「大物獲ったでごわす!」磯フカセ釣りで64cm3.3kg尾長グロ堂々浮上【鹿児島】
3月8日、鹿児島県肝属郡南大隅町の田尻漁港から沖磯へ尾長(オナガ)グロを狙って午前7時30分、小雨の中を鶴丸の2便で出港。東風が強くウネリが2mくらいある。安全第一で佐多岬灯台を西側へと向かい、次々に釣り人を降ろし、私は西側の無名磯へ。
南大隅の無名磯へ
初めてサオを出す場所で、まきエサはグレートグレ2袋と爆飛マスターグレ1袋、オキアミ生3角。つけエサは生イキくんforPROと新鮮生オキアミのサシエサPROの2LとLサイズ。
釣り場はワンドの奥。小潮、干潮が午前5時40分(潮位155cm)、満潮が11時30分(202cm)。6時間かけて47cmしか上がらない。つまり潮は動かないので厳しい。
9時、釣り開始。円錐ウキ0号で上層からゆっくり仕掛けを入れ込むが、つけエサは取られない。海水温度の低下で食いは渋い。次に水平ウキ、ウキごと沈める全層釣法で中層から低層を探る。ハリス3号でも2.5号でもつけエサがなくならず、仕方なしにハリス2号へ、ハリを凄腕グレ尾長8号から凄腕グレ7号へ小さくして仕掛け投入後、数分間ほったらかしにする。
ウキがミチイトを遡り、アタリはでないが、つけエサはなくなる。魚はいる。ミチイトを張り気味にしているとバチンとミチイトをひったくられる体感ショックで瞬殺。魚に先手を取られて釣り人が後手に回り負ける。
釣り人が先手を取るためにウキを棒ウキの自立チヌ3Bへ。動かない潮でも魚のかすかなアタリをトップが沈むことで知ることができる。ミチイトにウキ止めイトを結び付けた半遊動仕掛けにして、つけエサを取るタナを探す。手の長さで5.5ヒロと分かった。
ウキにドバドバとまきエサを被せるとコロダイ50cm、ヒブダイ45cmが釣れてウォーミングアップ完了。さらに大型イスズミが釣れたのでまきエサを足元多めに、ウキに少量にした。
モンスターの気配
10時ごろ、仕掛けを回収しようとリールを巻くとつけエサが踊る、誘いになったのか?強烈なアタリ、サオを真っすぐ立てると掛かった魚は右にある沈瀬のキワに一気に突っ込む。ハリスが瀬ズレで簡単に切られてバラシ。大型の尾長だったのかもしれない。残念。
11時、またアタリがきた。右の沈瀬に行くのは分かっている。サオを立てるとハリスが根に触れて切られるのであらかじめ左に倒してアワせる。いきなりサオは満月に曲がる。掛かった魚はやはり右の沈瀬に逃げる。腰を落として堪える。魚は左に向きを変えて突進開始。
リールのドラグはフルロック。サオをのされる。リールのレバーブレーキを緩めてスプールからミチイトを放出。魚はギアを上げてスピードアップ、もう止められない。ローターが唸りを上げながら回転。左30mくらいの磯ギワでハリスを切られバラシ。恐ろしいモンスターがアタってくる。
サオが折れそうな大物
11時30分、満潮をすぎた潮返しの瞬間だった。サオ先をゆっくり潮上側に引いて、ゆっくり戻す誘いをする。つけエサが浮き上がり、また沈む。ひと呼吸おいて棒ウキの自立チヌ3Bがゆっくり沈む。大物ほどアタリは小さい、あらかじめ左にサオを寝かせてアワせる。右の沈瀬に逃げ込むのを止める。
1mmもイトはださない。左に向きを変える。リールのフロントドラグは少し緩めてある。サオを右へ水平に倒す。つの字に曲がったままリールのドラグが滑り、ミチイトがでていく。ドラグを引きださせることで体力を奪う。
走りが止まった。サオを立てると魚は逆らって深みに潜り水圧で重くなり釣り人が不利になる。そうならないようにサオの角度を斜め45度か水平を意識。サオをつの字に曲げたままに膝と腰を伸ばして魚を起こす。サオが揺れると魚が暴れる。揺れないようにしっかりと保持、ポンピングは絶対しない。サオの弾力がなくなった瞬間、尾長グロに逃げるチャンスを与えバラすからだ。サオを曲げたままリールを巻き、膝と腰を曲げて魚に近寄る。
寄ってきた魚は海底めがけて素早く潜る。サオは満月のままトップから2段目までが海中に引きずり込まれる。「ヤバイ、やられる」とっさにリールのレバーブレーキを緩めて最小限のミチイトを送りだしながら泳ぐ魚の頭の方向にサオを倒す。サオ尻をお腹に当てて絞り上げる。折れそうだ、何回も突っ込む。
都度、魚の頭側を意識、魚の泳ぐ力を利用して階段を一段ずつ上るように間合いを詰めていく。茶色い魚が浮いてきた。とても大きい尾長グロだ。「慌てるな!焦るな!」自分に言い聞かせる。主導権は自分にある。
慎重にやり取り
口太(クチブト)グロは海面で空気を吸わせるとすぐに弱るが、尾長グロは空気を吸わせると怒って最後の力を振り絞り猛烈に反転してハリスを切って逃げていく。もしハリをのまれていたらサオを立てることでハリスが尾長の鋭い歯に当たり切れる。海面に浮かすと魚の重さで弱ったハリスが切れてバラす。
そうならないように尾長を海面下1mくらいに置いてサオを斜め45度に倒して尾長を8の字を書くように泳がせ続けて完全にグロッキー状態にしてタモを海面下50cmくらいに差し込む、そこへ尾長を誘導してすくった。
64cm3.3kg尾長グロ浮上
「よっしゃー」。
すごく重たい。安全な広い所に移動、メジャーで測ると64cm、自己記録更新。「獲ったでごわす!」雄たけび一発。万歳。嬉しすぎる。思わずジャンプした。重量3.3kg、抱卵は指2本くらいで産卵まではもう少しかかりそう。
佐多岬の尾長グロ釣りは5月の最盛期に向けて始まったばかり。皆さんもこの機会に自己記録更新に挑戦してほしい。
<週刊つりニュース西部版APC・新増初生/TSURINEWS編>