【専門家監修】ママの言葉が勉強嫌いにさせちゃってるかも⁉ NG言葉掛けとOK言葉掛けへの言い換え術
保護者が子どもに勉強してほしくて掛けている言葉が、じつは子どもを勉強嫌いにさせてしまっていたり、場合によっては、心を壊してしまうほど傷つけていたりすることに意外と気づいていないものです。みなさんは大丈夫でしょうか。
「つい言ってしまった…」一言や、「良かれと思って」常日頃から掛けている言葉など、大人にしてみれば何気ない声掛けでも、子どもにとっては心を悩ます大きな一言になる場合もあります。
ここでは、日本心理学会認定心理士で、多くの母親から育児や教育に関する相談を受けている、一般社団法人日本ぺたほめアカデミー協会代表理事の藤田敦子さんに、母親の言葉掛けの大切さについてお話を伺いました。
ご自身の息子さん2人を国公立医学部現役合格に導いた経験からの“魔法の言葉掛け”に注目です。
子どもの心を壊す! 口が裂けても絶対に言ってはいけない言葉
まず、これだけは伝えておきたいことがあります。口が裂けても絶対に言ってはいけない言葉です。
「あなたの顔も見たくないから出て行って!」
「勉強できない子は、ママの子じゃない」
「こんな点数取るなら、よその家の子になる?」
「本当にできが悪い。誰に似たの?」
「あなたなんか、産まなければよかった」
このように、子どもの存在自体を否定する言葉は絶対に言ってはいけません。これは、たとえその瞬間ママがイライラしていたとしても、たとえ冗談でも、ダメです。冷静になって、あとから子どもに謝っても、取り返しがつかないほど子どもの心は傷ついてしまうからです。
どんな理由であれ、存在を否定する言葉を掛けられた子は「ぼくのこと、いらないの?」「わたしは勉強できないからダメだ」と思うようになります。そして、この後に子どもが出る行動は、この2択です。
●自分の存在は不要だと思う→自分を責めて自己肯定感が低い子に。
●自分よりも弱いものを見つけてイライラ感情をぶつけるようになる(例:きょうだい、同じクラスの自分より弱い子など)→誰かを攻撃する問題児になる可能性も。
存在を否定する言葉は、絶対に口が裂けても言ってはいけないことを、心に留め置いてください。
なにげなく「つい」言ってしまいがちなNG言葉
子どもに何かを言い聞かせたいとき、もはや口癖になってしまっているかもしれないNG言葉がこちらです。もはや子どもも言われ慣れてしまい、結局良い状況にはならず……。まずはこれらをなるべく言わないよう「言い換え」てみてはいかがでしょう。
【NG】「これはあなたのために言っているのよ」
「あなたのため」と言われても、子どもはなんのためなのかを想像できません。将来のため? 成績のため? 世間体のため? よくよく突き詰めると、保護者の方の「ため」ではありませんか? これではお子さんに響きません。
⇒具体的に何がお子さんの「なんのため」になっているか、理由や状況を説明しながら言葉掛けをしてください。
【NG】「早くして!」(急がせる言葉)
「早く宿題して!」「早く塾の準備して!」「もっと早く解けないの?」という急がせる言葉掛けは、「どうしてそんなに遅いの?」と言わんばかりに、行動や現状の学力を否定していることになります。
⇒あらかじめ時間に余裕をもつこと。そして何ごともできたタイミングで「スゴイね! 早くできたね!」とほめてあげてください。ほめられることが続けば、徐々にほめられるために、おのずと“早く”行動してくれるように子ども自身も努力するでしょう。
【NG】「だけど」「でも」「違う」(子どもの意見を否定する言葉)
お子さんとの会話で、何気なくこの3点を相づちのように使ってしまっていませんか? 否定していないつもりでも「でも」と言われるだけで、少し嫌な気分になってしまいます。
⇒「そうなんだね」「うん」「いいね」などと、相づちから意識して肯定的な言葉に変えてみてください。きっと会話が弾むでしょう。
【NG】「~で?、ふ~ん、それで~?」(ながら会話)
ママは忙しい!という理由で、スマホ見ながら・テレビのニュースを見ながら「ながら会話」していませんか? これでは子ども側に「向き合ってくれない・関心が無い」と感じさせてしまいます。
⇒少しの時間でも良いので、できるだけ目を見て会話しましょう。どうしても忙しい場合は「このあとママは○○するから待たせちゃうけどもいいかな?」と声を掛け、子どもの行動に対して「待っていてくれてありがとう」と、きちんと感謝を伝えてあげてください。短い時間でも、このコミュニケーションがあることで、子どもはきちんと親の愛を感じてくれるでしょう。
勉強嫌いになる! NG言葉
学校の学習や塾のテストなどでは、子どもにとって思った通りにならないことや、予想していないことが日々起きています。そんな中で掛けてはいけないNG言葉は以下です。
≪人と比較≫
「お兄ちゃんはできたのに、あなたはどうしてできないの?」
「友だちの○○ちゃんは100点だったのに」
「お母さんが子どもの頃はできたから、あなたもやればできる」
このように、勉強のできやテストの結果を誰かと比較する言葉掛けは、本人の学習意欲を削ぐだけです。なにも良い効果はありません。
また、保護者の子どもの頃を例に出して比較する言葉掛けは、子どもにとってプレッシャーになるだけです。保護者の方は励ましのつもりで言っている場合が多く、「あなたもできるはず」と子どもへ伝えたいのはわかりますが、親と子は別人格です。得意・不得意も違います。自分の過去の成功体験を子どもに求めることは非常に酷なことですので、やめてあげてください。
≪学校のテストや通知表に対しての評価≫
「学校なんて100点取ってあたりまえ」
「あのとき遊んでたから、こんな点数なんだ」
「何度教えても、どうしてわからないの?」
「もう3年生なんだから、できるでしょ?」
「字が汚い!」
「ほめるところがないんです、うちの子」(と、子どもがいるところでほかの保護者や先生と話す)
すべてNGです! これらに共通していることは、テストなどの結果に対して酷評し、突き放していること。よく考えてみてください。子どもは、返された悪い点の答案用紙を見て、家に帰ってくるまでの間、しょんぼり反省していると思うんです。私は、この反省の時間だけで十分だと思います。
帰宅した我が子に掛けてあげるべき言葉は「あなたはいつも頑張ってる。ママはその頑張りを知ってるから、大丈夫」。どんな結果でも受け入れてもらえること、頑張ったことへのねぎらいが伝わる言葉です。
保護者は子どものダメなところや、勉強していなかったときのことを責めがちです。そうではなく、ほめるところを探し、まずはどんな結果でも受け止めてあげてください。
通塾中の受験生へ言ってはいけないNG言葉
受験を考えているご家庭にありがちなNG言葉は以下です。
「こんな点では合格できない」
「国語がめちゃくちゃダメ!」(点数が取れなかった特定の教科を責める)
「ほかのみんなは、もっと頑張ってるよ」
「(成績順にクラス分けの場合)下のクラスに落ちるわよ! それでいいの!?」
塾に通っている場合、中学受験を考えているご家庭も多く、我が子のことを思って熱心になられていますが、このように誰かと比較したり、脅しのような煽る言葉ではお子さんは伸び悩んでしまいます。あえてボコボコに言って鼓舞しようとされている保護者もいらっしゃいますが、たいていは逆効果です。
そもそも塾で保護者の満足する点数や偏差値を取れる子は、ほぼいません。それだけ、多くのお子さんが切磋琢磨していますし、学校と塾の勉強は内容が違います。学校のテストや評価は高得点でも、塾では点数が取れないということは、よくあることです。
私は、息子たちが塾や模擬試験で悪い点を取ってきたとき、こう言葉掛けをしていました。
「他の教科、めっちゃ頑張った! 中受は全教科の合計点で決まるから国語ができなくても大丈夫よ! お疲れ様」と。できなかったところを責めるのではなく、できたところをほめて伸ばしました。
結果がどうであれ、お子さんが頑張ったという過程を、ぜひほめてあげてください。
勉強好きにする言葉掛けのコツは「ほめる基準を下げて子どもを見る」こと
3・4年生は低学年のときの「生活」が「理科」「社会」に代わりますね。「国語」「算数」に加えて教科が増えますが、これがちょうど勉強に興味を持たせる絶好のチャンスです!
ある男の子のお母様が「毎日公園で落ち葉とドングリばっかり拾ってくるんです…」と嘆かれてました。でもこれを聞いた私は、学びにシフトできる最高のキッカケだと思いました。
私なら「たくさん拾ったね♪ すごいね、見せてくれる? ドングリにもいろんな形があるんだね。こんなにたくさん見つけて、まるで植物博士みたい!」とほめてみます。そして、横で図鑑を広げてあげれば「理科」の勉強につながるわけです。
机に向かうことだけが“勉強していてえらい”わけではありません。今だからこそ見せてくれる子どもの興味を、逃さずにキャッチしてあげてください。そして共感し、ほめる基準を下げてお子さんの“ほめどころ”を探してみてください。
「好きなもの」「興味あるもの」さえあれば、それが学習につながる時がきっときます。そして子ども自身が「知りたい! もっと勉強したい!」と動きだせたら、今度こそ「勉強するの? えらいね!」って、ほめてあげてください。
いかがでしたか? 藤田さんのNG言葉をOK言葉に言い換える術、そしてほめて伸ばすことの大切さをぜひ参考にしてみてください。