いつか、柏市から横綱を!「相撲を通して『人間』を育てる」柏相撲少年団
「押せ! 押せ!」「ようし、もう一本」「今度は俺だ!」。柏市中央体育館(千葉県柏市柏下73番地)の一角にある相撲場で飛び交う力強い声。神明造りの屋根の下は、子どもたちの夢と汗でいっぱいです。
「柏の相撲」が全国に! 伝統のクラブに注目
猛暑が続いた9月上旬の土曜日午前。
柏市中央体育館の相撲場では、幼稚園児から小・中学生が土俵上でぶつかり稽古の真っ最中。
「つらい時につらい顔をするな!」「立ちっぱなしになるから押し込まれるんだ。腰をしっかり落として!」。
土俵際から野太く、よく響く声が飛び、大相撲地方巡業の相撲部屋の朝稽古のような、凛(りん)とした空気が漂っていました。
柏市が市立体育館の一角に相撲場を設置したのは、若貴ブーム最高潮の1988年。
翌年有志が集まり、ここを拠点に相撲クラブ「柏相撲少年団」が発足。
開所式には、柏市出身で圧倒的な人気を誇りつつ同年引退したばかりの麒麟児関も訪れたそうです。
大関・琴櫻や幕内の隆の勝、琴勝峰もここ柏相撲少年団の出身です。
相撲を通して成長し生きる力を育みたい
現在、同団指導者の中心的存在は永井明慶(あきよし)さん。
30年以上、指導を続けています。
かつて大相撲の力士を目指しましたが、目を悪くして指導者の道に。
相撲部が強い市立柏第二中学校や、日本体育大学柏高等学校などで指導。
柏の相撲を全国レベルに引き上げると期待を一身に集めました。
日体大柏高校で指導時に入部してきたのが大関・豊昇龍です。
レスリング部に入部した彼の素質に目を付け、相撲部に誘った永井さん。
「相撲で今日の活躍ができると確信していました」と笑います。
今、同団には鹿児島県徳之島をはじめ全国から子どもたちが集まり、全国大会などでの優勝や入賞は数知れず。
中学1年生で身長171cm、体重105kg の大貫夏陽(おおぬき なつひ)君は「大栄翔関が好きです。絶対、力士になりたい」と声を弾ませました。
「相撲が強くなるだけでなく、稽古を通して人間として何が大切かを教えています。礼儀作法、相手を思いやる心、多くの人に支えられているという感謝の気持ちを育み、生きる力を身に付けてほしい」と永井さん。
最後にこう言って笑いました。
「柏相撲少年団出身の横綱同士で優勝争いをする、なんて日が来てくれたら!」
(取材・執筆/ひのき)
※問い合わせ
電話番号/04-7142-8050
永井