「歴史をつないでいく、先人から次の世代へ」マンズワイン小諸ワイナリー
日本ワインの銘醸地、長野県の千曲川ワインバレー。中でも長い歴史を紡ぎ、この地のワイン造りを牽引してきたのが「マンズワイン小諸ワイナリー」だ。畑を、ワインを担う造り手の「声」を聞く
「マンズワイン小諸ワイナリー」訪ねると、栽培・醸造責任者の西畑徹平氏が、3本のワインと1本のブランデーを用意して迎えてくれた。
「『歴史をつなぐ』。このワインとブランデーには、先人たちの思いと、僕たちの決意が込められているのです」
1971年、マンズワインは長野県の上田から小諸にかけて広がる「千曲川ワインバレー」に、農家と協業して畑を切り拓き、2年後にワイナリーを開設した。当時、栽培されていたブドウの多くは県の在来種「龍眼」だったが、1988年の季節外れの大雪で大きな被害を受けたことをきっかけに、欧州系品種の栽培へと舵を切った。なかでもシャルドネとメルロはこの地に根を下ろし、良質なブドウがはぐくまれ、プレミアムワイン『ソラリス』誕生の布石となった。
「小諸がシャルドネとメルロの適地であることは間違いありません。しかしそれ以上に、契約農家の皆さんやワイナリーの先輩たちが、良質なブドウを育てる努力を重ねてきた。その思いが畑や樹に込められていると感じます。読み解くのは簡単ではないけれど、楽しい」と西畑氏は笑顔を見せ、こう続ける。
「先人たちの挑戦を感じれば感じるほど、毎年同じことを繰り返すだけでは進化はないと奮い立ちます」
実際、ここ数年は有機栽培など新たな取り組みを進めている。さらに『ソラリス 小諸 シャルドネ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2023』では、垣根の北側と南側のブドウを時期をずらして収穫・醸造し、ブレンドするという試みに挑んだ。
「一斉に収穫した場合とどの程度違いが出るのか、見合う成果があったのかはまだ検証しきれていません。ただ、トライ&エラーから学べることは多いのです」と西畑氏は分析する。
先人から受け取ったバトンを次の世代へ渡すのも、今を担う者の使命だ。ワイナリーの目の前、かつて芝生が広がっていた場所に昨年シャルドネとソーヴィニヨン・ブランの苗を植えた。
「20年後、今ある畑やブドウの樹がどうなっているかはわかりません。だからこそ未来を見据え、きることを積み重ねていかなければ」
ブドウが収穫できるのは年に一度だけ。その刹那を受け止めながら、西畑氏は挑戦の歴史をつないでいく。
「マンズワイン小諸ワイナリー」
長野県小諸市諸375
TEL.0267-22-6341
ショップ営業時間:営業時間 9:30〜16:30 ※4~11月
[小諸ワイナリー]
「マンズワイン小諸ワイナリー」ワイナリーショップ 売れ筋TOP3
ワイナリーを訪れた人々が、試飲やスタッフとの会話を通して選んで購入するワインとは?
現地のショップでよく売れているワインをランキング形式で紹介。
観光客はもちろん、地元のリピーターにも愛される人気の3本から、そのワイナリーの個性が見えてくる。お土産選びはもちろん、次にワイナリーを訪れる時の参考にもどうぞ。
1位
『ソラリス 千曲川 信濃リースリング 2024年』
(税込4840円)
マンズワインが生み出した華やかな香りが特徴の白ワイン。白バラなどの花の香りが口いっぱいに広がる。
2位
『ソラリス ラ・クロワ 2021年』
(税込7150円)
長野県上田市東真矢のテロワールを最大限に引き出した、世界が認めた1本。
3位
『ソラリス 千曲川 メルロー 2021年』
ソラリスの赤ワインの代名詞。標高が異なる小諸と上田のメルロから造られる、非常にバランスに優れた1本。