Kroiが早稲田大学にてライブ開催!学生企画ならではのエピソードとは
11月3日、日本最大級の学園祭である早稲田大学の「早稲田祭」にて、ロックバンド「Kroi(クロイ)」がライブを行った。
大歓声に迎えられ登場したKroiはライブ定番曲『Juden』を演奏。その後アニメ主題歌『Sesame』、サブスク未解禁のキラーチューン『Noob』と続いた。
MCにてボーカルの内田怜央は「Kroiは、学園祭に出るのは今回が初めてなので、めちゃめちゃ光栄です」「我々、普段から文化祭みたいなMCをしているので今日は水を得た魚です」と内田節で会場を笑わせた。
Kroiのライブといえば人気曲『Fire Brain』でのブレイクからのシャウトだが、もちろん今回も披露し、迫力ある演奏と音圧にフロアは大熱狂。『Monster Play』では長尺のソロ回しで学生らを圧倒していた。
途中、MCにて「(久しぶりに学校というものに来て)喫煙所で一番ノスタルジーを感じました」と語る内田怜央。実際、ライブ開始前から「Kroiが喫煙所にいる」と早大生の中で話題になっていた。一緒に写真を撮ってもらった学生も多く、Kroiの飾らない人柄が伺えるエピソードである。
他にも『Balmy life』や『Hyper』『Never Ending Story』など有名曲からライブ定番曲まで大ボリュームの11曲を披露しライブを終えた。
「変な音楽をやっているんですけど、気になったら覗いて見てください」「これからも誰もまだ作っていない音楽を作っていきます」とメッセージを残しステージを去っていった。
今回のライブを企画したのは学生のみで運営している「WASEDA ARENA SUMMIT」というサークルだ。一体どのような団体なのか、そしてどうやって学生だけでこの大型ライブを成功させたのか、代表の宇野澤氏(3年)、副代表の水野氏(3年)、広報の野口氏(2年)の3人にインタビューを行った。
セブツー:まずはじめに、「WASEDA ARENA SUMMIT」とはどのような団体なのでしょうか。
(宇野澤)早稲田大学UBC、Waseda Music Records、ROCK STEADY WASDEA(いずれもライブ企画サークル)という3つの団体がありまして、その中から有志で集まってWASEDA ARENA SUMMITという団体になっています。それぞれだけでは出来ないけれど3団体が集まれば資金も人数も集まるということで。普段は別々で活動していて、早稲田祭のために集まっているという感じです。コロナ禍を除いて、今年で5年目になります。
セブツー:早稲田祭の期間だけ活動されているのでしょうか。
(宇野澤)活動自体は早稲田祭に向けて一月頃から始めています。
セブツー:一年近くかけて準備されていたんですね。
今回Kroiさんを呼ぶことになった理由はどのようなものでしょうか。
(宇野澤)まず最初に、学生人気があるバンドというところで探していました。
(水野)加えて、今勢いがあるという基準もありました。(Kroiは)一月に武道館公演をされていたので。
(宇野澤)そう、集客力ですね。あとは、他の団体も同じ早稲田アリーナでライブ企画をされていて、今年はFRUITS ZIPPERさん、Da-iCEさん、マカロニえんぴつさんを呼ばれていたので、そのような他の団体との差別化を意識したいというのもありました。他の団体と比べて私たちは唯一音楽に特化した団体だったので。プライドじゃないですけど、「ライブに来たことがない人に来て欲しい」というコンセプトが団体にあるので、音楽が好きな人だからこそ出来るブッキングというところは、話し合いの時に結構意識していました。
セブツー:1月から始まった長い準備期間の中で大変だったことは何でしょうか。お一人ずつお願いできますか。
(野口)私は広報担当として色々な方にイベントを知っていただきたいという気持ちが第一で動いていたのですが、スケジュール管理が大変でした。SNS投稿、早稲田周りやライブハウスでのビラ配り、プレスリリースと色々させていただきました。一番人数が必要な部署でもあったので、一年生の子たちに教えたり引き継いだりしながら、先方に失礼がないように一緒に進めていくことも一番気をつけていました。
(宇野澤)今年5年目で、こういう大きなイベントの広報のノウハウがまだ無くて。これまでコロナ禍明けでそもそも集客できるキャパシティが少なかったので、あんまり宣伝しなくても埋まっちゃう感じだったので…。広報の前例があまり無くて大変だったと思います。去年からやっと少しずつノウハウが出来つつあるという感じです。
セブツー:SNSの投稿やアートワークも全部ご自身たちで行われていたのでしょうか。
(宇野澤)そうですね。アートワークも私たちの団体にいる美大生の子が担当してくれました。入場特典やパンフレットとかも全部その子にやってもらって。それが他の団体との差別化というか、オリジナリティという面で、いい意味で学生らしくなくて良かったなと思います。
セブツー:めちゃくちゃかっこよかったですよね。SNSで何か工夫されていた点はありますか?
(野口)ハッシュタグの抽選企画に今年は特に力を入れました。サイン付きCDが5名様に当たるという抽選企画を今年初めて打たせていただいたのですが、その拡散力が結構大きかったのではないかと思います。あとは時間帯にも気をつけていて、より多くの学生の方に見てもらいたかったので大体の授業が終わる18時頃に登校するように意識していました。
セブツー:ありがとうございます。水野さんはいかがでしょうか。
(水野)私は副代表だったのですが、一番大変だった仕事は当日の警備計画のシフト制作ですね。3団体全体で80人のスタッフがいて、そのシフトを場所ごと、時間帯ごとに組まなければいけなくて。
アーティストもプロの方、お客さんも一般の方なので学生気分ではやるわけにはいきませんでした。マニュアルも制作して仕事内容を共有するようにしていました。
セブツー:アーティスト側とのやり取りはどうされていたのでしょうか。
(宇野澤)全部自分がやっていました。
大変だったことでいうと代表なので全てを把握しておかなければいけないことですね。協賛もお願いしたのでその進捗とかアーティスト側の要望とか音響会社とか。誰かしら1人は全部把握している人がいないとと思って。
セブツー:3つの団体が合同で動いている分、まとめるのはすごく大変そうですね。
(宇野澤)給料などが発生するわけではないので、全員に仕事を振るようにしてモチベーションを上げてもらえるようにしていました。
セブツー:ライブの照明とか音響、映像はどなたが担当されていたんですか。
(宇野澤)照明と音響はアーティストさん側からの乗り込みで、映像は早稲田大学放送研究会です。特に注文とかはしてなかったんですけど、フェスっぽい映像にしてくれました。
セブツー:学生だけで広報、レーベルとのやり取り、演出をする時にこだわったことや気をつけていたことは。
(宇野澤)基本的なことですけど、礼儀とか、プレゼン資料が学生っぽすぎないようにとか。学生団体とはいえど、お金のやり取りが発生するので、学生のがむしゃらな部分を利用しつつ、いいバランスでやれるように。
セブツー:そのがむしゃらさを活かして、学生だからやれたなってことはありますか。
(野口)毎日投稿ですかね。
(水野)学生はマンパワーがあるので。
セブツー:確かに普通のライブで毎日投稿はみたことないです。
(宇野澤)(アーティストへの)寄せ書きとか、ケータリングとか。思いつくものは全部用意しました(笑)。
(野口)ビラ配りとかも。
(宇野澤)そうだね。早稲田祭全体を盛り上げたいなっていうのもあったので、早稲田の周りの飲食店とか雑貨屋さんとかにめちゃくちゃ貼らせてもらいました。
あとは、早稲田祭に向けてプレイベント的立ち位置でフリーライブを行いました。プロのアーティストを呼んでの弾き語りライブで、PAさんはバンドサークルにお願いして。他にも出版サークルや服飾サークルを呼んで、学生中心のイベントでした。また、学生たちで音楽業界を盛り上げたいという思いがありました。私たちは「初めてのライブ」をコンセプトにした非営利団体ですので、学生が来やすいようにチケット代を安くして、お金というハードルを下げられるように努めました。
セブツー:ありがとうございます。では、当日に印象に残っているエピソードはありますか。
(宇野澤)Kroiさんは全員タバコを吸われるんですけど、5人全員で学生会館の喫煙所に行かれて。それに付き添った時に、喫煙所にKroiファンの学生がたまたまいて、その人たちにどんどん「一緒に写真撮ろうよ」みたいなこと呼びかけてて。マジでいい人たちだなって(笑)。自分もちゃっかり撮ってもらっちゃったんですけど、めっちゃいい人たちです。
というのと、あとは当日の盛り上がり。自分は一曲目の始まりくらいでちょっと泣いちゃったんですけど。曲が始まった時の、歓声、どよめき、お客さんの圧みたいなのがすごい。
(水野)びっくりしちゃった。 一階のフロアいっぱいのお客さんとか、手を上げている人とか盛り上がっているのを見ると、これを自分たちが呼んだんだと。
(宇野澤)一年弱が報われたじゃないですけど、このためだったんだって実感しましたね。
(野口)普段自分がお客さんとして客席から見る立場だからこそ感慨深かったです。
(宇野澤)当日を迎えるまで、実感がなかったです。ずっと忙しくて、気づいたら当日になってて。いつの間にかライブ始まっていました(笑)。後輩がもう一回これを味わえるの羨ましいです。
セブツー :では最後に企画を振り返って伝えたいことなど、お一人ずつお願いします
(野口)普段自分がお客さんとして来ているものを自分たちの手で作りあげられたっていうのが、大学に入る前じゃ想像できなかったことなので、大きなイベントに携われてすごい幸せでした。これからの将来でも何度も思い出すような大切な経験です。
(水野)Kroiのファンの皆さんがすごく優しいというか、盛り上げてくださる方がすごい多くて。情報解禁した直後から早稲田祭にKroi呼んでくれるの嬉しいとか、センスいいとか(笑)、そういう声もすごく多くいただいて。ハッシュタグ企画をやった時もSNSでポストしてくださる方も多くて。ライブの動画もいっぱいあげてくださって、そういう声を直接もらえたのがすごく嬉しかったし、やってきてよかったと思いました。
(宇野澤)学生団体でこれだけ大きい規模でできるっていうのがまず恵まれすぎてるなって思うので、アーティストチーム、運営スタッフ、自分たちの団体、来てくれた方々にありがとうございますと伝えたいです。来場者の方が清々しい顔で帰って行くのを見れて。日常のどこかで思い出してくれるような、日常を彩るような思い出の一つになっていたら本望です。
あとは、来年にも繋がるようなイベントにしたいと思っていたので、来年以降も楽しみにしたいです。
(水野)楽しみにしててください!