「ルーチェ」30周年記念イベント開催
誕生から30周年を迎え、ますます輝き続けるトスカーナ州モンタルチーノの銘醸ワイン「ルーチェ」。その節目を祝う特別イベントが開催された。市場解禁前の最新ヴィンテージ『ルーチェ 2022年』に加え、貴重なバックヴィンテージ5種をテイスティングできるまたとない機会となった。さらに、マーケティング&セールスディレクターのミケーレ・ドゥルシアン氏がルーチェ誕生から30年の歩み、哲学について語った。
text by Miki WAKAHARA
ルーチェを体感するバックヴィンテージと最新ヴィンテージのテイスティング
◆1998年 フレッシュでフルボディ
オレンジがかった濃い色調。キノコや土のニュアンスに、ドライフルーツとスパイスが調和。滑らかな口当たりとしなやかな酸、シルキーなタンニンが優雅な余韻をもたらす。熟成による見事な奥行き、今後10年ほどは美しい飲みごろが続くだろう。
◆2006年 スパイシーで熟成した味わい
腐葉土やキノコ、なめし革の複雑なアロマに、ドライプラムと甘草のスパイスが厚みを加える。力強い果実味ときれいな酸、スパイシーなタンニンが調和し、熟成の深みとともに凝縮感と広がりのある味わいを楽しめる1本。
◆2012年 芳醇でフレッシュ、複雑な味わい
果実の香りが中心でレッドプラムのコンポートに甘いスパイスのアクセント、やや熟成のニュアンスも。メルロ由来のパワフルでリッチな果実味と、サンジョヴェーゼ由来のエレガントな酸の骨格、そして熟成による複雑さのバランスが絶妙。
◆2014年 活力に溢れた、酸がしっかりとしてみずみずしい味わい
湿った土やキノコ、セミドライのプラムの香りに涼やかなニュアンスを感じる。流れるようなエレガントな酸が印象的で、果実の風味が後半に広がる。しなやかな佇まいときめ細かなタンニンが余韻をきれいにおさめる。
◆2018年 スパイシーで印象的
紫の輝きを残す艷やかな外観。熟したプラムやチェリーにスミレの香りが重なり、樽のニュアンスが調和。フレッシュな果実味と伸びやかな酸、滑らかで力強いタンニンがまとまり、スパイシーな余韻が長く続く。
◆最新の2022年は、洗練されたフルボディの味わい
完熟した赤いプラムと樽由来のスパイスがストレートに感じられる。力強くエネルギッシュな果実味をフレッシュな酸が支え、熟したタンニンが引き締める。これからの熟成による進化が楽しみなヴィンテージ。
垂直テイスティングを経て、ドゥルシアン氏の解説を聞いた筆者があらためて確信したことがある。それは、ルーチェの魅力を形づくるメルロとサンジョヴェーゼの見事な調和だ。その半々のブレンドが、若いうちはメルロの豊潤さを前面に押し出し、数年後に溶け合い、熟成が進むとサンジョヴェーゼの優雅さが際立つ。こうしてワインは若々しさを保ちながら深みを増し、ヴィンテージによっては40年以上にわたる美しい熟成を遂げる。この変化の妙こそが、ルーチェを特別な存在にしているということだ。
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