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犬にとって『マダニ』の危険性はどのくらい?命を脅かす病気や感染症、適切な予防方法まで解説

わんちゃんホンポ

「マダニ」による感染症や悪影響

マダニは吸血性の害虫で、様々な動物に寄生することが知られています。

そこで今回は、マダニが犬に及ぼす悪影響や引き起こす感染症について解説します。

発赤

マダニが口器を皮膚に刺すとき、麻酔のような物質が分泌されるため、犬が痛みを感じることはほとんどなく、刺されたり吸血されたりすることに気づくことはないでしょう。

また、口器が抜けないようにセメント状の物質を出すことで、犬が動き回ってもしっかりと固定した状態で吸血します。マダニが満腹になると自ら離れます。

こうして刺されて吸血された部分の皮膚は、赤くなったり腫れてしまったりします。しこりのようになったり、マダニが出した物質へのアレルギー反応があらわれて皮膚炎が引き起こされたりすることもあります。

貧血

マダニは寄生した動物の血を吸う害虫で、吸血前は約3mmの小さな体ですが吸血後は約1cmほどに膨らんで非常に大きくなります。

それほどの吸血量のため、長期間に渡って寄生され続けたり、大量のマダニに寄生されたりすると貧血に陥ることもあるとされています。

感染症

マダニは吸血するだけでなく、様々なウイルスや原虫の媒介者となることもあります。病気にかかっている動物の血を吸った後に、別の動物に寄生したとき、その病気を移してしまうこともあるのです。

マダニによって媒介される感染症はいくつもあり、なかでも「バベシア症」には注意が必要です。バベシア症は、犬の赤血球に原虫と呼ばれる寄生虫が入り込み、赤血球を破壊しながら増殖し続けます。

その結果、食欲不振や元気消失、発熱から始まり、重度の貧血や脾臓の腫大、肝臓や腎臓の機能障害などを引き起こします。特効薬がないため、抗菌薬などで薬物療法をおこないつつ犬自身の体力や免疫力による回復を待つ必要があります。

そのほかにも、「ライム病」や「Q熱」「日本紅斑熱」「ダニ媒介性脳炎」「SFTS(重症熱性血小板減少症)」といった感染症の心配があり、最悪の場合死に至る可能性もあるので、できるだけ早い対処が必要です。

愛犬にできる適切な「マダニ」の予防対策

では、「マダニ」の悪影響を受けないために、愛犬にどのような予防対策を施すべきなのでしょうか。

草むらを歩かない

マダニは常に動物の体で生活するのではなく、基本的に草むらで活動しています。吸血をするために動物の体に寄生しますが、それが終われば草むらに戻り脱皮や産卵などをおこないます。

そのため、犬を草むらに近づかせないことも、マダニ対策として有効です。

マダニは山や森などに多いとされていますが、都会の片隅にある草むらなどにも生息しているので注意しましょう。

洋服を着せる

マダニ対策として草むらを歩かせないことは大切ですが、豊かな自然の中で犬と一緒に遊ぶことを楽しみにしている飼い主さんもいると思います。実際、そのような場所で走りまわる犬は、非常にいい表情を見せてくれるものですよね。

散歩や外遊びで少しでもマダニの寄生を防ぐためには、洋服を着せるのも効果的です。

特に、足先まである長袖タイプのものや伸縮性があり犬の体にぴったりとつくようなもの、つるつるした素材で虫がつきにくいものなどがおすすめです。

洋服は家の中と外で使い分けるようにして、外で着せたものは帰宅時すぐに脱がすようにしましょう。

ブラッシングやシャンプーをする

犬の体にマダニがつくのは、散歩やお出かけのときがほとんどです。

マダニが体についてから、毛の中に潜り込んで皮膚に到達し、吸血を始めるまでには少し時間がかかるので、帰宅後すぐにブラッシングや皮膚のチェックをおこなうとマダニの吸血を防げる可能性があります。

また、長期間マダニが寄生しないように、3~4週間に一度はシャンプーをおこない、被毛や皮膚を清潔に保つことも大切です。

駆除薬を処方してもらう

マダニ対策として最も有効なのが、動物病院で駆除薬を処方してもらうことです。

皮膚への滴下または経口で、月1回を目安に駆除薬を投与することで、マダニの寄生や感染症の罹患を予防できます。

様々なタイプの薬があるため、犬の体質や体調を考慮して、安全に利用ができるようしっかりと相談しましょう。

また、マダニ予防効果があるとされる首輪や滴下剤なども市販されていますが、効果は十分ではない場合もありますので、獣医師とよく相談して薬を使用するようにしてください。

愛犬が「マダニ」に噛まれたときの対処法

予防や対策をしていても、外遊びをする犬の場合、どうしても体にマダニがついてしまうことがあります。

愛犬の体にマダニがついていることに気がついたとき、そのまま引っ張って取ろうとするのはNGです。

前述したように、マダニは口器が抜けないように、セメント様物質を分泌して犬の体に固定します。そのため、マダニの体を引っ張って取ろうとすると、マダニの頭部分が犬の皮膚に刺さったまま残ってしまうのです。

そのままにすると、皮膚に傷がついて炎症を引き起こしたり化膿したりするので、放置してはいけません。また、体を引っ張ったときに潰してしまい、犬の血中にマダニの体液が逆流してしまう危険性もあります。

マダニを取るときは、専用の器具を使って除去したり、獣医師に処置してもらったりする必要があります。

状況によっては皮膚切開や薬物投与などが必要な場合もあるので、決して無理に取ろうとせずに動物病院で相談してください。

まとめ

散歩やアウトドアなどを楽しんでいる犬と飼い主さんにとって、マダニによる被害は非常に身近な問題です。

皮膚トラブルや感染症を引き起こす可能性があるため、マダニの吸血や寄生をできるだけ防げるように、日頃から予防・対策をしっかりとおこないましょう。


(獣医師監修:葛野宗)

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