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【2025年改正】育児・介護休業法のポイントと活用術!働く人と雇用主が知るべき最新情報を紹介

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【2025年改正】育児・介護休業法のポイントと活用術!働く人と雇用主が知るべき最新情報を紹介

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家族を大切にしながら、安心して働き続けられる社会のために

執筆者/専門家

山本 武尊

https://mynavi-iryofukushi.jp/media/users/23

こんにちは。介護業界特化の社会保険労務士の山本武尊です。

私はこれまで、地域包括支援センターの現場や社労士としての相談業務を通じて、子育てや家族の介護を抱えながら働く多くの方々の声に耳を傾けてきました。相談の中で最も多かったのは、「仕事を辞めるべきか迷っている」「自分ばかりが背負っている気がする」「制度があっても、どこに何を相談していいか分からない」という声でした。

今まさに求められているのは、「家族を大切にしながら、安心して働き続けられる社会」です。

シングルマザー・ダブルケアの現実

ダブルケアについて

「子どもを育てながら、一人で親の介護も担う」という状況、いわゆる「ダブルケア」は、誰にでも起こりうる現実です。

なかでも、シングルマザーであれば経済的な不安、時間的な制約、心のゆとりのなさが三重苦となってのしかかります。

専門家が聞いた実際の声

実際に社労士として働くなかで、「もう限界…でも仕事は辞めたくない」「制度があるのは知ってるけど、うちの職場では無理」「そもそも誰に相談したらいいのか分からない」など切実な思いを聞くことが多くあります。

これらの声はまさに、「制度があるだけでは救われない」現場の苦しさです。

人生の選択肢を広げるために制度を活用しましょう

私たちが目指すべきは、「家庭の事情を抱えていても、自分らしく働き続けられる社会」です。制度を「知っている」だけではなく、「使いこなす」ことで、人生の選択肢は確実に広がります。

そんな中で、育児と介護の両方に関する制度が徐々に拡充されてきました。まだまだ課題は山積みですが、少なくとも「知っていれば防げた離職」は確実に減らせると私は信じています。

今回は、働く方にとって非常に重要な「育児・介護休業法」の改正内容を中心に、その活用方法や職場づくりのヒントについてお話しさせていただきます。

育児・介護休業法の改正の流れ

改正の背景

まず、なぜ今回の改正が行われるのか、制度全体の流れを押さえておきましょう。

少子高齢化が進む中で、「働きながら家族を支える」人が増えています。とりわけ、子育てと介護を同時に抱える「ダブルケア」のリスクは無視できません。改正の狙いは、より柔軟・きめ細かく、労働者ひとりひとりの事情を配慮できる制度づくりへと転換することにあります。
※参照:厚生労働省育児・介護休業法 改正ポイントのご案内

施行時期と主な内容

今回の改正法は、2025年4月1日と10月1日の2段階施行とされており、それぞれに義務化・見直しの内容がありました。

4月施行分では主に「子の看護休暇・残業制限・介護制度周知・短時間勤務代替措置」などがメイン。10月施行分では「育児期の柔軟働き方」「個別の意向聴取・配慮」などが加わります。

以下で段階ごとに改正点を整理していきます。

令和7年4月1日施行分の改正点

主な改正点は、以下の通りです。

1.子の看護休暇(子の看護等休暇)の見直し【義務化】
2.所定外労働(残業)の制限対象拡大【義務化】
3.短時間勤務制度(3歳未満)における代替措置に「テレワーク」の追加【義務化】
4.育児休業取得状況の公表義務範囲拡大【義務化】
5.介護関連制度の改善・強化

1.子の看護休暇(子の看護等休暇)の見直し【義務化】

対象となる子の年齢を「小学校3年生修了まで」に拡大し、従来の「就学前」から広げられます。

また、取得理由にも、従来は「病気・けが・予防接種・健康診断」が中心でしたが、入園式・卒業式・学校行事なども対象に加わります。さらに従来の労使協定で「勤続6か月未満は除外」という条項がありましたがこちらも廃止し、すべての労働者に適用されるようになります。

2.所定外労働(残業)の制限対象拡大【義務化】

従来は「3歳未満の子を養育する労働者」が対象だった残業制限(所定外労働の免除請求)が、小学校就学前の子を養育する労働者にも適用拡大されます。

すなわち、子が小学校入学後でも、残業免除の請求が認められるようになります。

3.短時間勤務制度(3歳未満)における代替措置に「テレワーク」の追加【義務化】

育児休業法上、3歳未満の子を養育する労働者には、本人の申出に応じて短時間勤務制度を講じる義務があります。ただし、労使協定で除外できるケースもあり、そうした場合には代替措置を講じる必要があります。

今回の改正では、従来の代替措置選択肢に新たに 「テレワーク等」 の選択肢が追加されます。つまり、時短勤務が難しい場合も、在宅勤務や遠隔勤務といった形で対応できる可能性が広がります。

4.育児休業取得状況の公表義務範囲拡大【義務化】

現行では、常時雇用する労働者1,000人超の事業主に、男性の育児休業取得率等の公表義務がありますが、今回の改正で 従業員300人超の企業にも拡大されます。

この義務は、取得率(対象となる男性労働者に対して育休取得した割合)を定期的(年1回など)に公表するというものです。

5.介護関連制度の改善・強化

■個別周知・意向確認義務化

家族介護が必要になった際に、事業主は 両立支援制度の内容を個別に周知し、利用意向を確認する義務を負います。

■介護休暇取得要件の緩和

育児同様、労使協定で「継続雇用期間6か月未満の労働者を除外する」ような条項は廃止され、すべての労働者が介護休暇を取得できるようになります。

■テレワーク等の導入を努力義務化

介護を行う労働者に対し、業務の性格によってはテレワーク制度を選択できるよう措置を講ずることが努力義務とされます。

■早期の情報提供義務

将来的な介護リスクを踏まえ、事業主には、介護に関する制度を早い段階で労働者に情報提供する義務も課されます。

令和7年10月1日施行分の改正点

令和7年10月の改正点は以下の通りです。4月施行分で基盤が整えられたうえで、10月にはさらに「働き方の柔軟性」や「個別の配慮義務」が強化されます。

1.育児期の柔軟な働き方を実現するための措置【義務化】
2.仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮【義務化】

1.育児期の柔軟な働き方を実現するための措置【義務化】

3歳以上〜小学校就学前の子を養育する労働者に対し、事業主は以下の5つの選択肢のうち2つ以上を講じなければなりません。

1.始業・終業時刻の変更(時差出勤、フレックスタイム等)
2.テレワーク等(原則、月10日以上/時間単位取得)
3.保育施設設置・便宜供与(ベビーシッター支援等)
4.養育両立支援休暇の付与(年10日以上/時間単位取得可)
5.短時間勤務制度(1日の所定労働時間を原則6時間とする制度を含む)

そのうえで、労働者は事業主が講じた措置の中から一つを選択して利用できます。 また、3歳未満の子を養育する労働者に対しても、講じられた措置を個別に周知・意向確認することが義務化されます。

2.仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮【義務化】

10月からは、妊娠・出産等の申し出時および子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主が労働者に対して 勤務時間帯・勤務地・利用期間・業務量などの希望を個別に聴取し、それを考慮した配慮を検討する義務が明文化されます。

この配慮は、制度を黙って周知するだけでなく、働き方・配置・負荷調整といった具体的な条件について検討することを意味します。意向聴取の方法は面談・書面・電子メール等が認められており、オンライン面談も可とされます。

働くあなたへのメッセージ~制度は働く人を守る盾~

育児も、介護も、人生にとってかけがえのない大切な時間です。けれどそれと同時に、自分自身の人生もまた大切にしてほしい。だからこそ「やめないで済む働き方」が必要です。

制度はあなたを守る盾でもあり、未来を切り拓く道でもあります。でも、制度は申請しない限り動いてはくれません。誰に相談していいか分からないときは、地域の「社会保険労務士」「地域包括支援センター」「労働局」など、専門機関に遠慮なく相談してください。

最後に:制度を活用してあなたらしい人生の第一歩を

「もう少し働き続けたい」「本当は家族ともう少し一緒にいたい」その気持ちを大切にすることこそ、あなたらしい人生の第一歩だと思っています。

少し熱がこもってしまいましたが、制度はただのルールではなく、人生を支える「道具」です。使いこなすには「情報」と「対話」が欠かせません。介護や育児、仕事を背負って頑張るあなたの「これから」を応援しています。

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