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【立ち食いそば放浪記328回】かき揚げ天の塔がそびえる! 新宿かのや「揚げたて菜の花天そば」に感じた春の足音

ロケットニュース24

ぼんやりした光にカーテンを開けると、しとしと降る雨。昨日の晴天とは打って変わっての灰色のベールに、気温も不機嫌だ。温かい日が続いたかと思えば寒さがぶり返す。三寒四温というヤツだが、できれば温かいままがいいと思うのが人の性。気候よ、もっと甘やかしてくれ

「春はまだか……」と思うことが春が近づいている証拠なのかもしれない。そう言えば先日、立ち食いそば屋でそんな春の足音を感じました。

【写真】食券機のメニュー

・かのや新宿西口店

それは2025年3月1日、よく晴れた土曜日のこと。なんならダウンを着て外に出たことをちょっと後悔するくらい新宿西口近辺は温かかった。ここまで天高ければ、馬じゃなくとも肥(こ)ゆる。肥ゆる肥ゆれば肥ゆる時。時間はちょうどお昼時。

昼ごはんを食べる店を探していたところ、立ち食いそば屋の『かのや』に期間限定メニューの貼り紙が。その名も「揚げたて菜の花天そば・うどん(税込620円)」である。

・デカイ

菜の花天とは風情がある。春にはまだちょっと早いけど、それがむしろ春を呼んでいるかのようだ。そこで注文してみた。菜の花がふんだんに使われたかき揚げ天は緑が映える。それにしても……

デカイ。表のポスターでも菜の花天の大きさは見て取れたんだけど、立ち食いそば屋のかき揚げ天って大きく見えても実物は他の店と大して変わらないパターンがある。だが、この菜の花天は他の店であまり見かけないレベルだ。なにせ分厚い。

その分厚さは円筒と呼べるくらいの高さがあり、そばから突き出していて、まるで斜塔がそびえているようにすら見える。まさしく花の塔だ。

君の手を握ってしまったら

孤独を知らないこの街には

もう二度と帰ってくることはできないのでしょう

春の魔物。というわけで、箸と箸でそばを食べてみたところ、かき揚げ天には菜の花以外にも、たまねぎ、タケノコ、小エビなどが入っている。タネにも春を感じずにはいられない

・関東風と関西風が選べる

そんなかき揚げ天が手を差し伸べるつゆは酸味が強いのが特徴的。ゆえに、スッキリした後味があって、太めのそばでも野暮ったさは少ない。また、特徴的な点はもう1つあって、実はこの店、関東風だしつゆと関西風だしつゆを選ぶことができるのである

何も言わなければ、そばは関東風だしつゆでうどんは関西風だしつゆになるのだが、注文の際に変更することも可。つゆへのこだわりが感じられる興味深いシステムだ。

ちなみに、そばだしは本鰹節、宗田鰹節、サバ節でとったもので、うどんだしは瀬戸内のにぼし、利尻昆布、ウルメ、鰹、サバでとったものらしい。うどんだしつゆはまろやか仕立てなんだそうな。

そばつゆかうどんつゆか。だしの取り方まで違うのだから面白い。これは言わば、岐路だ。さて、あなたは関東風か関西風か、どちらの未来を選び取るだろうか。選択の……春!

店を出ると、影が濃くなるような太陽の光。よく考えると季節外れの暑さである。新宿のビルが白昼夢のように輝く。蜃気楼でも見てるような幻影感。返す返すも、春はもうすぐそこだなあ。

・今回紹介した店舗の情報

店名 かのや 新宿西口店
住所 東京都新宿区西新宿1-16-11
営業時間 月~金7:00~23:00 / 土・日・祝日9:00~23:00
定休日 無休

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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