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いづも巳之助の一株コラム:しまむらが二刀流の確立で、第二のビッグウェーブ到来か?

セブツー

アパレル業界は、インバウンドの売上減や中国市場で失敗とか、人件費高騰で利益を圧迫とか、まあ上手くいかない理由をズラッと並べている。それはいきなり起きた事ではないから、株主はリスクに対して、どう対処したのかを聞きたいんだよね。今回は、しまむらが様々なリスクを見事に跳ねのけて、株価も1万円を越え、もはや最小単元株の購入は、個人株主の手の届かない所に行ってしまったね。

もともとしまむらは、米国の関税問題や輸出がない内需企業なので、そこはトクをしたのは確か。しかし、大きな勝ち筋が2つあるんだよ。

まず、PB(プライベートブランド)のヒット。ワークマンみたいに機能素材にグッと寄せてきた。ブランドの「クロッシー(CLOSSHI)」なんて誰も知らないけど、吸水速乾や接触冷感など、「とにかく涼しいんだよな〜」の衣料品を大量に提供したら、そりゃこの灼熱の夏では売れるでしょう。やる事を徹底的にわかりやすくアクションしたね。最近は、全体のPB商品量も25%を超えてきて、かなり店内でやりたい事が顧客にシンプルに伝わるようになり、女性の商品は、なんとサイズが5L!まである。

もうひとつ素晴らしい数値がある。それは、ECの中のOMO比率が85%とバカみたいに高い。EC自体は150億円もなく、おそらく赤字だ。しかし、展開商品のほとんどが店頭にない、アニメやサッカーチームやインフルエンサーとのコラボ商品だ。まず、それを選んで近くの店舗に行き、配送費なしで商品をゲット。それから、店頭の商品をついで買いするという、しまむらの楽しみ方を顧客と共創する形を作っていったんだよ。これって、日本の流通でできているのは、やり方は違えどもMUJIやニトリぐらいしか思いつかないが、その中でもしまむらは、二刀流を確立しつつある。購買額が倍にも3倍にもなる立派なビジネスモデルだ。

かつて、しまむらは過疎地に店を作り、地域の独占企業となるモデルで大きくなってきたが、なんか第二のビッグウェーブが来ているように感じる。今回の決算に拍手を送りたい。

▶巳之助メーター
3ニョロ 今こそ!
買える人は、どんどんいこう

*注釈 1ニョロ:素通り 2ニョロ:監視 3ニョロ:今だ!


■プロフィール:いづも巳之助
プライム上場企業元役員として、マーケ、デジタル事業、株式担当などを歴任。現在は、中小企業の営業部門取締役。15年前から分散投資を手がけ、まもなく保有株式評価額1億円。流通株を得意としている。たまに神社仏閣への祈祷、お祓い、占い、風水などスピリチュアルな方法で、売買を決定する時がある。

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