【八王子市】AIスパコンで地域課題解決 東京工科大と市が協定
片倉町にある東京工科大学は10月2日、「AI・DX技術を活用した連携に関する協定」を八王子市と締結した。高齢化や人手不足といった地域課題を解決することを目的としており、同大が新たに導入した、全国の私立大学では処理能力が最速というAIスーパーコンピューター「青嵐(SEIRAN)」が活用される見込みだ。
青嵐は、米国に本社を置く半導体メーカー「NVIDIA(エヌビディア)」社製の最新のGPU(画像処理装置)で構成されている。その計算処理能力は、家庭用ゲーム機PS4のGPUの50万倍に換算。高精度・広範囲のシミュレーションが可能となり、幅広い分野での活用が期待されている。青嵐の名は、桑都として栄えた八王子で、桑の葉が青々と茂る時期に吹く力強い風のことを「青嵐」と呼ぶことや、同大のシンボルカラーが青色であることなどから名付けられた。
官学連携を強調
10月2日には、同大で締結式・青嵐見学会を実施。同大は、青嵐を主に学生に使用してもらい、AI人材育成に向けた教育や研究分野に役立てる計画を発表。八王子市とは、高齢化や人手不足が進む地域農業におけるスマート農業実証実験の実施や、自動運転バス実証実験を通した交通インフラの維持など7つの地域課題の解決を目指す締結書を交わした。
同大を運営する学校法人片柳学園の千葉茂理事長は締結式で、「時代を切り開くエンジニアを養成してきた我が校にとって、今回の新たなチャレンジには心を弾ませている」とあいさつ。
同大学の香川豊学長は、「青嵐の導入によって、高性能を味わってもらいたい。きっと今までと違う世界が拓ける。八王子市ともいろいろ連携ができるのでは」と展望を語った。
八王子市の初宿和夫市長は、「青嵐、計算、行政の課題、が組み合わさることで何が生み出されるのか。それをどのように市民サービスとして示すか。まずは大学側が教育に使用し、そして市側も活用させてもらいたい」と同大へ謝意と今後の将来性について期待を寄せた。
同大内に設置
同大内に9月中旬に設置された青嵐の全長は、高さ約2m、横幅約5m、奥行き約1・2m。エヌビディアのGPUが96基搭載されていて、1秒間に90京回(90兆の1万倍)計算する性能がある。
同大学AIテクノロジーセンターICT部門の生野壮一郎部門長によると、まだ本格稼働はしていないが、11月中をめどに、まずは教員から使用していく予定だという。