金町さんぽのおすすめ8スポット。輝きはじめた東京最東端が今、面白い!
亀有・柴又という有名な下町に挟まれ、少し知名度が低かった金町。でも、東京理科大学の葛飾キャンパスの開設やタワマンの新設ラッシュで街に楽しい化学変化が!輝きはじめた東京最東端が、今、面白い。
ワインとケーキでおいしい背徳『GURA』
店主・藤田さんが、自身の大好きなワインとチーズケーキのペアリングを提案。いちごゴルゴンゾーラ650円をはじめ10種ほど揃うチーズケーキは甘さ控えめのなめらか食感で、ワインとしっかり合う!「ワインとともにお口のなかでぜんぶとろけてほしくて。ワインはタンニン系よりウチのケーキに合う果実味のあるものを選んでいます」。
12:00~23:00、月休。
☎03-5876-3018
暮らしを彩る小さな口福『菓子屋 NOOK』
30種近くの焼き菓子が並ぶ対面販売のお店を2021年に開業。「店名には端っこと、こぢんまりとした居心地のいい空間という意味があるんです」と野﨑さん。表面のグラスにレモン果汁、生地にフレッシュピールを削り入れたレモンケーキや、ホワイトチョコラスク650円など、材料と手間を惜しまず作ったお菓子たちが金町の甘党をとりこに!
10:00~19:00、日・月休(不定休あり)。
☎050-1002-1009
サザエさんの家にお呼ばれしたよう『ホステル花庵』
松本薫さんは、築55年のご主人の実家を改装し、ゲストハウスをオープン。「花屋の奥にあるので花庵。床の間など昭和の家の風情は残し、壁は漆喰、床は杉板で仕上げました」。客室はちゃぶ台の置かれた畳敷きの桜の間や、義理の娘の梨沙子さんが内装をコーディネートした別棟の富士の間など7室。既に五大陸全部からお客さんが泊まりに来たそう!
1泊6800円程度~。
☎090-9320-4721
下町っ子の胃袋つかむ長期熟成パン『BRUNO BREAD』
「地域密着でやりたかったから、駅前から少し離れた場所で、買いやすい価格帯のパンを作ってます」と松本裕矢さん。長期熟成により小麦の風味ともっちり感を引き出したパンを求め、お昼時は地元の老若男女でにぎわう。子供にも人気のマッサマンカレーを入れた焼きカレーパン260円と、明太ソースたっぷりの明太フランス370円が二大看板!
10:00~19:00、月・火休。
☎03-5876-4086
おしどり夫婦の笑顔咲く『花時計』
2代目の山﨑栄作さん・寿美(としみ)さん夫婦が切り盛りする創業55年(2025年2月時点)の生花店。寿美さんが得意とするアレンジメントは、花で猫や金魚などを表現するペットシリーズが人気だ。栄作さんいわく「昔、金町って北口がなかったから、ガード下から水元公園へ延びるこの通りは人の往来がすごかった。酒販店に洋品店、銭湯もあったよ」。
9:30~18:00ごろ(日・祝は~15:00ごろ)、無休。
☎03-3600-5026
東南アジアの熱気をお皿に込めて『さいとう食堂』
東南アジア料理を食べ歩いてきた齋藤崇章さんと沙絵さん。ラオスのラープムやタイのヤムウンセン各930円など6カ国の料理を味わえる。人気のガパオライスは、辛さとタイバジルの風味がガツンときて、カフェ飯とは違う鮮烈な味!「どれも注文後にイチから手作り。現地の味をベースに研さんを重ねています」。
11:00~15:00・17:00~21:30(金・土は~22:30)、日・祝休(水はディナー休)。
☎03-5876-6403
東京東部の葛西三十三郷の総鎮守「葛西神社」
創建は元暦2年(1185)。武の神・経津主神(ふつぬしのかみ)を祭り、必勝祈願の参拝客も多い。江戸時代初期には徳川家康が参拝し、操り人形芝居を観て感銘を受けたことから、徳川家より14代にわたって10石を賜り続けた。「地元のタワマンの地鎮祭も執り行ってきました。理科大や区内最大の図書館もでき、金町は文京の街に変わりつつあります」と宮司の香山伸一さん。
社務所9:00~17:00、無休。
☎03-3607-4560
金町っ子の新たな集会所が北口に誕生『インベーダー商店』
7つのタップ・缶・瓶売りで計80種近くのクラフトビールと、自社ソムリエ厳選のワインが揃う。「ここは酒屋兼、酒場兼、カフェ。50歳前に仲間と集えるような場所をまた作りたくなったんです」と釜賀さん。ハーブと柑橘系でマリネしたローストポークのキューバサンド1050円をはじめ軽食・つまみも充実。専用ペットボトルによるビールの量り売りも!
11:00~24:00、火休。
☎03-5876-5323
23区の辺境に吹く新しい風
タワマンが長い影を落とす南口の路地を歩く。さらに細い道へと曲がると毛筆体で深川酒場と書かれた渋いのれん、その先に瀟洒(しょうしゃ)なゴシック体の『菓子屋 NOOK』の看板が見えた。
木の扉を開けると、ラスクの焼けた香ばしい香りがふわり。店主の野﨑敦志さんいわく「WAOさんをはじめ、南口の路地には個性のあるお店がどんどん増えている印象。ここを借りる際『まじめにコツコツやってれば、かわいがってくれるような土地柄だよ』と不動産屋さんに言われました」。
野﨑さんが素敵な店と教えてくれた『GURA』は、なんとチーズケーキとワインのペアリングがウリ。
「誰もしてないようなことをやりたくて! ここはカフェやビストロでもあるけど、一番はケーキがおいしい酒場でありたいんです」と2022年にお店を開いた藤田瞳さん。
金町湯を過ぎて南へ折れると、金町末広商店会のメイン通りへ。同商店街で2017年頃に開業したのが『ホステル花庵』だ。代表の松本薫さんは「宿泊のお客さんに『意外と東京に近くて便利』と言われたとき、心の中で『ここ23区なんですけど!』とツッコミました。川を越えたらすぐ千葉県、ですけどね。でも昔に比べ、“今風の街”になった気がします」と笑う。
ガード下を潜(くぐ)り北口に出ると、にいじゅくみらい公園の奥にキラキラ光る東京理科大学の研究棟が見えた。
「(2025年)4月に薬学部も葛飾キャンパスへ移転してくるし、さらに若者も増えるでしょう」とは、老舗生花店『花時計』の山﨑さん夫婦。試しに、家族への誕生祝いのブーケをお願いすると「何色が好き?」「差し色に水色も入れようか?」と親身に花を選んでくれる。距離感の近い接客と温かい笑顔で、時計が昭和に巻き戻った。
「駅前の地元密着立ち食い『そばっ子』がなくなった時、歴史が変わったと感じました」と振り返るのは、『さいとう食堂』料理長で金町出身の齋藤崇章さん。街の様子は変わりつつあるが「地元出身の人がやってるコアで魅力的な個人店が、各所に点在する」のは不変なのだそう。
『インベーダー商店』を2023年に開店した釜賀隆太さんも金町出身だ。代表として何軒かお店を展開するなか、コロナ禍で常連さんの優しさを改めて実感。また現場に戻りたいと思い、この酒場を立ち上げた。
「ここのお客さんは気持ちのいい人が多くて、お客さんというより仲間・家族。人と人がつながりやすい金町は、やっぱり下町ですね」
取材・文=鈴木健太 撮影=原 幹和
『散歩の達人』2025年3月号より