TVアニメ『ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん』OP&EDテーマをダブル担当! “青春の光と影”を描き出す音楽ユニット・H△G、ランティス移籍とアニソンでの新たな取り組みを語る!
血を吸うのが下手な吸血鬼の女の子・石川月菜(CV:田中美海)と、彼女の吸血の練習台となっている男子高校生・大鳥辰太(CV:小野賢章)が織り成す、新感覚甘やかし餌付けコメディ作品『ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん』。この10月よりTVアニメが放送されている本作のオープニング/エンディング主題歌をダブルで担当しているのが、愛知県岡崎市を拠点に活動する音楽ユニットのH△G(ハグ)だ。
ボーカルのChihoを中心に、様々な分野のクリエイターたちが集い、青春の匂いや疼きを思い起こさせる楽曲を発信してきた彼らは、今年7月、アニメファンにはお馴染みの音楽レーベル「ランティス」への移籍を発表。今回の2曲は、その第1弾リリースとなる。爽快なバンドサウンドにH△Gらしさが息づくオープニング曲「青春のシルエット」、石川月菜(CV:田中美海)を迎えてキャラクターとのデュエットに初挑戦したエンディング曲「線香花火」、それぞれのアプローチで作品の世界観に寄り添った2曲の制作秘話を、ボーカルのChihoとギターのYutaに語ってもらった。
【写真】『吸血鬼ちゃん』OP&ED担当 H△G、ランティス移籍とアニソンでの新たな取り組みを語る【インタビュー】
活動13年目を迎えた今、改めて見つめ直した“次のステップ”
──H△Gはこれまでもメジャーレーベルで長く活動を続けてきましたが、ランティスへの移籍を発表したときは驚きました。
Chihoさん(以下、Chiho):私たちH△Gは活動13年目になるのですが、もともと何かはっきりした目標を掲げて始めたわけではなく、自分たちが最高と思える作品を作って世に送り出すことが、最初のきっかけだったんです。そんななかで、2022年にリリースしたベストアルバム(『星見る頃を過ぎても - BEST of H△G -』)と地元の岡崎市で開催した10周年記念のワンマンライブ(H△G・結成10周年記念ライブ「星見る頃を過ぎても」)を区切りに、活動のペースを一度落として、「次はどこに進もうかな」と考える時期があって。
Yutaさん(以下、Yuta):そんな時に、中国のイベンターからライブのオファーをいただいて、2024年の8月に上海、11月には広州でワンマンライブを行ったのですが、そのライブに今回のレーベル移籍のきっかけになる方が観に来てくださっていたんです。
Chiho:私としても、ひさびさにみんなで集まってライブをして、しかもコロナ禍の影響で一度は断念した中国公演(※H△Gは2020年3月に中国でライブツアーをやる予定だった)を実現できたタイミングだったので、すごくいい機会に巡り会えたなと思って。最初にお話をいただいた段階では「興味はありますか?」という確認だったのですが、私は「やります!」と反射的に返事してしまいました(笑)。思考するよりも先に言葉が出てしまったと言いますか。
──H△Gの音楽は以前から中国でも人気は高いですが、実際に現地のファンの熱気を肌で体感したことで、新たな音楽をクリエイティブしたい気持ちが募っていたんでしょうね。
Chiho:そうですね。もう水を得た魚のような気持ちでした。でも、そう思っていたのは自分だけだと思っていたのが、それこそYutaも、H△Gの中心にいるスタッフも、みんな「やろう」と即答してくれて。
Yuta:それこそコロナ禍もあって、思うように活動できない期間がその前にあったので、多分みんな悶々としていたところがあったんだと思います。しっかりと確かめ合ったわけではないんですけど。
──ちなみにランティスというレーベルのことはご存知でしたか?
Chiho:もちろん知っていました。今はお休みしているメンバーのShoko(DJ)と私は、『ラブライブ!』にドハマりしていた時期があって、それこそリズムゲーム(「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」)もめちゃくちゃ遊んでいました。「この曲めっちゃいいよね」とか言いながらシャンシャンとフルコンボする、みたいな(笑)。その時からランティスさんといつかご縁があったら嬉しいな、という憧れみたいなものも抱いていたので、回り回って今ここで出会えたことがすごくありがたいです。
Yuta:僕は、だいぶ前の話になるんですけど、ソロで歌を歌っている知り合いの子がアニメ好きで、「ランティスに入るのが夢」と言っているのを聞いて、そこで初めて認識しました。今の時代、いろいろなレーベルがあるなかで、「ここに入るのが夢」と言われるのは、よほどのブランド力がないと難しいと思うんです。なので、その話は印象に残っていますね。
──せっかくなのでお二人が好きなアニメ作品を聞いてみたいです。
Chiho:私は日常系のアニメがすごく好きです。くすっと笑えて、ほろっと泣けるような雰囲気が良くて。例えるなら、川辺で綺麗な石を見つけるような感覚というか、日常に転がっているものがすごく宝物に見える、みたいな。そういう部分にすごく惹かれるんですよね。日常系アニメからしか得られない栄養素があるので、養分を摂取するように繰り返し観ることもあります(笑)。具体的にタイトルを挙げるなら『あたしンち』はずっと観続けられますね。それと『のんのんびより』。あの田舎の風景がすごく好きで、夏休みシーズンになると観たくなります。
Yuta:僕は最近だと『怪獣8号』にハマっています。チームの熱さみたいなものが描かれているので、観ていて気持ちいいし熱くなれるんですよね。昔のものだと『スラムダンク』ですね。自分もバスケをやっていたので、漫画も全巻持っていますし、映画(『THE FIRST SLAM DUNK』)も最高でした。
Chiho:うちのバンドメンバーのベースの子(三友行人)も『スラムダンク』が大好きで、私が「観たことない」って言ったら、「『スラムダンク』を知らないで、どうやって音楽を始めたの?」って言われました(笑)。
──音楽はあまり関係ない気がしますけどね(笑)。アニメソングにはどんな印象をお持ちですか?
Chiho:やっぱり『ラブライブ!』のキャラクターソングは好きですね。いろんな種類の曲がたくさんあるのに、それぞれが的確にキャラクターを捉えているし、どんどん増えていくのがすごいなと思って。最近はアニソンと呼ばれるものの境目がなくなっている気がしますけど、総じて作品を曲に落とし込む力が強いですし、歌唱力と表現力が高いイメージがあります。表現力の強さという意味では、どこか演歌を聴いた時の感覚に近いものがあるなと感じていて。とにかく伝える強さがあるなと思います。
Yuta:確かにアニソンも演歌も熱さがあるもんね。僕もアニメと音楽の結びつきは、ドラマや映画の主題歌よりも圧倒的に強いなと感じますね。「アニソン」と言う言葉があるくらいなので。
──H△Gも、2020年にTVアニメ『ゾイドワイルド ZERO』第3クールエンディングテーマ「夢の轍」で、アニメタイアップを経験していますよね。
Yuta:そうですね。ただ、あの楽曲は書き下ろしではなくて、作品の内容ともマッチしているということで、エンディングテーマに使っていただいたんです。
Chiho:あの曲はもともと、私たちとゆかりのある地元のライブハウスが閉店するタイミングで作った曲なんです。それに合わせて書いた「冒険の中で出会いや別れを乗り越えながら轍を残していく」というイメージが、本当にたまたまなんですけど、作品のテーマともすごくマッチして。H△Gにとって初めてのアニソンタイアップだったので、とても印象に残っています。アニメでのオンエアが始まった時、もちろんファンの方も喜んでくださったんですけど、高校時代の友達から急に「ちょっと!どういうこと?」って連絡がきて。その子は『ゾイド』シリーズのファンでずっと追っているらしくて、お互いびっくりしました(笑)。
“青春期の光と影”――H△Gが『吸血鬼ちゃん』に感じた共鳴
──そして今回、TVアニメ『ちゃんと吸えない吸血鬼ちゃん』のタイアップが決まりました。これも広い意味で捉えると日常系の作品ですよね。
Chiho:そうなんです。なので、すごく好きです(笑)。ランティスには、作品とアーティストをマッチングさせるのが得意な部署があるらしくて、そこの方たちが「この作品にはH△Gが合うんじゃないか」と推薦してくださったそうなんです。自分たちの音楽とこの作品が合うと思っていただけたこと自体が、すごく嬉しかったですね。
──実際に原作を読んでみて、いかがでしたか?
Yuta:正直、資料でビジュアルを見た段階では、絵柄的にキュートなイメージが強くて、「結構かわいい感じだけど、どこがH△Gと合うんだろう?」と思っていたんです。でも、原作を読んでみたら、学園ものとしての青春描写がすごくしっかりと描かれていて、「なるほど、合うかも」と納得しました。
H△Gは、始まりの頃から一貫して、“青春期の光と影”をChihoの声と共に表現していくことをコンセプトにしているのですが、この作品も主人公の月菜ちゃんのかわいいところだけでなく、そのイメージの裏にある影の部分もちゃんと描いている。月菜ちゃんは作中で当たり前のようにクラスメイトと馴染んでいますけど、そもそも吸血鬼なので、人間とは違う存在であるがゆえの影があるんですよね。そこが、僕らがもともと表現したいこととリンクするし、オファーしていただけた理由なのかなと思います。
Chiho:それに私としても、こういう学園ものや学生生活を描いた作品に携ることへの憧れがあったので、すごく嬉しかったし、H△Gとしての良さを発揮できるんじゃないかと思いました。私はこの作品全体にある、すごくウェルカムな雰囲気と言いますか、吸血鬼ちゃんが普通に転校してきて普通に生活している“わけへだてなさ”が、H△Gにぴったりなのかなと感じました。
──その“わけへだてなさ”というのも、H△Gのクリエイティブにおいて大切にしているポイントなのでしょうか。
Yuta:青春時代というのは、日々、心が揺れ動いているものじゃないですか。「自分はこれで本当に正しいんだろうか?」と自問自答することもあれば、周りのみんながやっていることを見て「自分もこうしなくちゃいけないんだな」と感じたり、「でも、本当はこんなことやりたくないんだよな……」と思ったり。そういう意味ではぐちゃぐちゃだと思うんですけど、僕らが一貫して楽曲を通して伝えたいことは、「ぐちゃぐちゃでいい」ということなんです。例えば「カラフル」という、再生回数が一番多い代表曲があるのですが、その曲も「カラフルでいい」ということを歌っていて、要は「みんな違ってみんないい」という精神を大切にしている。それは『吸血鬼ちゃん』のストーリーからも感じることで、もちろん葛藤も描かれますけど、お互いがみんな違っていることを理解し合っていて、最初から「みんな違ってみんないい」が実践されているんですよね。
Chiho:私は『フルハウス』というアメリカのホームドラマが好きなんですけど、あの家はいつでも玄関が開いていて、隣人とかが勝手に入ってくるんですよね。なんなら冷蔵庫まで開けてしまう(笑)。H△Gもそういうマインドがいいなあと思っていて。「いつでも開いてるよ、ウェルカム!」っていう。
──そういった作品との親和性を感じるなかで、オープニング主題歌の「青春のシルエット」はどのように制作を進めたのでしょうか。
Yuta:最初に「いつも通りのストレートなH△Gでお願いします」というオーダーをいただいたのですが、アニメソングを書き下ろしで制作するのは初めてだったので、今回初めて“89秒”という尺の縛りを経験したんです。それがすごく面白いなと思って。制約なしの方が自由にいろんなものをクリエイティブできる、という考え方もあると思うのですが、逆に制約があることで研ぎ澄まされる感覚があって、その意味では新しい体験になりました。例えば、サビで盛り上がる感じに持っていきたいとなった時に、イントロ・Aメロ・Bメロ・サビと基本的な構成で並べていく方が89秒で収まりやすいことに気付いて。それと今回はオープニングということで幕開け感を出したくてパカーンと開けた感じを意識して制作しました。
Chiho:アニメの始まりを飾るという意味でもそうですし、私たちH△Gにとってもレーベル移籍第1弾ということで、“新たなスタート”という裏テーマを織り込んでいて。それも踏まえて、幕開け感は大切だなと思って、私も目いっぱい歌いました。
Yuta:「移籍に伴う僕らの衝動みたいなのも詰め込みたいよね」という話をしていたので、僕も作曲の段階からそういったものを乗せられたらと思って。結果として衝動的に作れた部分もあったかなと思います。
──確かに、キラキラしていて疾走感のあるバンドサウンドからは、青春の衝動を感じます。歌詞についてはいかがですか?
Chiho:アニメの作品の中にある、ほのぼのとしつつも時折見せる真剣な表情や、キャラクターが持つ影の部分をかき集めて表現しました。主人公の月菜ちゃんは、吸血鬼なので写真に映らないし、自分の影もないので、それを意識して“花束を重ねて 創った君の影は、 さよならの先にある 友情のシルエット。”という歌詞にしていて。そうしたら、オープニングアニメの映像で、クラスメイトには影があるのに月菜ちゃんにはないシーンがあるんですけど、そこで歌詞に合わせて花束を月菜ちゃんの影として描いてくださっていて、すごく感動しました。
Yuta:あれはすごくよかったよね。
Chiho:それと、オープニングアニメの最後に9本のガーベラの花束を描いてくださっていて。ガーベラの花言葉は本数によって変わるんですけど、9本の花言葉を調べたら「いつまでも一緒にいよう」だったんです。この曲の歌詞では“ありふれた花言葉の代わりに、”と歌っているのですが、最後にあえて花言葉でメッセージを伝えてくれているのが、「最高……!」と思いました(笑)。
──個人的には、回想と言いますか過ぎ去った出来事を振り返るような視点が多いのも、グッときたポイントでした。青春を思い返すという意味では、リアルタイムで青春の最中にいる人だけでなく、いろんな人の気持ちにもリンクする歌詞なのかなと。
Chiho:ありがとうございます! 人生の中で青春と呼べる時期は部分的だと思うのですが、H△Gの音楽を聴いてくださる方の年齢層は結構幅広くて、いわゆる青春期を過ぎた方も長く聴いてくださるんです。自分でも少し不思議なんですけど、やっぱり青春期の気持ちってずっと残っていくものなんだろうなって感じます。
吸血鬼ちゃんとのデュエット実現!――キャラクターと共に歌う「線香花火」
──もう一方のエンディングテーマ「線香花火」は、吸血鬼ちゃんこと石川月菜(CV:田中美海)をゲストボーカルに迎えた、キャラクターとのコラボソングになります。
Yuta:このコラボは最初の段階から決まっていて、「今までH△Gになかったチャレンジングな楽曲でも良いかもしれない」というお話もいただいていました。ただ、月菜ちゃんがどれくらい歌うかの指定は特になかったので、せっかくならがっつり歌っていただける方がいいなと思い、Chihoと掛け合いで歌うスタイルにしたいなと。コード進行もH△Gとしては珍しいパターンを取り入れて、化学反応を狙いました。
Chiho:月菜ちゃんの声を担当されている田中美海さんとは、レコーディングは別々で、私が先に歌ったのですが、本当に言葉のひとつひとつを的確に表現してくださって、すごく良いラリーができました。歌が上手なのはもちろんのことなのですが、言葉を伝える力が強い方で、私はどちらかというと歌声での表現が割合として多い感覚があるので、学びも多かったです。私も月菜ちゃんのクラスメイトの一人になったような気持ちで、仲間に入れてもらって会話をするように歌いました。月菜ちゃんとデュエットするなんて、クラスのみんなに羨ましがられちゃうと思いますけど(笑)。
──掛け合いの歌詞を対話形式にすることで、作品とのリンクがより深まっていますし、楽曲のストーリー性を重んじているH△Gらしさも感じました。月菜ちゃんとChihoさんが対話しながら、楽しい思い出を語り合う構造になっていて。
Chiho:なんか私もちゃっかりみんなの思い出のなかに入れてもらいました(笑)。この曲が、アニメの放送が終わった後も、昔のアルバムを開くように聴いてもらえたら嬉しいなと思って。アニソンって、聴いた瞬間にそのアニメを観ていた当時のことがパッと思い浮かんだりするじゃないですか。作品の情景が思い浮かぶような、そんな記憶と直結する曲になってくれたらと思います。
Yuta:原作を読んだ時に、原作者の二式恭介先生は、ただ楽しいだけの日常を描くのではなく、青春の儚い部分というか、そういうメッセージも作品に盛り込みたかったんだろうなと思ったんですね。なぜなら、そういう描写を描いてる時の絵にすごく力を感じたので。特にみんなで花火をするシーンが印象的で、そこを読んでいる時、時間が止まっているような感じがしたんです。多分、そのシーンは、月菜ちゃんがクラスのみんなと一緒に何かをすることを楽しめた初めての瞬間だったと思うので。
──それでこの楽曲のモチーフにも「線香花火」の思い出を選んだんですね。
Chiho:そうですね。漫画にもそういうシーンがあったので、そこに描かれている思い出も落とし込みました。一瞬で過ぎ去ってしまう学生生活の儚さと、線香花火の儚さみたいなものも重ねていて。
──エンディングアニメも、今お話いただいたような、クラスメイトとの楽しい思い出を振り返るような映像に仕上がっていますよね。
Chiho:そうなんです!
Yuta:初めて観た時は感動で言葉が出なかったです。しかも月菜ちゃんは吸血鬼で写真に写らないので、思い出をスケッチした絵で振り返るアルバムになっているんですよね。アニメ制作チームの楽曲を汲み取ってくださる力が素晴らしいなと思いました。
──あと、個人的にグッときたポイントは、掛け合いの歌詞の“絶対。”や“そう信じたいな。”といったポイントで、Chihoさんと月菜ちゃんの歌が重なるところです。
Yuta:そこは最初から重ねたいと思いながら作っていましたね。ハモることで言葉のメッセージ性が増すと思いますし、2人の気持ちが重なったイメージにもなると思うので。それと今回はレフティ(Ryo’LEFTY’Miyata)さんが編曲で入ってくださったんですけど、ずっと同じテンポでディディディディと鳴っているギターの音は、花火を表現していると思うんですよね。僕もエンディングアニメを観た時に、「あ、これ花火だ」って後から気づいたんですけど。
──確かに! それは気付かなかったです。レフティさんとは長い付き合いですから、そういったH△Gらしい音作りも心得ているんでしょうね。
Chiho:いつもめっちゃ忙しそうにしていて、最近は全然お会いできてないんですけど、そんななかでも毎朝、縄跳びしているらしいんですよね。すごいタフだなあと思って。
Yuta:すごくいい編曲をしてくれました。
──ありがとうございます。オープニングとエンディング主題歌のダブルタイアップということで、作品とがっつり向き合ったと思うのですが、お二人にとってどんな経験になりましたか?
Chiho:もっと時間が経ってから思うことかもしれないですけど、H△Gとして、自分たちの新たな一面を知ることができた、本王に忘れられない出会いになりました。この機会があったからこそ生まれた楽曲たちなので、ずっと愛される曲になってくれたら嬉しいです。
Yuta:「89秒の縛り」や「作品の世界観を表現する」といったタイアップならではの制作は、自分の可能性を再確認できる良い経験でした。そして、『吸血鬼ちゃん』が描く「みんな違ってみんないい」という根っこの部分が、僕たちの伝えたいメッセージとリンクしたことで、自分たちの活動の意味を改めて見つめ直すことができました。長く活動していると「何のためにやっているんだろう?」と考える瞬間もあるのですが、この作品との出会いで、発信したいメッセージがより明確になった気がします。海外でライブをする機会が増えたことを含め、いろんな文化に触れているなかで、それを自分たちの中にも取り込んで認め合っていきたい気持ちもすごく生まれているので、すごく良い経験になりました。
──最後に、レーベル移籍して新たなステージに進んだなかで、今後どんな新しいことに挑戦したいか、展望をお聞かせください。
Chiho:私はアニメフェスに出てみたいです! そういう機会に恵まれるように今後もいろいろ頑張っていきたいですし、まずは足腰を鍛えようと思います(笑)。
Yuta:日本のアニメは世界でも注目されているなか、僕たちはランティスに移籍して、海外でライブをさせていただく機会も増えていて。そんななか考えているのは、僕たちは地元である愛知県岡崎市を拠点に活動しているので、いつか岡崎でライブを開いて、世界中で出会ったファンの方々をそこに呼びたいという野望があります。岡崎の観光伝道師もやっているので、音楽を通して世界中のファンが交流できる場を作れたら、それこそ僕らが表現したい「みんな違ってみんないい」に繋がるんじゃないかなと思っています。
[文・北野創]