法隆寺近く『鵤樂舎(いかるががくしゃ)』でいただく、心からのおもてなし料理
法隆寺近く『鵤樂舎(いかるががくしゃ)』でいただく、心からのおもてなし料理
日本最古の木造建築物で世界文化遺産でもある法隆寺のすぐ近く。
『鵤樂舎(いかるががくしゃ)』は、世界に誇れる日本の宮大工の技と心を、食を通じて伝えていきたいという思いで運営されている場所だ。
宮大工による檜の温もりを感じることができる空間づくりがなされた店内には、飲食を楽しむテーブル席の他に、宮大工が使う道具類や手書きの図面など、見るからに貴重だと分かる資料が惜しげもなく展示されている。
そんな展示品の数々に目を奪われつつ、『鵤樂舎』の創作ランチコース『OHACO-おはこ-』をいただいた。
創作ランチコース
『OHACO-おはこ-』
白い漆器の一段重のふたを開けると色彩豊かな料理の数々が小鉢・小皿にきれいに盛り付けられている。
鰆の上に添えられた菜の花など季節感も感じさせてくれるのがうれしい。
使用されているお野菜のほとんどはスタッフさんのおうちの畑で採れたものと、近隣の農家さんから直接仕入れたもの。
味付けは味噌、醤油、酢、麹など日本の伝統的な発酵調味料を中心とした優しい味付けで、新鮮な野菜の生き生きとした風味が生かされている。
それぞれの料理から感じられる出汁の香りも一品一品で微妙に違っており、非常に丁寧に調理されているのが良くわかる。
コースにはパスタ、デザートまでついてくる
今月のパスタ『旬菜と海鮮のガーリック醤油ソース』
この日のパスタは『旬菜と海鮮のガーリック醤油ソース』のパスタ。
具材はあさりと桜エビが選択可能だった。
麺は「三輪そうめん やまなか」の『手延べdeパスタ』を使用。
もちもちとした麺にシャキシャキ感を残したキャベツが絡み絶妙な歯ごたえだ。
ここまでの品数だけで驚きなのだが、さらにデザートまで付いてくるという。
ちなみに写真下のきりこも自家製。
デザート
故きを温ねて、新しきを知る
この『鵤樂舎』は、法隆寺の宮大工棟梁で“最後の宮大工”“、法隆寺の鬼”などと呼ばれた宮大工・西岡常一さんの弟子の小川三夫棟梁が設立した『鵤工舎(いかるがこうしゃ)』が、内装を手掛けたお店だ。
宮大工の職人の技や心、かつては職人の村であった斑鳩町西里を知ってもらいたい、後世に伝えていきたいという想いで、スタッフがギャラリーの案内をしてくれる。
店内随所には、寺社建築のミニチュアなどのほかに、実際に使われていたであろう道具類、図面が展示されている。
特に図面類は驚くほど精緻な描画がなされており、じっくりと近くで見ればその精密さを裏付ける細やかな下書きが施されているのが分かる。
良い仕事にまず必要なものは、手間暇を惜しまない情熱・想いなのだと改めて感じさせてくれた。
こちらの料理もまた然り。
数多くの料理を一つ一つ丁寧に作り、美しく盛り付ける。
土地の食材や地域に根付く文化で訪れたゲストをおもてなしするこのお店には、先人たちが培ってきたものを明日への活力に変換する、そんなエネルギーの循環を感じさせられる。
鵤樂舎(いかるががくしゃ)
●住所/奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺西1丁目3-3
●tel/0745-43-8724
●営業日/水曜日~日曜日
●営業時間/・ランチ 11:00~14:00・カフェ 14:00〜16:00