初夏から始まる三陸沿岸ムギイカ釣りを堪能【岩手】ケンサキイカ混じりで連発
三陸沿岸の夏の夜の楽しみといえば、人気のスルメイカ釣りです。この時期のスルメイカはいわゆる新子の小型スルメイカが中心です、ちょうど麦の穂が出揃う時期に当たるために新子スルメをムギイカと呼びますが、小型でも食味よく多くのアングラーに親しまれています。7月の某日、そのムギイカを狙って岩手県宮古へ釣行してきました。
岩手県宮古のムギイカメタル釣り
お世話になった船宿は岩手県宮古港のゆたか丸澤口船長です。
ゆたか丸さんは3隻の船でボートロック、ジギングをはじめ、宮古で狙える様々な魚をターゲットに四季折々の釣りを楽しませてくれます。澤口船長に挨拶を済ませて船に乗船、出航時間は17時半。多くのポイントが広がる宮古沖ですが、ここ最近の熱いポイントは港を出港してすぐ湾口部周辺です。
ムギイカ主体の釣りだとこうした岸よりの沿岸部が中心なのですが、今回は更に岸よりのポイントでした。船長に聞いたところ、こちらのポイントならケンサキイカも寄り付いていてムギイカと同時に狙えるらしいとのこと。昨年あたりから海水温の上昇で宮古周辺でもケンサキイカが釣れるようになっていて、イカメタルアングラーには歓迎されています。
1投目からケンサキイカ登場
ポイントに着けると投錨。船が安定したら実釣開始です。水深は30mほど。1投目ですぐに小型のケンサキイカが釣れました。その後はピタッとアタリがありませんでしたが、集魚灯に火が灯ると直ぐにアタリが出始めました。
はじめのうちはボトムからチョイ浮きのレンジで、その後徐々にムギイカのレンジは浮きはじめて20m辺りで良く反応が出るようになりました。
入れパクを堪能
この日は凪も良くて船の揺れもほとんどありません。さらに天気は時折、雨がぱらついて暗く集魚灯がよく効くのか?その後も最後まで入れパク状態で釣れ続きました。
三陸では「雨スルメ」といってこのような天候のときはよく釣れると言われますがまさにそんな釣れ具合でした。
ムギイカならではの難しさ
同じ種類のスルメとムギイカですが、実釣して感じるのはムギイカのコロコロと変化する釣れ具合です。潮の流れによるイカの活性の変化に忠実というか素直な反応を示すのがムギイカです。様々なイカを狙って実釣経験がありますがムギイカは気難しくて、簡単に釣れることも逆に食い渋ることもある少し気難しいターゲットのように思います。実釣当日はよく釣れましたが、ムギイカならではの難しさもありました。
本来ならスルメイカ系は速い釣りが主流の釣りです。例えば、イカジグを使って速めのシャクリで釣ったり、鉛スッテを重くしてリグにメリハリのある動きを演出するなど、スルメイカ(ムギイカ)にじっくりとリグを見せない、リアクションで喰わせる釣りがどちらかといえばメインの釣りなのですが、当日は潮流れ弱くムギイカの反応は良くありません。
スピードを重視した釣りだけでは掛かりませんでした。本来あるはずの着ドンやリグのフォール中に引ったくるような掛かり方もほとんどありませんでした。その割にはスッテに対しては良く反応して、いわゆる「お触り」だけでどうしても掛からない場面も多かったです。
ムギイカならではのこの「手数」の多さはパシパシとスッテに手を伸ばしてくるくせに殆どがショートタッチでまず掛かりません。特に竿先にハッキリと出るアタリほど、合わせてもらないことが多く、アングラー泣かせです。この辺りがムギイカメタルの難しさと面白さなんです。
じっくり誘うスローな釣り
なかなか掛からないけどしっかりと誘ってあげることで掛かるようになりますので、諦めないことです。スッテに反応が出たら1杯を確実に掛ける心積りが大切です。普段からケンサキイカやヤリイカの釣りを経験していれば、逆にこうした釣りの方がしっくりとくるかもしれません。ムギイカはとにかく素早いスッテの動きを好みますのでロッドを細かく叩いて小刻みにリグを動かすなどは大変効果あります。
アタリが少なくなったら一旦巻き上げてからリグを落とし込む、逆にリグを落とし込んでからレンジまで早巻きで上げてくるなども効果的です。お触りだけで一向に掛からないスレたイカに対してはスッテを動かしながらアタリを見える化できる誘い下げなどで掛けて行ってください。
100杯超えの釣果も
実釣当日は100杯オーバーのアングラーもいたほど大いに盛り上がった釣行でした。ムギイカの合間に大型のケンサキイカも掛かり楽しい夏の夜遊びでした。
ムギイカは簡単な釣りだけではなく時には焦ったくなるほど掛からないこともあるテクニカルな釣り物です。これからイカメタルを始めるアングラーにもお勧めします。
<堀籠賢志/TSURINEWSライター>