南高校 読書活動で文科大臣表彰 直木賞作家と交流等評価
港南区の市立南高等学校が2025年度の「子供の読書活動優秀実践校」に選ばれ4月23日、文部科学大臣表彰を受けた。同校が過去2年間で行った直木賞作家との交流や「古本市」などが評価された。
子どもの読書活動推進を目的として、特色のある活動を行う学校、園、図書館、団体・個人を文科省が表彰するもの。今年度は横浜市の3件を含む全国262件が表彰を受けた。港南区、栄区からは同校が唯一。
同校で読書活動の推進に携わっているのは、小説などを書き、互いに読み合う活動を10人程度で行っている文芸同好会と、読書活動の啓発を目的とし、全クラスから代表者が入る図書委員会。文芸同好会は直木賞作家らに指導を仰いだワークショップを、図書委員会は「古本市」を行った。
新視点を得る
ワークショップで文芸同好会の”コーチ”になったのが、「われは熊楠」で直木賞候補になった岩井圭也さんと、「塞王の楯」で直木賞を受賞した今村翔吾さんだ。
第一線級の2人は今村さんが22年度に同校で特別授業を担当した縁で、23年度には1回、そして24年度には5回ほども同校を訪れ、創作や文章に関する指導を行った。
生徒に課したのは30分で500文字の短い小説を書くこと。完成した作品に目を通し、アドバイスをした。
参加した生徒は「普段は固定化されたメンバー同士で見るため、引き出しの多いプロに見てもらうことで、新たな気付きがあった」と目を輝かせて振り返る。具体的には「視覚、聴覚の表現が多用されているが、触覚、嗅覚なども用いた方がよい」「人物の癖を描写することで、背景を想像させることができる」などのアドバイスがあったという。
なお、指導後には、生徒の一人が文芸コンクールで入賞を果たした。
ごみ0の古本市
図書委員会は23年、コロナ禍前まで文化祭で行われていた古本市の改良に乗り出した。元来の古本市は、生徒が持ち寄った本を欲しい人が持ち帰るシステム。しかし、残った本がごみとなり学校で費用を出して処分していたことや、本を持ち帰った人が読まずに転売する懸念があることを課題と認識した。
そこで、ブックオフと協力。同社が運営する、持ち込んだ古本の査定額が寄付されるサービスを利用し、校内での処分をゼロにすることに成功した。
また、回収した本を安価で販売するようにしたことで転売の懸念にも対応。「本当に読みたい人の手に渡るようになった」という。
こうした取り組みの成果か、同校は他校と比較し、図書館利用者が多い。両取り組みに携わった司書の小菅玲子さんは「生徒の頑張りが評価されてうれしい。紙の本には価値がある。今後も子どもたちの読書機会を増やしていきたい」と喜びを語った。