全国4位のカリスマアパレル店員の素顔の素顔…北海道1の接客力の女性は一般事務からの転職 夢を叶えるヒントとは【トゥモローランド】
一般企業の事務職員からアパレル店員に転身、全国8万5000人のアパレル店員の中で北海道1位!全国4位!となった女性が、札幌にいます。
大條綾奈(だいじょう あやな)さん、36歳。
25歳のときに、国内に129店舗のアパレル・セレクトショップを構える大手、トゥモローランドに就職し、ショップ店員として11年以上勤めてきました。
ショップ店員ナンバー1を決めるコンテスト『STAFF OF THE YEAR 2024』で全国4位に入賞! 北海道エリアではなんと1位のカリスマショップ店員なんです。
【連載】こう生きたっていい
いろいろな生き方・働き方をしている北海道の女性へのインタビューを通して、自分らしく生きるヒントを見つけるための連載です。
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ファッション業界で働く! 夢を抱き続けた学生時代
大條さんが勤めているトゥモローランドは、オリジナルブランドに加え、国内外から選りすぐられた上質なウエア・雑貨を展開。セレクトショップとしても高い人気を誇ります。
「オリジナルからインポートまでラグジュアリーな空間に圧巻の品揃え。働くならここだと、ずっと憧れでした」
大條さんは今、その憧れだった企業で自分らしく働いています。
アパレル業界を意識したのは高校生のころ。
「ショップ店員さんとお話をしながらのお買い物が好きで。進路に服飾の専門学校も考えました」
けれど周囲の勧めもあって、視野を広げようと札幌市内の短大へ進学。
ただ、やっぱり自分が好きなのは「ファッション」と「人」だと、ショップ店員になりたい思いは変わりませんでした。## 一度はファッションとは遠い仕事に
それでも短大卒業後は一度まったく異なる業界へ。
一般企業の営業事務を2社、約5年間経験しました。
なぜ、「好きなこと」が定まっていながら、別の場所へ飛び込んだのか…。
「『最初から好きなことをやったら? 』と周囲から言われたこともあります(笑)。でも、社会のさまざまなことを知るため、あえて別の場所でのキャリアも重ねたかったんです」
一番やりたいことがわかっているからこそ、違う経験もしてみたい…。
ここでも「視野を広げる」という選択をした大條さん。
いろいろなライフスタイルのお客さまと接するショップ店員の仕事に就くなら、シフト制の仕事だけではなく、「週5日勤務で土日休み」のライフスタイルも知っておきたい気持ちがありました。
実は不採用の経験も…自分を磨き、ついに憧れの企業へ
一番やりたかったことを、一番目標としていた場所で…夢をつかんだ大條さんですが、最初からすべてがうまくいったわけではありませんでした。
実は1社目で営業事務をしていたときに、トゥモローランドの採用試験を受けたものの不採用となる経験をしたんです。
「まだ自分にはだめなんだって。ファッションへの感度も、考え方も、自分にはまだ人間的に足りていないものがたくさんあるから、もっと成長したいと思いました」
そこで、2社目となる大手の製薬会社へ、もう一度事務職として就職。
周囲の人の気遣いや振る舞いを見て学ぶなど、人間的な魅力を磨く努力を重ねました。
そうして約2年後、憧れのトゥモローランドへの入社を果たしました。
事務職時代の経験は、ショップ店員の仕事にもかなり生きているそう。
「周りが細やかな気遣いができる方ばかりで。社会人としてのスキルをたくさん学ばせていただきました。それが今、お客さまに寄りそった接客につながっていると感じます」
本音でぶつかるから生まれる「信頼関係」
ショップ店員としてがむしゃらに勤めてきた11年間は、大條さんにとって成長の連続でした。
幼少期、親の仕事の都合で転校が多かった大條さん。
初対面の人と打ち解けるのは得意でも、踏み込んだ会話や長く続く信頼関係の構築は、実は苦手でした。
だけど、お客様に長く愛されるお店で働いていくために…ひとつひとつの出会いを大事にしよう。
そのためには、「信頼される自分」にならなければいけない。
そう考えて意識的に変えたことが「自分の本音をいう」ことでした。
「どう思われるか不安なときもあるじゃないですか。でもそんなことより、お客さまのためを思って本音を言うようにしています」
そうすることで、
「この人はただ服を売ろうとしているんじゃないんだ」
「似合うもの、いらないものを本当に自分のために言ってくれているんだ」
そんな風にお客様から思ってもらえることが増え、長いお付き合いにつながっていったのだといいます。
「『お洋服を売ろう! 』というモードからだんだん『お客さまのライフスタイルそのものすべてを価値提供する、そのお手伝いをする!』という考えに変わっていったんです」
会話の中から相手のことを深く知っていき、何をしたら喜ばれるのか、何を求めているのかさまざまな角度から考えて提案するように心がけています。
コツは「ポジティブに伝える」こと!
ネガティブに伝わってしまいそうな意見や思いも、ポジティブに伝えることを意識しています。
『こちらはこう見えるけれど、こちらだとこんな風にもっと魅力的です』など、否定せずにより良いと思う提案をしたりしています。
今では、ぱっと顔を思い浮かべられるお客様の数は100人を優に超えているんだとか!
突然おとずれた「成長のチャンス」
「一番やりたかったこと」をできる場所にたどり着き、情熱を持って仕事に取り組む大條さん。
そんな大條さんは、アプリからEC・SNSに写真や動画、レビューの投稿ができるスタッフDXサービス「STAFF START」が主催している接客コンテストへの出場を決意。
『STAFF OF THE YEAR 2024』は4度目の開催で、全国から8万5,000人のショップ店員が集まり、その接客力やコーディネート力を競い合って「日本一」を決めるコンテスト。
出場者は日々のコーディネート投稿とその売上の実績によって決定します。
大條さんはその実績が評価され、見事に1st Stageへと進む権利を手にしたのです。
「自分の成長につながりそうな機会を断る理由はないですし、新しいチャレンジじゃないですか。やってみたいと思いました」
寝る間も惜しんで! 新しい挑戦を、お客様とも一緒に楽しむ
コンテストの予選では主に「オンラインでの接客」を競います。
アプリ経由での売り上げはもちろん、日々投稿しているコーディネートへの「いいね」数なども競うポイントです。
「大会中は毎日1〜2通りのコーディネートを投稿していました。寝る間も惜しんで写真を選んだり、コーディネートのポイントをまとめたり。ご飯を食べながらでもコーディネートを考えたりするほど気合が入っていました(笑)」
作業量は膨大。
そして普段の対面での接客とは違うフィールド。
でも、こうしてコーディネートの引き出しが増えていくことで「普段の接客がすごく楽になった」と大條さんは笑顔です。
「逆に、実店舗で接客をしているからこそ、オンラインの投稿に活きることもあるんです。多くのお客さまが今ほしいものって、実は同じ…ということも少なくないんです。毎日店舗でお客様とお話することで、今求められているコーディネートを発信し続けることができたと思います」
例えば、クリスマスを意識して赤を取り入れたニットのスタイリングや、寒くなる時期の羽織を使ったコーディネートも…。
「実はお客さまに見てもらったりもしていました。『このコーディネートどうでしょうか?』って」
店頭でのお客さまとの会話が「生きたコーディネートづくり」の糧となっていきました。
「ふるいにかけられる」相対評価の難しさ
一方で、「コンテスト」というふるいにかけられる土俵の厳しさも実感したといいます。
「毎日首の皮一枚でつながっているような状態でした」
トゥモローランドからは大條さんを含め24人が、8万5000人の1stステージから、1500人まで絞られる2ndステージのRound1まで進出。さらに30人まで絞られるRound2ではその仲間たちも、4人に…。
他社のショップ店員も含め「頑張っていない人はもちろん誰もいない、全員が頑張っていることがわかるし切磋琢磨していました」と当時を振り返ります。
そのなかで、「順位を決める」という相対評価の厳しさも痛感しました。
全国4位の快挙! だけど思ったのは「悔しい!」
そうした中でも努力が実を結び、最終的に北海道エリア1位として、全国大会に出場した大條さん。
接客のロールプレイを審査員の前で披露するなど、全力を出し切りました。
そして、結果は全国4位!
素晴らしい成績を収めましたが…結果を聞いたとき、最初の思いは「悔しい! 」だったそう。
「たくさんのお客さまが応援してくださったので、申し訳ない気持ちでいっぱいで。けれど、他社のショップ店員さんをたくさん見られて、見習いたいと思うこともたくさん。外の世界を見ることで自分の視野は確実に広がりましたし、大会への参加はとても良い経験になりました」
会話やお洋服で、癒しや楽しさを感じてもらえたら
どうしてそんなにイキイキと働けるのか、大條さんに仕事のやりがいを聞いてみました。
「お客さまに購入していただけた喜びだけではなく、さらにそれを着たお客さまから『仕事がうまくいった』『気持ちが上がって前向きになれた』『疲れていたけれど楽しい気持ちで帰れる』など、わざわざ会いに来てくださりうれしいご報告を聞けたときに、『ああ、やっていて良かった』と感じます」と幸せそうに教えてくれました。
インターネットでも気軽に洋服を買える今の時代。
だからこそ、この空間で会話を通じて「体験」として買い物を楽しむ価値提供をする、リアルな接客の魅力をかみしめています。
「私との会話やお洋服で、癒されたり楽しい気持ちになっていただけたらこんなに嬉しいことはありません」
オフの日はゆっくり、リラックスしてパワーをためる
パワフルに働くための秘訣は、オフの日にもありました。
仕事の日をより健康に楽しく過ごせるよう、休日はリフレッシュに時間を費やします。
「最近ハマっているのはヨモギ蒸し。すごく体が軽くなるんです」
とにかく、ほとんどが立ち仕事の日常。
定期的に行くリンパマッサージでは、「またこんな疲労が蓄積した状態にして来たの! 」とお叱りを受けることもあるそうですよ。
「休みの日は1人でぼ〜っとすることも多いです。それがあるから、仕事でたくさん喋りたい! ってなるのかもしれませんね 」
人として成長できる大好きな仕事を、これからも
「自分らしさを大事にしながらお客さまを幸せにしたいという気持ちがあって。そういう自分でありたいと常に思っています」
「どのようにしたらお客様に喜んでいただけるか常に考えますし、いろいろな方とコミュニケーションを取る中で得られるものってすごく大きいです。人として成長できるところがすごく魅力的な仕事だと私は感じています」
働く女性へのエール
最後に、女性がキャリアを重ねることについて、大條さんの思いをうかがいました。
「本当に難しい問題だと思います。特に女性はライフスタイルが変わると、働き方を変えざるを得ないことも多いと思いますし…」
大條さん自身も仕事とプライベートのバランスに悩んでいた時期があったそう。
「仕事が終わるのが遅くなることもたびたびあって、家族とコミュニケーションを取る時間が少なくなり、仕事を減らそうかと考えた時期もありました」
そんなときは「自分ができることはなんだろう」と考えるといいます。
「きっと誰しもにそんなタイミングはありますよね。働き方が変わったとしても、自分ができることを見つめて、仕事の仲間に自分のもっているものを伝える、それが大事だと思います」
特に、アパレル業界も本州に本社を構える企業が多い中、北海道で働くことへの思いも話してくれました。
「確かに本社がある本州の方が情報量やスピード感に違いがあるかもしれません。でも、この土地に住む人が求めていることは自分にしかわからないと思います。だからこそ接客はもちろん、エリアに根付いたお店づくりが面白いです」
そして北海道で働く女性たちへのエールとしてこう締めくくってくれました。
「悩む度に自分と向き合って、今の自分に何ができるか考え続けることが大事だと思います。そうすることで、自分がその時々で活躍できる場所がきっと見つかるはず。『自分にできること』『自分にしかできないこと』に気づけたら、自分の居場所が見つかります。一緒に頑張っていきましょう!」
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【連載】こう生きたっていい
文:木むら
編集:編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は取材時(2024年11月)の情報に基づきます。