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元公務員で行政書士、ドローンインストラクター。資格を組み合わせてビジネスを成功させる方法

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「自分の人生は、こんなもんじゃないと思っていました」。
そう語るのは、元公務員にして行政書士、ドローンインストラクターの野澤成裕さん。現在は、ドローン活用の社会実装を担うクローバードローンと、法令支援を行うまほぴよ行政書士事務所の代表として、愛知県西尾市を拠点に活動している。

かつては岡崎市役所に勤め、係長として業務に従事していた。だがその安定を手放し、複数の仕事をかけ合わせる“越境的な働き方”へと大きく舵を切った。転機は、在職中に取得したドローン資格だったという。

「ドローンって、趣味や空撮に使うイメージが強いですが、僕が注目したのは“地域の暮らしに役立つ可能性”です。たとえば中山間地域での農薬散布や、高齢者の見守り、行方不明者の捜索など。自治体職員として関わるなかで、“制度の中の支援”では届かない部分があると痛感しました」

ドローンを通じて見えた課題。その先に、自分の役割があると確信した野澤さんは、2021年度末に退職。その翌日にクローバードローンを立ち上げた。同年、まほぴよ行政書士事務所も開業し、個人や法人に対するドローン法令のサポートにも乗り出した。

今では空き店舗活用プロジェクト「ここdeやるZone!(ここやる)」の“家老(かろう)”としても活動し、地域の新規チャレンジを後押ししている。元教員免許取得者でもあり、狩猟、古物商、無線技士など複数の資格を持つ、まさに“学びの越境者”だ。

「肩書きはひとつじゃなくていい」

「役所を辞めたとき、家族や周囲は当然びっくりしました。でも僕の中では、“違和感をそのままにして生きることのほうがリスク”だったんです」

「ひとつの肩書きにこだわらなくていい」「公務員を辞めても、社会で必要とされる人でいたい」。そんな思いが、野澤さんを支えている。

ドローン事業を選んだのも、地域で実装されていくイメージが持てたからだという。とくに、過疎化が進む中山間地域での活用は、民間の発想や動きがなければ前に進まないと感じていた。

「公務員時代は、法令や制度という“定められた枠”の中で支援する立場でした。でも、制度の“外側”にも支援が必要な人や課題がある。その部分に、自分の力を注ぎたかったんです」

今では、ドローン講習、農薬散布、空撮、点検業務、不明者捜索など、多岐にわたる依頼を受ける。行政書士としては、企業や個人のドローン飛行許可・法令対応もサポートしている。

「『行政書士×ドローン』って、一見バラバラに見えるかもしれません。でも、僕にとっては全部“つながって”います。法の知識と現場の技術、どちらもわかる人間が間に立つことで、安全で持続的な導入が進む。それが地域の力になるんです」

越境を可能にする「学び」のスタンス

野澤さんの行動力の源にあるのが、“学び”に対する柔軟なスタンスだ。

「ドローンの資格取得もそうですが、“まずやってみる”ということを大事にしています。今の時代、どんな分野でも学び続けないと置いていかれる。だからこそ、学びを止めずにいることが、働き方の自由度を広げる鍵だと思います」

地域住民へのセミナー開催や、自治体との連携プロジェクトなど、「教える」立場としても活躍しているが、本人は「学ぶ姿勢がある人は何歳でも伸びる」と断言する。

「自分自身も40代で新しい仕事を始めたわけですし、“遅い”なんてことは全くありません。むしろ経験を活かせる分、年齢を重ねてからのチャレンジの方が実践的かもしれません」

「安定」よりも「納得」の選択を

「もちろん、公務員の仕事にもやりがいはありました。でも、心のどこかで“自分の人生はこのままでいいのか”と疑問を持ち続けていた」

野澤さんが大切にしているのは、「納得して選べているかどうか」だという。

「安定は大切。でも、“安定=安心”とは限らない。それよりも、自分が納得して選んだ道を進んでいるかどうか。その感覚が、長く働き続けるうえで大事だと思っています」

多様な資格と実務経験を活かし、「まちの相談窓口」として頼られる存在となった今。野澤さんの働き方は、「学び」と「越境」があれば、いつでも人生をアップデートできるということを、静かに証明している。

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