野鳥撮影30年の後藤さん 「追わずに静かに観察」
「駅近くで多くの野鳥が見られる川は珍しい。都内から来る人もいますよ」。栄区小菅ケ谷に住む後藤仁さん(舞岡探蝶団団長)はいたち川の魅力をそう語る。いたち川、柏尾川、金井遊水地、舞岡公園などで植物、蝶、野鳥を撮影して30年。
愛鳥週間を前に後藤さんといたち川を歩いた。
カワセミは水上2m
後藤さんがいたち川で撮影するのは、区役所付近から下流。カワセミ、カルガモ、ユリカモメ、アオサギ、コサギ、シジュウカラなどが生息しているという。
早速、青い羽の鳥が石の上に止まった。カワセミだ。撮影のコツは「横から撮ること」。シルエットが分かりやすくなる。さらに、「目にピントを合わせる」のもポイント。「最近のカメラは自動で目にピントが合うので楽でよい」と笑う。いたち川は川幅が狭く、護岸の高さも低いため近くで撮影できるそうだ。
後藤さんによると、カワセミは水面から2m以上の高さの場所に止まり、水中の餌を探す。そのため、川の上に伸びた蔦や枝、さらに川に降りるためのはしごが止まり木になるという。
警察学校前の泪橋付近まで来て足が止まった。「あそこを見て下さい」と指さしたのは橋の下の吐口。本郷台駅方面から水道管が伸び、川に流れ込む。この水は温度が高く水性昆虫が発生しやすいという。「昆虫を狙い鳥が来る」。野鳥が集まりやすい地点だそう。
その他、柏尾川との合流地点にも鳥が集まる。「魚が集まると鳥も集まる」。食物連鎖がもたらす生物多様性だ。
カメラ持つ人多いが
後藤さんに野鳥撮影時に注意することを聞くと「追いかけずに見てほしい」と返ってきた。いたち川では鳥にカメラを構える人が多い。しかし、ひとたび鳥が飛び立つとそれを追いかけるように人も移動。後藤さんはこれが「鳥を驚かせる」と指摘する。「すぐに戻ってくるので、静かに見てほしい」と話した。
ちなみに、5月でオススメの野鳥は「カルガモの親子」。親鳥を追う愛らしい小鳥が現れる。