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TRACK15「月」インタビュー――4ピースのシンプルな豊かさが印象的なロックバラードを深掘り!

encore

──2025年は2nd Mini Album『season』のリリースとツアー、地元大阪のBIGCATでのワンマンライブ、各地での夏フェスなどがありましたが、その経験を振り返っていかがですか?

蓮(Vo/Gt)「『season』をリリースしてそのリリースツアーで東名阪のクアトロを回らせていただいたんですけど、それが終わったと思いきやすぐにバンド史上最大キャパとなるBIGCATのワンマンがあって…目の前のことに精一杯でした。先を見るのも大事ですけど、1つ1つを丁寧に目の前のことを一生懸命やっていた2025年でした。あと、夏フェスにもたくさん出演させていただいたんですけど、去年初めて出演したフェスに今年も出演させていただいたりして、“こいつら、どんなバンドなんだろう?”というのを感じていたのが、2回目の今年は温かいというか、自分たちの音楽を求めてくださる方もちらほらいることがステージからも分かって、お客さんと一緒に成長というか、歩いてきていると感じました」

──『season』のリリースツアーで新曲に対する反応で何か感じたことはありましたか?

蓮「『season』の前に1st Mini Album『bouquet』(2024年)をリリースして、その時期に自分のベストを出し尽くした感があって…“これ以上書けるのか?”とすごい不安に思っていたんです。バンドって“昔の曲がよかった”って言われがちな気がしているんですけど、僕たちTRACK15はありがたいことに“新しい曲をリリースするたびに更新している”と言ってくれる人がたくさんいてくれて。僕は疑いから入ってしまう性格なんですけど、皆さんに言ってもらえている通り、ちゃんと記録更新をしているので、リリースごとにずっといい曲ができてきていると思います」

前田 夕日(Dr/Cho)「新曲をリリースしたときのSNSの反応が分かりやすかったんですけど、いろいろなところで曲をかけてもらう中でも“USENで聴いた”という反応が大きかった気がしています。実際、僕もメンバーと衣装を買いに行ったとき、そのショッピングモールのゲームセンターで「月」が流れていて。それに週間USEN HIT J-POPランキングの注目曲に入れていただいていたので、その情報を“見たよ“という知り合いの人からの反応もありました」

蓮(Vo/Gt)
前田 夕日(Dr/Cho)

高橋 凜(Ba/Cho)「ラジオに出演させてもらった時にリクエストがたくさん届くんですけど、今回は関東のラジオ局に出演させてもらって。いつもは大阪の局が多いんですけど、初めて出演した東京のラジオ局でもたくさんの人がリクエストしてくれるのを見て、“こんなにも聴いてもらってるんだな”って思いました」

寺田 航起(Gt)「僕は人との出会いが一番大きかったかもしれないです。出会った人が本当にみんないい人で、音楽面でもプライベートでもいろんな経験をしたことが、バンドをやっている個人的な意味でのつながりを感じました」

──ミュージシャンとしてもっと吸収できることが見つかったりしたのでしょうか?

寺田「そうですね。『season』のときもいろんな音楽関係の方と話をしたりしていて、“まだ足らないな”って感じることもありましたし、音楽の知識が増えることが多かったので、そこから視野が広がった感じはします」

──『season』はバンドアレンジに加えて上モノが増えたアルバムだったので、特にギタリストとしてはチャレンジングだったのでは?

寺田「かなり悩みましたし、もっといろんな音楽を聴かないとダメだとも思いましたし、リード(ギター)がどういう存在であるべきか?ということを考えた年でした」

──同世代のバンドの中でもTRACK15は正統派のJ-POPの要素もロックバンド的な要素もどちらも持っているバンドという印象があって、独特だと思うんです。勢いで押すより曲の良さがまず印象に残りますし…。

蓮「確かに。でもそれこそ結成当初はすごく道に迷ったというか…どういう音楽をTRACK15としてやっていったらいいのかをすごく迷いました。それに大阪で活動していると、なんというか、ライブでテンション高く盛り上げていくスタイルのバンドが友だちにもたくさんいたんです。その中で僕たちが同じことやっても同じようになるだけというか、“似合わない”というのが大きくて。それで苦しい時期もあったんですけど、自分たちの音楽を曲げずに続けていたら素敵な方たちに出会って、支えてもらって今の状況があると思っています」

高橋 凜(Ba/Cho)
寺田 航起(Gt)

──では最新シングル「月」のお話を聞かせてください。『season』でバンド以外のピアノやストリングスが入った曲が増えましたが、今回はまた一転してシンプルなバンドサウンドです。これはどういうところから始まったんですか?

蓮「「月」ができたのは2022年ですごく前の曲なんです。それこそ今言っていただいた通り、最近の曲は鍵盤のアレンジやストリングスアレンジが入っている中、TRACK15の根本というか4人だけの音で直接届けるということを改めて今、リリースすることによって、昔から支えてくれているお客さんに“TRACK15ってこれだよね”と思ってもらえるような曲であるし、最近知ってくれた方にも“こういうのもできるんだよ”というのを提示するような曲なんだと思っています」

──しかも昔とは表現力が違いますよね?

蓮「はい。迷いがなくなった気がします。昔は“これで合っているのかな?”という感じで曲を作っていた気がするんですけど、もう4人とも自分たちの正解が分かって、“この曲はこれでいいんだ”という意味でシンプルに出来上がった気がしています」

──いいメロディといい日本語詞が軸にありながら、存外オルタナティブなサウンドでもあって。バンドサウンドを考えていく時にどういうアイディアがありましたか?

前田「3年前の曲ですけど、チームのスタッフとかメンバーには共有してこの曲の存在は残っていて…リリースが決まったときに聴くとまた違う聴こえ方がしたというか。3年前は“今じゃない”と思ってリリースしなかったんですけど、逆に今聴くと“当時のままで行きたい”というか、アレンジもそこまで変えずに“フレーズとか手数も増やさなくてこのままでいいんじゃない?”と思ったのは覚えています。でも、作った時の感じはどうだったんだろう? 何を意識したんだろう?」

高橋「これ、1st Single「Three」と同じ時期に録っていて…」

──ああ、確かに質感として近いですね。ちなみに「Three」に収録されている「寂しくなるな」は個人的に刺さった曲です。メロディも歌詞もすごく良くて。

蓮「ありがとうございます。「寂しくなるな」があるから「月」は1回置いておいたところもあります」

──少しと曲調がかぶるからですか?

高橋「そうですね。どちらもバラードですし」

──そもそも蓮さんはどういうイメージで作った曲なんですか?

蓮「テーマとしては絶妙な距離感のふたりを描いた曲なんですけど、連絡を取りたいけど言い出せないとか、デートに行きたいけど誘えない、そういうふたりの距離感を月視点から描きました。“月がそれを見て笑っている“というような楽曲です。このBメロの歌詞、<いつかの秋を迎える夏の終わりささやく 「一生この気温がいいね。」と笑う横顔 それこそ一生みていたいの>という歌詞から思いついた気がします。昔、それをツイートしたような記憶があります」

──おのおののアレンジはどんな感じでしたか?

寺田「リードギターは音も澄んだ感じにしようと考えました。あと、月の情景を思い浮かべるようなフレーズは2022年当時に作ったのを覚えています」

──アウトロに余韻のようなイメージでギターで鳴らされているのがいいですね。

寺田「いい意味で地味な感じ、シンプルさが出るといいと思って。最後もはっきりと終わらせるよりは月を見ながら話し始めるような…思いきり行けない感じがいいと思ったアウトロです」

──寺田さんはもともとはソリッドなタイプのギタリストが好きでギターを始められたんですよね?

寺田「そうですね。系統的にはTRACK15のようなバンドはあまり聴いてこなかったです。もう本当に“アンプ直で!”くらいのギタリストが好きだったりします」

──今、TRACK15に落とし込む時にどういうバンドが参考になっていたりしますか?

寺田「幅広く聴いているので“このバンド”というのはないのですが、逆に自分たちとは全然違うアーティストのフレーズやイメージを入れてみようとか挑戦してみたりはしています。スマッシング・パンプキンズが好きで、『season』の時にはそんな感じの雰囲気を入れてみようとか、みんながあまり聴いていないのを入れてみてハマるのも面白いかな?と思ってやってみたりしました」

──オーセンティックなTRACK15の世界観の中にオルタナティブな要素を感じるのは寺田さんのギターが大きそうですね。

蓮「本当にそうですね」

──このバランスが絶妙だと思います。

──前田さんはプレイで意識したところと言えばどんなところでしょう?

前田「できるだけリズムパターンの変化はしたくない曲だったので、サビでもあまりない気がします。Bメロは蓮くんが大事にしている部分なので、静かな感じでクロス・リムショットで音数を少なくして、そこだけかなり目立つ部分かもしれないです。それと“歌を邪魔しないように”、“歌を持ち上げられるように”というのはいつも考えています」

──ゆっくり歩くような印象もあります。

前田「そうですね。この曲は他の曲と並んだ時に異色というか…あまり感情の起伏がなさそうですけど、聴けば聴くほど不思議と良くなっていくような感じはあるかもしれないです」

──ひとりでじっくり聴きたいときに似合う曲かもしれないですね。そもそも蓮さんはどういうタイプのリスナーなんですか?

蓮「あまり音楽は聴かないですね…聴いてしまうとそれになってしまう気がすごくしていて。インプットしないとダメなのは分かっているんですけど。“聴きたくない”というとあれですけど(笑)、自分の曲ばかり聴いているかもしれないです。作った弾き語りのデモを何回もやり直して朝起きたら聴いて、“やっぱり違うわ”っていうのを一生繰り返しているかもしれないです」

──そして、来年1月の初のホールワンマン(LINE CUBE SHIBUYA)が即完しました。どんなライブにしたいですか?

高橋「ホールでワンマンするのが初めてなんですけど、今回はリリースに結びつけたワンマンライブではないのでセトリも割と自由に昔の曲も盛り込んだり、“ホールだったらこの曲も映えるんじゃない?”みたいな曲もあるので、そういった“らしさ”を出したいです」

蓮「個人的にホールで観るライブがすごい好きなんです。ライブハウスを拠点に活動してはいるんですけど、ホールで座って聴ける音楽ができるバンドの強さというか、“騒ぐ”、“楽しい”だけじゃないというところを届けられたらすごくいいですね」

前田「やりたいことはたくさんありますけど、演出が楽しみです。好きなバンド、憧れのバンドはみんなホールでライブやっているので、ホールでのライブに理想像がある気がしますし、目指していた部分があるので、来てくれた人に新しい僕たちを見ていただきたいです」

寺田「3階まである会場なので前の人だけが楽しめるとかではなくて、全員が広い視野で楽しめるようなライブにしたいです」

──ありがとうございます。ところで現状、制作の予定などはどうなんでしょうか?

蓮「日々苦しめられています(笑)。リリースをいつも決めずにただただ曲を作り続けて、ピースがハマったらリリースするっていうふうにずっとやっています。ライブもありながら、曲作りを止めるとバンドが止まるのと一緒だと思っているので」

──引き続き新曲も楽しみにしています。

蓮「今年も来年も良いニュースを届けられると思います。それこそLINE CUBE SHIBUYAが完売して、新たにたくさん求めていただいてるのでもっと大きいところでできるようにチームで力を合わせてやって行きます」

(おわり)

取材・文/石角友香

RELEASE INFORMATION

2025年10月1日(水)配信

TRACK15「月」

LIVE INFORMATION

TRACK15 ONE MAN LIVE -at LINE CUBE SHIBUYA-
2026年1月23日(金) 東京 LINE CUBE SHIBUYA ※SOLD OUT!!

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2025
2025年12月26日(金) 出演
インテックス大阪
詳細はこちら >>>

COUNTDOWN JAPAN 25/26
2025年12月29日(月)出演
幕張メッセ国際展示場1~11ホール・イベントホール
詳細はこちら >>>

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