阪神・才木浩人が粘り切れない要因をデータ分析、“魔の7回”の防御率が大幅に悪化
リーグワーストの与四球率3.54
阪神・才木浩人投手(26)が17日のロッテ戦(甲子園)で4敗目を喫した。
1-0とリードして迎えた7回表、代打・角中勝也の内野安打で同点に追いつかれると、続く藤原恭大にショート頭上を抜けるタイムリー左前打を喫して二者生還。6.2回6安打3失点でノックアウトされ、結局これが決勝点となってチームの連敗は「7」に伸びた。
昨季は自己最多の13勝を挙げ、防御率1.83の好成績。推定年俸は5000万円から1億2000万円にはね上がった。
今季は各チームのエース級が登板する6連戦初戦の火曜日の先発ローテーションを任され、5月20日の巨人戦で完封するなど力投を続けている。ただ、昨季のように白星がトントン拍子に増えないのは、火曜日登板で味方打線の援護が少ないことだけが原因ではなさそうだ。
下の表を見てほしい。与四球率(BB/9)が昨季の2.04から今季は規定投球回到達者の中でリーグワーストの3.54に悪化しているのだ。奪三振率(K/9)も7.35から6.97に下がっている。
ボール自体は昨季よりグレードアップ
一体どこに原因があるのだろうか。全投球に占めるボールゾーンの割合は昨季の51.3%から今季は51.8%に微増。ストライク率は65.1%から63.5%とわずかに下がっているが、誤差の範囲と言える。コントロールに苦しんでいるわけではないだろう。
球種別のデータは下の通りだが、球速は昨季より今季の方が軒並みアップ。被打率も今季の方が優秀だ。ボール自体はどの球種も落ちるどころか、グレードアップしていると言える。
割合はストレートが昨季の50.1%から今季は57.5%に増加。その分、フォークとスライダーが減っている。空振り率もカーブを除いてアップ。昨季より衰えた要素は見当たらない。
立ち上がりの課題クリアも終盤に息切れ?
昨季と今季のイニング別防御率は下の通り。昨季は初回の3.60がワーストだったが、今季は立ち上がりがスムーズで防御率0.00をキープしている。
逆に7回は昨季の0.68から今季は8.10と大幅に悪化。終盤に崩れていることが分かる。17日のロッテ戦で逆転を許したのもまさに7回だった。
17日のロッテ戦を例に取ると、初回に投げたストレート9球の平均球速は153キロだったが、7回に投げたストレート15球は151.9キロとわずかに落ちている。他の試合でも同様の傾向が見られた。
終盤に崩れる要因が肉体的なスタミナ切れなのか、精神的な部分なのかまでは分からない。昨季は失点の多かった立ち上がりの課題をクリアした半面、終盤に打ち込まれるケースが目立つ。
相手チームから研究され、きわどいコースを見極められ、それが四球の増加につながっている可能性はある。四球が増えた分、余計に体力を消耗し、終盤に打ち込まれている可能性が高い。
昨季は比較的相手投手のレベルが落ちる日曜日の登板が多かったことも白星が増えた一因だったが、各チームのエース級とぶつかる今季は精神的なプレッシャーも大きく、勤続疲労もあるだろう。才木の今の苦しみは、真のエースになるための試練かもしれない。
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記事:SPAIA編集部