アートと暮らし結ぶ「菰山展」11月8日から菰野町で初開催 歴史的建築や窯元を舞台に作家10人が展示
今秋、新たなアートイベント「菰山展(こざんてん)」が、11月8日(土)から16日(日)まで三重県菰野町の歴史的日本建築や窯元集落の工房など5か所で開かれる。絵画、陶芸、彫刻、書、写真など、多彩なジャンルの作家10人が出展。地域文化とアートを日常の中で結びつける意欲的な試みとなる。
文化を楽しむ力を地域に
発起人の画家・佐野洋平さん(46)は、「文化を楽しむ力を地域に根づかせたい」と語る。アートと観光、さらには経営層への創造的思考の刺激を交えた構想も持つ。
鉄で馬を造る彫刻家・銅谷祐子さん(63)は、かつて湯の山乗馬クラブにアトリエを構えていた。「芸術は人間の再生。感動が人の行動を導く純粋な動機になる」と力強く語る。年月を経た古民家や文化財という空間を舞台に、鑑賞者の心と作品が化学反応を起こすような感動体験を届けたいという。
「アートの森」から精神的に豊かなまちづくりへ
今回の取材は、会場の1つである森正さん(85)の工房兼ギャラリー「馬酔木窯(あしびがま)」で行われた。四日市の陶磁器にアートの息吹を注いだ森さんの工房は、イオングループ共同創業者・小嶋千鶴子さんも通ったことで知られる。
緑に囲まれたその場所で、森さんは「ここを『アートの森』として活用したい。アートに目覚めることで、精神的に豊かなまちづくりにつながる」と語る。戦中戦後の記憶を持つ世代として、次世代の教育環境にも思いを寄せた。
同展は、寿亭水雲閣や鎮驚庵、旧重盛邸「おやまの家」など名建築で開催。特別企画として、重森三玲作庭の横山邸園とのコラボ展示も予定(予約制)。展示時間は午前10時〜午後4時、一部特別企画を除き観覧無料。今回を第1回として、3年ごとのトリエンナーレ化を目指している。
◆開催情報
菰山展(こざんてん)
会期: 2025年11月8日(土)〜11月16日(日)
時間: 午前10時〜午後4時
会場: 三重県三重郡菰野町内 5会場
旧重盛邸おやまの家、馬酔木窯、寿亭水雲閣、鎮驚庵(以上4会場は入場無料)
菰野横山邸園(特別企画・11月8日・9日/有料・要予約)
出展作家:稲垣竜一(陶芸)、金沢健幸(浮世絵)、笹浦裕一朗(漆器)、佐野洋平(絵)、谷口竹城(書)、近澤裕司 (家具)、銅谷祐子 (鉄)、平田茂 (石彫)、松原豊 (写真)、森正(陶芸)
公式サイト: https://kozanten.com/
主催: 菰山展実行委員会