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石川ひとみ【2025インタビュー】② 再放送中の人形劇「プリンプリン物語」貴重な秘話満載!

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2025年04月23日 石川ひとみのベストアルバム「石川ひとみ GOLDEN BEST 1978-1983」発売日

初期5年間の軌跡を高音質のUHQCD1枚にコンパイルした『石川ひとみ GOLDEN BEST 1978-1983』を4月23日にリリースした石川ひとみ。ロングインタビューの前編はデビューから5年間のエピソードを中心にをお送りしたが、ロングインタビューの後編は現在Eテレで再放送中の人形劇『プリンプリン物語』に関する貴重な秘話や、デビュー47周年を迎える5月に横浜と大阪で開催されるライブに懸ける想いをお届けする。

NHKで録音された「プリンプリン物語」


―― ひとみさんがヒロインの声を演じた人形劇『プリンプリン物語』(NHK / 1979年4月〜1982年3月)の再放送が2024年10月よりEテレで始まりました。今回のベスト盤『石川ひとみ GOLDEN BEST 1978-1983』には放送開始から2ヶ月半後にシングル化された主題歌の「プリンプリン物語」(1979年6月)と、番組のエンディングで流れていたカップリング曲の「ハッピー・アドベンチャー」も収録されています。

石川:2曲ともレコード用に改めて録音したもので、テレビで流れている音源はレコードとは違うバージョンなんです。「わたしのそこく」や「プリンプリン音頭」など、ほかの劇中歌もセリフを収録する時に同じスタジオで録っていた記憶があります。

―― ということはNHKで録音を?

石川:はい。はっきりした記憶ではないのですが、セリフの収録用とは違うマイクがもう1本あって、歌うときはそのマイクを使っていました。もしかしたら2〜3回は歌ったのかもしれませんけど、ほぼ一発録りで、直しが入ることもなかったと思います。今考えるとびっくりですが、番組が始まったのはデビュー2年目を迎えた頃で、声のお仕事は初めてでしたから “人形劇っていうのはそういうものかな” と思いながら言われるままに歌っていたような気がします。

―― つまりライブと同じように、その都度NHKで歌っていたと。歌唱力のあるひとみさんだから可能だったのではないでしょうか。

石川:そんなことはないと思いますけど、そのとき限りの歌声ということですよね。レコード音源は使っていなかったわけですから。

―― 今となってはそちらの方が貴重ではないかと思います。当時は記録メディアが非常に高価で、『プリンプリン物語』も1981年頃まで、放送が終わると保存せずに次の回を録画していたそうですから、映像を残すという感覚がテレビ局になかったことも背景にありそうです。

石川:確かにそうかもしれませんね。

今回の再放送は初めて観る映像ばかり


―― 長らくNHKには放送開始から2年間の映像がなかったそうですが、番組発掘プロジェクトを通じて番組関係者や視聴者が個人的に録画した素材が集まって、今ではほぼコンプリートというところまで来ているとか。

石川:そのようですね。先日の『あさイチ』(NHK / 2025年3月10日放送)でも “この回(265話)の映像がありません” と呼びかけてくださって。私自身は1本も持っていなかったので、寄贈してくださった皆様に感謝しています。

―― では、ひとみさんも今回の再放送は久々の再会ということでしょうか。

石川:実を言うと、当時は映像を観る機会がまったくなかったんです。人形劇は映画の吹替やアニメのように、映像を観ながら声を入れるのではなくて、先に収録した声に合わせてお人形たちが動くんですね。ラジオドラマのような感じで収録していたので、どういう映像になっているかは放送されるまで分からないわけですが、私自身はリアルタイムで視聴する時間がなくて。あの番組は平日の夕方6時台に放送されていたと思うんですけど(月~金 / 18時25分~18時40分)、その時間帯はお仕事をしていましたし、当時は家庭用ビデオを持っていませんでしたから、今回の再放送は初めて観る映像ばかりです。

―― そうだったんですか!それは感激もひとしおですね。

石川:『プリンプリン物語』は過去に何度かDVD化されていますが、それはNHKにあった後期の映像でした。今回の再放送は番組発掘プロジェクトで集まった初期の映像ですから本当に嬉しくて、毎回録画しています。家では映像を観ながら、自分のセリフを真似したりして(笑)

―― それは聞いてみたい!

石川:“こんなトーンで喋っていたんだ” と確認しながら楽しんでいます。

―― ライブなどで令和のプリンセス・プリンプリンの声を聞けたら嬉しいです。“ねぇ、みんな。青春とは向かっていくものなのよ…… 頑張って” とか(笑)

石川:あははは!それは『ザ・ベストテン』(TBS系)でよく言っていたセリフですね。あの頃から青春ものが好きだったんですね、私(笑)

―― 場数を踏んできた後期とは違って、初期の声には初々しさを感じられるのではないですか。

石川:恥ずかしくなっちゃうところもあります(笑)。周りは素晴らしい声優さんたちばかりですから、声優初挑戦の私だけ浮いているような気がして。ほかの方たちは感情を込めてやっていらっしゃるんですけど、私はサラッとしているというか、あまり抑揚をつけずにやっているんです。

―― ボンボンやルチ将軍を演じた神谷明さんなど、キャリアのある錚々たる声優さんが揃っていました。

石川:最初の頃、私は探り探りで、それこそお人形遊びをしているような感覚でやっていたんですけれども、周りの声優さんたちはマイクの前でいろんな技を使いながら、お芝居をされていて。声優は声だけで表現すると思われがちですが、皆さん動作や表情もつけながら収録していたんです。それを間近で拝見して “そうか。堂々とやっていいんだな” と。そう気付いて自分でも工夫するようになったら、どんどん楽しくなってきて、新しい台本が届くのが待ち遠しくなりました。

―― 時にシュールな展開もあって、大人が観ても楽しめる番組でしたよね。

石川:石山透先生の台本がとにかく素晴らしくて、いつも “先生の頭のなかはどうなっているんだろう” と思っていました。それくらい奇想天外で斬新なストーリーでしたね。社会風刺も多かったですし。

SNSなどを通じて、驚くくらいの反響


―― 収録はどういう形で行なわれていたのでしょう。

石川:NHKの広いスタジオでリハーサルも本番もやっていました。声優陣は自分の出番になるとパーテーションで囲まれたマイクの前に行って、終わったら席に戻るんです。

―― 再放送の開始から半年ほど経ちましたが、ひとみさんのもとに反応は寄せられていますか。

石川:驚くくらいの反響があって、改めて番組の人気を実感しました。SNSなどを通じて、たくさんの方が観てくださっていたことや、再放送をお待ちになっていたことを知って、とても嬉しかったですし、そういう番組に携われたことを幸せに思っています。

―― 番組は3年間続きましたが、声優の経験が歌の表現にも繋がりましたでしょうか。

石川:自分ではよく分かりませんが、私はステージでのトークが苦手だったので、おしゃべりにはメリハリをつけることが大事なんだということは学んだかもしれません。私はどんな経験も必ず自分の栄養になると考えているので、声優にしても、司会にしても、いろんなお仕事をさせていただいたことが今の自分に繋がっていると思います。

やっぱりライブで歌いたい


―― ここからは近年の音楽活動について伺います。浅草にあったアミューズ カフェシアターでオリジナル曲中心のライブ活動を本格的に再開されたのが2015年。今年はそれから10年の節目にあたります。

石川:それまでは私に対して病気(B型肝炎)で休んでいるイメージを持つ方が多かったと思うんです。実際はそうではなく、南こうせつさんと一緒にラジオ番組をやらせていただいたり、主人と一緒にカバーアルバムを作ったり、いろいろなお仕事をさせていただいていたんですけど、定期的なライブ活動まではなかなかできなくて。でも “やっぱりライブで歌いたい” という想いが強くなり、いろいろ相談するなかで、“たくさんのシングルやアルバムがあって、いい歌もいっぱいあるのだから、オリジナル曲をちゃんと歌うのはどうだろう” という話が出てきて、それがアミューズ カフェシアターに繋がったわけです。

―― アミューズ カフェシアターでは2015年12月17日以降、年2回ペースでライブを開催されるようになりました。

石川:最初のライブでは手も足も声も震えて “この震えがマイクを通して皆さんに伝わってしまったらどうしよう” と。アミューズ カフェシアターのステージはお客様との距離が近いので、そういう意味でも緊張しましたし、しばらくライブから遠ざかっていたので、お客様が本当に来てくださるだろうかとか、最後までちゃんと歌えるだろうかという不安もありました。でも嬉しいことに多くの方に足をお運びいただいて。回を重ねるうちに点が線となり、その線がどんどん太くなっていく実感を得ることができました。私にとっては大きな希望で、その積み重ねがデビュー40周年で発表したアルバム『わたしの毎日』や記念コンサートの開催に繋がったと考えています。

ファンの皆さんと一緒に歩いてきた


―― TOKYO FMホールで行なわれた40周年コンサートは追加公演が決まるほどの大盛況。コロナ禍を経て2023年には10作目のオリジナルアルバム『笑顔の花』を発表し、45周年コンサートを開催するなど、精力的な音楽活動を展開しています。

石川:最近は若い方や女性のお客様も増えてきて、とても嬉しく感じています。長く応援してくださっている方が奥様や娘さんと一緒に来られることもあって、そういうときは “ファンの皆さんと一緒に歩いてきたのだなぁ” という感慨が湧きますね。

―― ひとみさんの表情からも最近の活動の充実ぶりが窺えます。

石川:私にとってお客様の前で歌えることはいちばんの幸せですので、これからも新曲の制作やライブの開催など、自分にできる活動を続けていきたいと思っています。

―― 来たる5月には横浜と大阪でライブが開催されます。ビルボードライブ横浜の公演日はデビュー47周年の記念日にあたる5月25日なんですね!

石川:「右向け右」(1978年5月)でデビューしたときは47年後も歌っているとは想像もしませんでしたが、ファンの皆さんにとってもメモリアルな日だと思うので、これまでのキャリアを振り返るようなライブにできればと。初期の曲は右も左も分からなかった頃の自分を思い起こしながら歌ってみたいですね。

―― 昭和、平成、令和でそれぞれ新作をリリースしてきたひとみさんにはたくさんのオリジナル曲がありますから、選曲が大変なのでは。

石川:そうなんですよ。歌いたい曲がたくさんあるので毎回悩んでいます。あれもこれもと選んでいくと時間的にとても収まらなくなって、"え〜、どうしよう” みたいな(笑)。でもオリジナル曲はこれからも増やしていきたい。時代の変化もあるし、年齢を重ねてきた私の歌もお届けしたいんです。幸い私は若い頃の歌もキーを変えずに歌うことができますから、ステージでは両方歌っていきたいですね。

時代を超えたデュエットのような「まちぶせ」


―― 2018年のアルバム『わたしの毎日』に収録された「まちぶせ(81-18バージョン)」は1981年のボーカルと、新しくレコーディングした2018年のボーカルを組み合わせていましたが、時代を超えたデュエットのようで驚きました。

石川:ありがとうございます。あのときは録り終えたあと、スタッフさんから “これはどっちの声だっけ?” って訊かれたんです。私自身も最初は分からなくて“もう1回聴かせてくれますか”と(笑)

―― ずっと変わらぬ歌声の秘訣は? 特別なボイストレーニングをされているのでしょうか。

石川:デビュー以来、ボイストレーニングの先生についたことはないんです。自分の喉のことは自分がいちばんよく分かっているし、どうやったら声が出るかということも自分しか分からない。そう思っているので、ボーカルレッスンを受けずにここまで来たという感じです。心がけていることがあるとすれば、普段から大きめの声で挨拶をしたり、おしゃべりをしたりすることでしょうか。そのせいで “声が大きいんですね” と言われることもありますけど(笑)。大きな声を出すと溌溂とした気分になれるんですよね。気持ちよく歌うためにはメンタルも重要な要素ですから、声を大きく出して、いつも元気いっぱいの自分でいたいなと考えています。

―― 少し気が早いかもしれませんが、2028年には50周年を迎えられます。

石川:『笑顔の花』をリリースしてもう2年ですから、きっとすぐに来ますよね。やってみたいことはいろいろありますが、まずは5月のライブに集中したいと思います。

―― 今後の活動を楽しみにしております!

デビュー47周年の記念日にあたる5月25日、ポニーキャニオン在籍時に発表したオリジナルアルバム8作品がボーナストラックを含めて一斉配信されることが決定した。『石川ひとみ GOLDEN BEST 1978-1983』のリリース、ビルボードライブ(横浜、大阪)の開催に続く吉報と言えるだろう。

Information
石川ひとみ 高音質ベスト盤

▶石川ひとみGOLDEN BEST 1978‐1983
2025年4月23日(水)発売
UHQCD1枚組

石川ひとみ ライブ
▶ Billboard Live YOKOHAMA
2025年5月25日(日)
1st ステージ:開場 13:30 / 開演 14:30
2ndステージ:開場 16:30 / 開演 17:30

▶ Billboard Live OSAKA
2025年5月30日(金)
1st ステージ:開場 16:30 / 開演 17:30
2ndステージ:開場 19:30 / 開演 20:30

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