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ネコが顔を洗うと雨?飛行機雲が残ると天気は? 散歩が心地良い秋、空を見上げて「観天望気」をしてみては

さんたつ

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さわやかな秋はのんびりと散歩をするのにぴったりな季節です。過ごしやすくなる時季だからこそ、空を見上げたり植物や動物の様子を観察したりながら「観天望気」に挑戦する散歩はいかがでしょうか? 「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」「ネコが顔を洗うと雨」など、天気にまつわる言い伝えは古くからたくさん残っています。散歩しながら見つけて楽しんでみてください。

雲にまつわる観天望気は信憑性が高い! 飛行機雲が残ると天気は?

「観天望気」とは、雲の様子や風向き、動物の行動から天気を予測することです。たとえば「下駄や靴を放り投げて、表なら晴れ、裏なら雨」といった言い伝えを試してみたことがある人も多いのではないでしょうか。

観天望気の中には科学的な信憑性があまり高くないものもありますが、雲に関するものは比較的信頼できるといわれています。雲にまつわる観天望気で有名なのが「飛行機雲」に関連するものです。「飛行機雲がすぐに消えると晴れ」「飛行機雲が残ると雨」という言い伝えがあります。

秋晴れの空を見上げて飛行機雲を観察してみて(画像=写真AC)。

飛行機雲は、飛行機の燃料が燃える時に出る水蒸気が冷えて氷の粒になり、飛行機の後ろに発生する雲です。上空高い位置にできる雲なので、空の高い場所の空気が湿っているかどうかを知る目安になります。上空が乾いていると雲は比較的短い時間で消滅するので、その後の天気は晴れと予測できるでしょう。

一方、雲が残るということは空気が湿っているので、西から低気圧が近づくなど雨雲が接近しているサインといえます。ただ、飛行機雲が残っていれば絶対に雨が降るという訳ではないので、合わせて天気予報もチェックするようにしてくださいね。

富士山が笠をかぶったように見える雲。天気下り坂のサインとして有名。

「笠雲が見られると雨」という言い伝えもあります。笠雲とは、山の山頂に笠をかぶったような雲がかかる現象です。上空の強い風が湿った空気を運ぶ時に山の斜面にぶつかると発生します。

湿った風が風上側で上昇する際は雲ができ、風下側で下降する際には雲が消えるというサイクルを繰り返すため、雲が山のてっぺんでとどまっているように見えるのです。湿った空気は雨雲のもとなので、笠雲も雨の前触れと考えられます。特に富士山にかかる笠雲は日本海に低気圧がある時に発生しやすいといわれいて、科学的な信頼度も高いのです。

秋空を見上げて雲をじっくり観察してみよう。

ネコが顔を洗うと雨? 動物にまつわる観天望気も

ネコやツバメなど私たちの身近な動物にちなんだ観天望気も数多く存在します。ネコが前足を使って食べかすなどの汚れをぬぐい、顔を洗う姿はとても愛らしいですよね。「ネコが顔を洗う仕草をすると、雨が降るサイン」だという言い伝えがあります。なぜでしょうか?

これは、雨雲が近づき空気が湿ってくるとネコの顔やひげに水分が付きやすくなり、べたつきを取り除こうと顔をぬぐうからだそうです。

ネコが道端で昼寝していると晴れ、とも言えるのかも。観天望気ではありません!

ツバメが空の低い位置を飛ぶと雨」というものもあります。湿度が高くなると、ツバメのエサとなる小さな昆虫の羽が湿って重くなり低い位置を飛ぶので、それをねらうツバメも低く飛ぶようになると考えられたのだそうです。

ツバメが低く飛ぶと雨といわれるが、果たして……!? (画像=写真AC)。

これからの季節に少し気になるのが「カマキリの卵が高い場所にあると大雪になる」というものです。カマキリは冬の積雪量を予測して安全な場所に産卵すると古くは考えられたようです。もし本当だとしたらカマキリに今季の大雪について尋ねてみたいものですが、ネコ、ツバメ、カマキリなど動物に関する観天望気は信頼性があまり高くないため、楽しみながら観察してみるという程度にとどめて天気予報や防災情報を上手に活用するようにするのがおすすめです。

夜空にも天気を知る現象はたくさんある!

秋の夜長はお月見にも適していますが「月夜の大霜」という言葉もあります。晴れて雲がない夜は月がくっきりと美しく見えます。しかし、雲がかかっていないということは、その分、地面から熱が逃げていく放射冷却が強く効いて冷え込むのです。上空に雲があると熱は雲に遮られて冷え込みは弱まりますが、雲がないと熱はどんどん逃げていき、冷えこむことで霜が降りやすくなります。

また「星がまたたくと風が強い」(上空で風が強まると空気がゆらいで星の光が屈折し、星がまたたいて見える)という言い伝えもあります。冷え込みが強まる季節ですが、夜空を見上げて想像してみるのもロマンティックです。

夜空にまたたく星は美しいが、強い冷え込みには気を付けて(画像=写真AC)。

このほか、地域の山や川の変化にまつわる観天望気もあるため、自分の地元にもないか調べてみるのはいかがでしょうか。天気にまつわる言い伝えを知っておくと、空の楽しみ方のバリエーションが増えるかもしれません。観天望気は必ずしも当たるといえる訳ではありませんが、実際の天気の記録と照らし合わせて、自由研究をしてみるのも良いですね。

文・撮影=片山美紀 TOP画像=写真AC

参考:

荒木健太郎「もっとすごすぎる天気の図鑑 空のふしぎがすべてわかる!」KADOKAWA.2022

南 利幸「ことわざから読み解く天気予報」日本放送出版協会.2023

片山美紀
気象予報士
大阪府出身。大学卒業後、地方放送局を経て気象予報士となりNHK総合やTBSなどで解説。街歩きをしながらお天気ネタを探すのが趣味。著書に『気象予報士のしごと‐未来の空を予想して‐』(成山堂書店)、『地球環境を守るレシピ』(日本橋出版)などがある。

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