ユッコ・ミラー feat. H ZETTRIO『LINK』インタビュー――"Featuring"以上の"LINK"が実現した完全コラボレーション!
――まずは今回のコラボレーションについてうかがえればと思います。
ユッコ・ミラー(以下、ユッコ)「私にとってH ZETTRIOさんと言えば存在自体が“神”です(笑)。それこそ、高校生の頃、今のH ZETTRIOの前身となるPE'Zの時代から追いかけていました」
H ZETT NIRE(以下、NIRE)「いや、嬉しいですよね」
H ZETT KOU(以下、KOU)「ユッコさんと言ったら、何よりピンクのビジュアルがインパクト絶大じゃないですか。偶然だけど、僕ら3人も赤鼻・青鼻・銀鼻と“色”をプッシュしているので、まずはそこにちょっとした共通性を感じました」
――コラボ自体、ユッコ・ミラーさんからH ZETTRIOにアプローチされたそうですね。
ユッコ「新しいアルバムの企画を考えていた際に、PE'Zを聴き返してみたんです。そうしたら、高校生の頃の思い出が蘇ってくると共に、“やっぱりめちゃくちゃカッコいいな!”と改めて感動してしまって。それで、“是非コラボしたい!“と思ったのがきっかけです。ただ、連絡先も何も知らなかったので(笑)、自分で検索して、事務所にメールをお送りしたのですが、正直、最初は無理だと思っていました」
H ZETT M(以下、M)「いやいや。お話をいただいて、僕らとしては、考える間もなく“やりましょう!”と即答でしたよ」
NIRE「というのも、僕ら3人でテラス・マーティンのライブに行った際に、飛び入り参加したユッコさんのパフォーマンスを観ていたんです。とにかくその印象が忘れられなくて」
KOU「ステージでは完全に主役でした」
ユッコ「まさかあの時いらしていたのを知らなくて…」
M「もう、抜群のパフォーマンスでした」
KOU「オファーをいただいて、すぐにあの時のユッコさんが脳裏に浮かびました。“これは何か面白いものが生まれるんじゃないか?”という予感がありました」
――続いて、今回のアルバム内容についてお聞かせいただければと思います。
M「全10曲中、僕が5曲、ユッコさんが5曲と半分ずつ作曲しました」
ユッコ「Mさんが書いてくださった曲は、出来上がったデモを1曲ずつ送ってくださったのですが、毎回、聴く度にワクワクしていました」
M「ユッコさんからも非常に面白い楽曲が出来上がってきて、“それぞれの楽曲の良さを引き出したいな”と。そういったことを念頭に置いてアレンジしていきました」
ユッコ「H ZETTRIOさんのサウンドにずっと憧れていたので、アレンジは全曲とH ZETTRIOさんにお願いしました。とても光栄に思っています」
――アルバムにはリード曲がそれぞれ1曲ずつありますね。
ユッコ 私とMさんで1曲ずつ選ぶことに決めていて、「Emotional」はコラボが決まってから、一番最初に作った曲です。 “高校生の頃から聴いていた皆さんとコラボできるなんてエモ過ぎる!”と思って。それでタイトルを「Emotional」にしました」
NIRE「「Dragon Funk」は、ライブでお客さんがドッと盛り上がるのが想像できました。レコーディングした際の手応えも別格で」
KOU「そう。スタジオで、“すごくいいものができつつあるな…”って。ちょっと味わったことのない空気がありました」
NIRE「とても分かりやすいし、リード曲としても相応しい仕上がりになったと思います」
ユッコ「Mさんに書いていただいた5曲とも全部大好きですけど、ひとつ挙げるとしたら、「Dragon Funk」がお気に入りです。演奏していても本当に楽しくて!」
――Mさんは「Dragon Funk」についてのエピソードは何かありますか?
M「そうですね…実は僕の場合は、最初に何かをイメージして曲を作る事がなくて、作っていたら出来上がったという感じなんです。だから「Dragon Funk」のタイトルについても後付けなんです」
――それぞれ曲の作り方が違うのも面白いところですね。
M「僕らの場合、だいたいタイトルは、LINEのグループでやりとりしながら決めているんです」
NIRE「3人でアイデアを出し合って、“じゃあ、これっすかね”となり、最終的にMさんが決定する流れが多いです」
KOU「いつもアイデアがたくさん!(笑)」
NIRE「決めるのも難しいですけど、色々な案があって選ぶのもまた難しいです。たまに“え? ホントにそのタイトルでいいんですか?”みたいなこともあったり(笑)」
KOU「「Dragon Funk」は、タイトル案を出したのは自分なんですけど、曲を聴いた瞬間、龍が見えたんです(笑)」
M「イメージ的にもピッタリじゃないですか」
ユッコ「レコーディングの際には、Mさんが書かれた曲はタイトルが決まっていなかったんです。でも、どれも“確かに!”と思える曲名に収まっていて驚きました。特に「日付変更線」は、まさにイメージ通りのタイトルです」
NIRE「さっき、「Emotional」の話があったけど、ユッコさんの曲は最初からタイトルが付いていたんですよ」
KOU「「絶体絶命」とか「危険なアリバイ」とか、ちょっと心配になりそうなタイトルの曲が次々とあがってきて(笑)」
ユッコ「(笑)」
NIRE「でも、それでイメージしやすかったところはありました」
KOU「そうそう。自分なりにタイトルからニュアンスを汲み取りながら、演奏しました」
NIRE「デモの段階から、ユッコさんの奏でそうな音色とかニュアンスが伝わってきたので、後はそれをいかにして、自分の担当であるベースで盛り上げていけるかな?と。そういったところを意識して、レコーディングに臨みました」
――ユッコさんにとって憧れのH ZETTRIOの皆さんですが、共同でのレコーディング作業はいかがでしたか?
ユッコ「実は最初、“憧れの方々を前に緊張していて、もし怖い方たちだったらどうしよう?”って、ドキドキしていました(笑)。お目にかかる前は、純粋にパフォーマンスに接していただけですし、音楽自体もすごく尖っているから…」
NIRE「“もしかして怖いと思われるんじゃないかな?”とは、なんとなく予想していたので、スタジオでは、なるべく“怖くないんだよ!”という雰囲気を出そうと(笑)」
ユッコ「実際には、とても穏やかで優しい眼差しで見守ってくださって、とても安心しました!」
KOU「何より驚いたのが、リハの段階でユッコさんが完璧に仕上がっていて…」
M「もうバッチリでした」
ユッコ「リハで間違えて“全然できてねぇな”と言われたらマズイ!と思って(苦笑)。すごく練習してきたんです」
KOU「そのままレコーディングに入ってもいけそうなレベルで。逆に俺達が“ちゃんとしなくちゃ…”と思ったくらいです」
――H ZETTRIOの皆さんと擦り合わせなどは?
ユッコ「Mさんとはリハの前に一度打ち合わせしたのですが、レコーディング自体は、特に何か話をすることもなく、お互い音を出し合ってどんどん形が出来上がって行きました」
M「非常に順調でした」
NIRE「スケジュールが割とタイトで、どんどん録らなくちゃいけない状況ではあったから、最初はどうなるかと思ったんですけど…」
KOU「結果的には、全然いけました」
NIRE「逆に余裕があったくらいです。ゆっくりご飯を食べることもできました(笑)」
ユッコ「特にトラブルもなく、スムーズ過ぎてアッという間に終わってしまった感じです」
――レコーディングを通じてお互い刺激を受け合うことはありましたか?
ユッコ「H ZETTRIOさんと一緒に演奏できるだけでも幸せでしたし、普段やらないタイプの曲にも挑戦できたので、そういう意味でも刺激的でした。たとえば「Moments」は、ちょっと無機質な感じがありつつも、とてもお洒落な雰囲気で、独特の空気感をサックスで表現するために、色々と模索しながら演奏しました」
NIRE「普段はトリオなので、サックスの音色が入るとやっぱり雰囲気がガラッと変わりますよね」
M「録りながら、ヘッドフォンを介してユッコさんのサックスの音が流れてくると、改めてサックスの魅力を感じました」
NIRE「特にユッコさんの曲は、ご自分のニュアンス込みでメロディを書かれていたと思うので、歌い回しなど、“こういう風に吹くんじゃないかな?”と想像しながらリハやレコーディングに臨んだのが、とても楽しかったです」
M「トリオとしてのフォーマットに、ユッコさんのサックスをどう流し込むかは、アレンジする際にも意識しました」
KOU「即興やアドリブとかサックスならではの美味しいところがかなり散りばめられていて。そこは演奏する側もすごく気持ち良かっただろうし、聴く側にも伝わると思います」
NIRE「逆にMさんの書いた曲には、ユッコさんにとっては“こんなメロが来るんだ!”と驚きがあったのではないでしょうか。それがまたアルバムとしての面白さに繋がっているように思います」
ユッコ「どの曲も“カッコいい!”の一言です。Mさんの曲を私が演奏していること自体が夢みたいだし、レコーディングを通じて、一緒に過ごした時間がなんだか信じられないような気持ちです」
――それぞれ、推しの1曲を挙げるとするといかがですか?
ユッコ「私の曲の場合、それぞれにストーリーがあります。バラードの「Scent of the Day」は、“Scent”=“香り”という意味なんですけど、四季折々にその時ならではの香りってありますよね。そういう香りから何かを思い出すようなイメージで作った曲です」
M「自分で書いた曲は、なかなか1つには絞れないです(苦笑)」
NIRE「僕は「Strong Point」ですね。これはユッコさんのソロがすごい!」
KOU「ホントにカオス!」
M「僕ら3人も盛り上がったよね」
KOU「「絶体絶命」は、タイトルをいい意味で裏切る、ゆったりした曲調なんですけど、タイトルをイメージしたドラムソロがあるので、そこは是非注目してもらいたいですね」
M「ユッコさんの曲だと、やっぱり「Emotional」を挙げたいです。ユッコさんから最初に送られて来た曲で、“なるほど!”とイメージを受け止めた、という意味で忘れられない1曲です。自分が最初にユッコさんに送った「Dragon Funk」と共に、この2曲からユッコさんと僕らのイメージを固めていったようなところがあります」
――アルバムの曲順については何かエピソードがありますか?
ユッコ「曲順は私が担当させていただきました。「日付変更線」は、最後にしようと決めていて、1曲目は「Emotional」か「Dragon Funk」のどちらにしようか最後の最後まで悩んだんですけど…「Emotional」のイントロがすごくカッコ良かったし、それを受けて「Dragon Funk」に続くのは、いい流れになりそうかな?と。後はそれぞれ聴き比べつつ、このアルバムの曲順に落ち着きました」
NIRE「完璧!」
M「文句なしです」
KOU「「絶体絶命」から「危険なアリバイ」を作ることになっちゃって、「Scent of the Day」を感じて「Free Fall」するみたいな?」
ユッコ「(笑)」
KOU「それは冗談として(笑)、「日付変更線」が最後なのもいいですね。他の曲にはないテイストですし、一音一音丁寧に辿って行く曲なので、そういった余韻を感じてもらえれば嬉しいです」
――来年にはアルバムリリースを記念したライブも予定されているそうですが、それぞれ意気込みをお聞かせください。
M「実は、一度共演はしているんですよ」
ユッコ「10月に行われた、H ZETTRIOさんのライブにサプライズで参加させていただきました」
NIRE「まさにその時のライブでアルバム『LINK』のリリースを発表して…」
ユッコ「アルバムから「危険なアリバイ」と「Dragon Funk」を演奏したんですけど、こちらが感動するくらいのお客さんの熱量を感じて。あの感動を再び味わえるのかと思うと、本当に楽しみです!」
KOU「まだ2曲しかやっていないですからね。とにかく早く一緒にライブがしたいです。「絶体絶命」もライブ映えすると思います」
NIRE「やっぱり曲は成長していくものなので、アルバムで聴いていた曲も、お客さんの前で演奏することで、“この曲はこんな風に感じられるのか!?”と、そこで初めて気付くことなんかもあると思うんです。是非、期待してもらいたいですね」
M「本当に僕らもワクワクしています。そのことは強く伝えておきたいと思います」
――完成したアルバム『LINK』については、どのような思いを抱いていますか?
ユッコ「私からすると、まさかのH ZETTRIOさんとのコラボレーションが実現して、とんでもない奇跡のようなアルバムが出来上がりました」
KOU「“いいアルバムができた!”と胸を張って言えます。さっき冗談半分で言いましたけど(笑)、曲名からストーリー性を感じるのも今回のアルバムの醍醐味のひとつだと思っています」
NIRE「とても楽しく聴いていただけるアルバムになりました。1曲毎に聴きやすい長さですし、それこそ「Emotional」から「日付変更線」まで行って、また頭から聴いてもらっても飽きさせないはずです」
ユッコ「本当に聴きやすいんですよ。1曲が3分くらいなので、何回でも何回でも味わってもらえれば嬉しいです」
M「今回のアルバムは“ユッコ・ミラーfeat. H ZETTRIO”名義のリリースですけど、もう“featuring”の域を越えているんじゃないかな?と思います。本当にホットでクールで、エキサイティングなグルーヴ感に溢れたアルバムに仕上がりました」
ユッコ「アルバムタイトルの『LINK』は私が付けたんですけど、それこそ、高校生の頃にPE'Zを追いかけていたこと、H ZETTRIOさんが私のライブを観ていてくださったこと、そして今回、H ZETTRIOさんと繋がったこと、そういう色々な意味を込めて『LINK』というアルバムタイトルにしました。そしてまた、H ZETTRIOさんとの“LINK”をさらに広げていきたいなと思っています!」
(おわり)
取材・文/トヨタトモヒサ
写真/野﨑 慧嗣
RELEASE INFORMATION
2024年12月11日(水)発売
KICJ-875/3,500円(税込)
ユッコ・ミラー feat. H ZETTRIO『LINK』
LIVE INFORMATION
ユッコ・ミラー
ユッコ・ミラーBAND LIVE
2024年12月14日(土) 兵庫:姫路 JIVE-K
ユッコ・ミラーバースデー&クリスマスディナーショー
2024年12月25日(水) 愛知:名古屋 名鉄グランドホテル
H ZETTRIO
H ZETTRIO Christmas Show 2024 〜Thank you Dynamics!〜
2024年12月25日(水) 東京 昭和女子大学人見記念講堂