓子をランキングで紹介しています。
「季節によっても違いますし、大人と子供でも買っていく駄菓子が違っていて面白いですよ」(金吾さん)
というわけで、まずは令和世代の子供たちに人気の商品ベスト5です。
第5位 フーセンガム すっぱいガムシリーズ
第5位は、3個にひとつが超すっぱいフーセンガムが入っている「すっぱい◎◎にご用心」シリーズ。
ぶどうやレモン、ソーダ味のガムの中に、ひとつだけ超すっぱいガムが隠れているので、友達や家族と一緒に楽しむ子供も多く、大人も子供も超ドキドキです。
第4位 おとくでっせ
第4位は、超ビックなお金チョコ「おとくでっせ」。
大きな500円硬貨の形の丸いチョコーレートは食べごたえがあって、これだけも満足なんですが、一番の魅力は10円~100円の当たり文字が入っていること。子供たちにとって100円は超ビッグな臨時収入。開けるときのワクワクが止まらない、オトクなチョコレートです。
第3位 ハンバーガーグミ
第3位は、ハンバーガーの形をした、その名も「ハンバーガーグミ」。
グミは近年、10代~20代にも人気のお菓子ですが、こちらは子供たちが大好きなやわらかい食感が特徴。丸くて厚みがあるので、小さな子供なら口いっぱいにグミのおいしさを楽しめそうです。
オレンジと緑と赤のカラフルな見た目も子供がよろこびそうです。
第2位 アニマルヨーチ
第2位は、個包装に動物の絵柄が描かれたビスケット「アニマルヨーチ」。
黄色や白、ピンクなどのカラフルカラーで、どれにしようか迷ってしまう子供が続出なんだとか。ビスケットのサクサクとした食感と砂糖のコーティングで何個でも食べられちゃいます。
第1位 金券付きお菓子
1位は圧倒的な人気を誇るという「金券付きお菓子」。バリエーションは豊富で、たとえば「サッカースクラッチ」は、中にラムネとスクラッチカードが入っています。
サッカーの国際大会をイメージしたカードで、銀色の部分を削ると、日本の対戦相手が出てきます。下の銀色の部分を削ると数字が出てきて、日本が勝てばなんと最大100円が当たる特典付き。
スクラッチのドキドキ感、当たったときのよろこびは、大人も子供も一緒なんですね。
大人に人気の駄菓子ベスト5
一方、大人に人気のお菓子は、自身が子供のころに親しんだお菓子が多いよう。
大人買いしていく人も少なくないそうで、年代を超えて愛されるロングセラー商品も少なくありません。
第5位 ふがし
第5位は、ふがし。
黒砂糖の香ばしい香りが広がり、外はサクサク、中はふわっとしっとり。子供の頃に親しんだふがしを懐かしむ昭和世代に大人気です。
第4位 きなこ棒
第4位にも定番の駄菓子がランクイン。「きなこ棒」です。
きな粉の風味とやわらかい食感、ハチミツも入っている独特の甘さが人気。コロナ禍をきっかけに3本入りの個包装になりましたが、昔と変わらず売れているそうです。
第3位 なつかしカレー味
第3位はスナックの「なつかしのカレー味」。この日は売り切れで写真と撮ることができなかったんですが、ロングセラー商品なので、ネーミングだけでわかる人も多いのでは?
イカに切り込みを入れて焼いた時のような面白い形が特徴のスナック菓子です。
カレー風味のピリッとしたスパイスが効いていて、食べだしたら止まらないという人も多いのでは?
第2位 ビッグカツ
第2位は、昭和の大ヒット商品「ビッグカツ」シリーズです。
魚肉のすり身をベースとしたシートとソースを混ぜ込んだ衣はクセになる味わい。カリッとしたパン粉の食感、オリジナルソースの香ばしい風味は、発売当時、子供たちにとって衝撃でした。
現在は定番のソース味だけでなく、カレーカツやハムカツなどのラインナップもあって、どれにしようか迷ってしまいます。
第1位 ポテトフライ
第1位は、箱買いする大人が続出だという「ポテトフライ」。
揚げたてのチキンの香りにスパイシーなガーリックとジンジャーを加えた本格派「フライドチキン味」のほかに、「じゃが塩バター味」と「カルビ焼きの味」も。
4枚入りで小腹がすいたときやビールのおつまみにも◎。超ロングセラー商品です。
【サカヰヤ 】
住所 富山県高岡市坂下町1216
営業時間 10:00~18:30
定休日 水曜(5月連休明け~10月)