憧れチームのセレクションに落ちた! 小学生で経験した大きな挫折、落ち込む子どもにどんな声かけをすればいい?
Jクラブの育成組織、行きたかった街クラブ、トレセンなど、小学生年代でもサッカーで「選考」を経験することがあります。
ですが、必ずしも受かるとは限りません。行きたかったチームのセレクションに受からなくて子どもが落ち込む姿を見て、どう慰めればいいのか迷ってしまった経験を持つ親御さんもいるのではないでしょうか。
今回は、お子さんがセレクション不合格を経験したことがあるサカイクアンバサダーのKさん(仮名)に、親としてどのような声をかけてお子さんを前向きにさせたのか伺いました。
サッカーだけではなく、学校生活や何かに挑戦して失敗したときの声かけのヒントにもなると思いますので、これからセレクションを考えている親御さんも、ひとつの例として参考にしてみてください。
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■必ずしも希望したチームに行けるわけではない
都市部やJクラブ、有名強豪街クラブがあるような地域だと、セレクションを受けられる年齢になるとこぞって受けだす親子も多くいます。熱心な親御さんだと低学年から情報収集に余念がありません。
ですが、多くのチームは指導者がみられる人数に限りがあるため、必ずしも選考結果が希望に沿うわけではありません。
Kさん(仮名)のお子さんは、低学年からJクラブのスクールと並行して地元のチームに所属しており、みんなでワイワイ楽しんでいたそうですが、高学年になり本人の「もっと高みを目指したい」」という気持ちから、チームを退団し、憧れのチームのセレクションに挑戦しました。
スクールでも上手いほうで、コーチたちにも認められており、期待をもってセレクションに挑みましたが、一度目はいわば補欠として「再選考枠」に。チームに所属できるわけではありませんが、練習に参加させてもらうと共に次回のセレクション参加の権利を得ました。
正式な所属選手ではないものの、トレーニングマッチなどにも呼んでもらっていたこともあり、自信をつけて挑んだ2度目のセレクションを受けるも、またしても「再選考枠」。
練習やトレーニングマッチに呼んでもらって、指導者にも賞賛の言葉をかけてもらっていたという自負もあり、受けたショックは相当なものだったようです。
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■初めてのセレクション落選で親がかけた言葉
最初にセレクションに落ちた時は、何が足りなかったのか自分が一番わかっているだろうという気持ちや、お子さん本人が親に同情してほしいという感じでもなかったそうで「下手に慰めるのもよくないかな」と考え、過剰に声掛けすることはなかったと言います。
セレクションがあったのは長期休暇の時だったので、「休みを楽しもうか」「1回切り替えよう。もう一度自分のやりたいサッカーを探してみたら」など前向きな言葉をかけ、それ以降あえてサッカーの話題に触れないようにしていたそう。
すると何日か経ってから、お子さんのほうから「自分のやりたいサッカーはさ......」と、やりたいサッカーについて話してきたので、それをじっくり聞いてあげたとのこと。
お子さんの性格や年齢にもよると思いますが、わが子が一緒に悲しんでほしいのかどうかをよく見て対応する、という点は一番大事にしたいことではないでしょうか。
■2度目のセレクション不合格は大きな挫折に
上記のように、お子さんは2度目のセレクションでも希望が叶いませんでした。
親であるKさんは、「雰囲気にも飲まれちゃっていたし、即戦力というわけでもなかったので」と振り返りますが、お子さんにとっては2度目の落選に対する落胆は大きく、Kさんはその時のお子さんの姿を「一気に挫折の沼に入っていったという感じでした」と教えてくれました。
「チームへの憧れが強くて、2度目のセレクションのために頑張ってきたのにダメだったので『もう、自分はダメなんだ』となってしまって......」(Kさん)
これまでずっと「上手い」と評価され、初回で合格はできなかったけれど「再選考」という評価をいただき、練習やトレーニングマッチに呼んでもらえていた事からも、本人が2度目のセレクションにかける期待は相当に大きかったのがわかります。
大きなショックを受けた我が子をなぐさめるためにKさんは、「憧れのチームをネタにさせていただきました」と言います。
「本当はとても素晴らしいチームなのですが、その時は子どもの力不足には触れずに『あのチームじゃなくてもよくない? あなたの志向するスタイルとちがうんじゃない?』 『普段助っ人で入っているチームのほうが見てて楽しいけどな』など、懸命に伝えましたね」
チームの悪口を言う必要はありませんが、子どもを慰めるために言い方を工夫する、というのも一つの選択肢かもしれません。
■心に受けたダメージで、体にも異変が
じつは、憧れのクラブのセレクション合格に向けて努力を重ねたのに叶わなかった、という経験は大きな挫折となり、お子さんの体にも異変が。
セレクション後しばらくすると、チック症状が現れたとそう。
助っ人参加しているチームの遠征に行った際に、プレーの反応がいつもより遅く、コーチの話を聞いているときに瞼がピクッと動くのに気付いたそう。その場では深く考えていなかったKさんですが、遠征の最終日にはお腹を下してしまい、自分のプレーができず、迎えに来たKさんの前でワッと涙があふれたと言います。
「これまでサッカーを知らない私に『どうしたらいい?』なんて聞いてこなかったのに、その時は聞かれて。その後別のキャンプでも瞼がピクピクする症状が出て、これはおかしいなと病院に連れて行きました」(Kさん)
■今のチームに入ったら初日でチック症状が消えた
病院でチック症状と診断され、その後は少しサッカーから離れたそうですが、この秋から知り合いのコーチが指導するチームに所属したところ、初日でチックの症状が消えたそうです。
セレクションのためにチームを辞めてから、練習参加や助っ人での試合出場はあったものの、どこにも所属していない不安定さも不安だったのかもしれない。とKさんは言います。
これまでは助っ人で入っていたチームも含め、スタメンが当たり前だったお子さんですが、今のチームは上級生がスタメン。お子さんにとっては初めての体験ですが、「見て学ぶ」ことも楽しめているそうです。
本当はもう一度憧れのチームのセレクションを受けることもできたそうですが、お子さん自身が『小学生年代ではこれ以上セレクションを受けない』と決めたのだそう。そうした決意と、居場所ができたことで安心感が得られたのかもしれません。
「まだ完璧に乗り越えたとは言えないかもしれませんが、チームの中に居場所があるし、サッカーへのモチベーションが戻ってきた気がします」と、再びサッカーを楽しめるようになったお子さんのことを嬉しそうに語ります。
そして、「これからも迷うかもしれないけど」と前置きしながら、「子どもの人生だし、自分で決めさせたい。小さい時からそれは実践しているけど、結局は子どもがどう思うかだと思うから」と改めて子育ての軸を確認していました。
小学生年代でもチームに所属留守ためにセレクションという選考を経験する子が増えていますが、全員が入りたいチームに入れるわけではありません。落選したとき、落ち込む子どもへの接し方の例として、一つの参考にしてみて下さい。
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