THE MODSがついに動き出した!新たな一歩となるアコースティックライブいよいよ開催
2年ぶりにTHE MODSが動き出す
日本のロックンロールを40年以上にわたり牽引し続けたTHE MODS(以下:モッズ)がついに動き出した。本日(2024年11月24日)には、東京キネマ倶楽部で 『REV REHAB』と題された2年4ヶ月ぶりのライブを開催。"REV REHAB” とは回転数を上げてゆくリハビリという意味だ。長きに渡り療養中だったリーダー、森山達也にとって、THE MODSにとって、45周年、50周年を見据えた新たな一歩となるアコースティックセットが展開される。
そして11月25日には森山達也、ベーシストの北里晃一書き下ろしによるエッセイ集『Hey!Two Punks The Mods : The Early Days 博多疾風編』がシンコーミュージック・エンタテイメントより発売される。本書は、モッズのレコードデビューまでの博多時代、つまり1976年から1980年までの博多を舞台に繰り広げられる笑いあり、涙ありの青春物語だ。
ちなみに、伝説となった1981年の “雨の野音” で、電気経路が全て壊れてしまった中、観客の大合唱が起こり、ファンのアンセムとなったモッズの代表曲「TWO PUNKS」は森山と北里の個人的な物語を歌にしたものである。
『Hey!Two Punks The Mods : The Early Days 博多疾風編』は、デビューアルバム『FIGHT OR FLIGHT』のキャッチコピーでもあった “不退転のロッカー” という称号のままに突き進んでいったモッズが持つ硬質なイメージとは違う。ロックンロールに恋焦がれ、アマチュアからプロデビューを夢見る等身大の2人がこの1冊の中に凝縮されている。
博多という、豊潤な音楽的土壌から生まれた独自のシーン
英国パブロックの波が博多に届いた1976年、これに続くパンクムーブメントをいち早くキャッチし、モッズは新たな時代に促すべきサウンドを構築していく。そこには博多という、豊潤な音楽的土壌から生まれた独自のシーンが確立されていた。そのパイオニアであるサンハウス。そして博多の暴れん坊 “山善” こと山部善次郎。また、一足早く東京に進出する甲斐バンドの甲斐よしひろは、伝説のライブハウス “照和” で後進のバンドたちの育成にも深く関わっていた。こういった日本のロックシーンを俯瞰した上で欠くことのできない博多のシーンを詳細に綴り、ひとつひとつの場面が色鮮やかに脳裏に残ることもこの本の大きな特色になっている。
80年代初頭、当時のマスコミは、そんな博多の音楽シーンを “めんたいロック” と一括りに呼んでいた。しかし、そういったパブリックイメージだけでは語ることのできない、決して一過性ではない、土地に染み付いた独自のクロニクルが存在していた。ここでモッズは試行錯誤を重ねながら “博多にモッズあり” という噂が東京にも届き、レコード会社の争奪戦が始まる。
しかし、ここには苦心惨憺なエピソードはひとつも登場しない。若き日の森山、北里は、ただただ、音楽が好きで好きでたまらないのだ。おそらくこれは今も変わらないだろう。だからこそ、40年以上も媚びずにバンドを転がし続けられるのだ。音楽が好きでバンドが好きで、恋もすればケンカもする。バカをやってもまったく懲りない…。そんな愛すべき70年代のロック少年の青春記は、時代が変わっても変わることのない普遍的な輝きに満ち溢れている。
ティーンエイジャーの心にダイレクトに響くTHE MODSの音楽
これまでモッズが届けてくれた音楽には、悩み傷つくティーンエイジャーの心にダイレクトに響く共感性があった。そしてファンが年を重ねていく中、モッズの音楽もそんな変化に寄り添ってくれた。僕にしても「SHE'S THE C」の「♪だけど何をやればいいのだろう オイラ日に日に気分がひどくなる」や「TEENAGE BLUE」の「♪もろく壊れやすい ティーンエイジ ドリーム 時は冷たく次の秒を刻む」を聴いて “俺のことを歌っている!” と思った。もうひとりじゃないと思った。
そしてあれから40年以上の年月が経ち、『Hey!Two Punks The Mods : The Early Days 博多疾風編』を読んで思った。“俺たちと同じじゃん!” と。人生の中で憧れ続けたバンドが、また一歩自分に寄り添ってくれる。それは嬉しくてたまらないのだ。そう思えるのは僕だけじゃないはずだ。ティーンエイジャーの時と同じようにモッズは今も寄り添っていてくれる。そして、この本を書くにあたり、立ち止まり、青春を振り返った森山、北里は、その先に見据えるモッズに寄り添っているのだろう。