Yahoo! JAPAN

【倉敷市】せとうち古民家お試し住宅内覧会(2024年12月17日開催)~ 地域全体で移住促進へ。下津井のおためし住宅を移住者が地元の人に伝えた1日

倉敷とことこ

せとうち古民家お試し住宅内覧会(2024年12月17日開催)~ 地域全体で移住促進へ。下津井のおためし住宅を移住者が地元の人に伝えた1日

玉島と下津井には、移住検討中の県外の人が利用できるお試し住宅という施設があります。

下津井のお試し住宅は「せとうち古民家お試し住宅」と呼ばれており、地元で愛されていた豆腐屋の古民家をリノベーションして作られました。海の近くの暮らしや、地域住民との温かい交流など、リアルな生活を体験できる施設として多くの人に利用されています。

2024年12月17日、地域の人にお試し住宅を知ってもらう内覧会イベントが開催され、筆者は当日スタッフとして参加しました。

県外向けの施設に、地元の人はどのような感想を抱くのか。施設の内容とともに当日の内覧会のようすを紹介します。

せとうち古民家お試し住宅内覧会について

画像提供:しもついシービレッジ株式会社

2024年12月17日(火)に開催された、せとうち古民家お試し住宅内覧会。

下津井で地域振興や町おこしの事業をおこなっている、下津井シービレッジプロジェクトが主催したイベントです。

下津井シービレッジプロジェクトは、下津井・児島の有志3名によって結成され、2017年にスタートしました。下津井の地域活性や移住支援などの取り組みを続け、現在のボランティアの参加メンバーは40名を超えています。

おもな事業は以下の三つです。

・町おこし事業……下津井の街を盛り上げるイベントの企画・運営や、店舗や企業の誘致を通じた地域活性活動
・古民家再生・空き家活用……古民家や空き家を地域のために再生利活用し、希望者とつなぐ
・『お試し住宅』の運営……倉敷市と連携し、移住希望者向けの宿泊施設「せとうち古民家お試し住宅」の管理・運営。相談窓口などの移住促進活動など

せとうち古民家お試し住宅とは

せとうち古民家お試し住宅は、倉敷市内の移住を検討する県外の人が利用できます。2階建てとなっており、各階を使って同時に2組まで利用可能です。

せとうち古民家お試し住宅の外観 画像提供:しもついシービレッジ株式会社

滞在できる期間は2泊以上14日以内で、利用料金は1泊1,000円(税込)。※自転車等サービス利用料として
長期滞在でもお財布に優しい価格です。

2025年4月1日以降の入居分については、1室1泊あたり2,000円(税込)となります。

宿泊する際は、下津井をより深く知られる体験プログラムへの参加も必須です。先輩移住者と話せる「移住者交流会」や、下津井の歴史や文化を学べる「下津井まち歩き」など、5個の体験プログラムから興味のあるものに参加できます。

施設の詳細や利用条件については、特設サイトをチェックしてください。

内覧会のようす

当日、お試し住宅の前ではCALMA COFFE ROASTERSがコーヒーを淹れていました。

道にはコーヒーの良い香りが道に漂い、お散歩で通りがかる地元の人が「今日はなにかしているの?」と立ち寄る場面も。

CALMA COFFE ROASTERSの濱田さんがコーヒーを淹れる

せとうち古民家お試し住宅を見るのは、筆者も今回が初めてです。地元の人に交じりながら、中を見学してみました。

お試し住宅を見学

まずは正面右手の入り口から入り、2階の部屋へ向かいます。

階段を上がるとすぐに和室が広がっていました。

和室の広さは6畳ほど。小窓から陽の光が差し込み、古民家ならではのノスタルジーな雰囲気を感じられます。

2階和室

屋根には存在感のある立派な梁(はり)が家を支えていました。なかなか見られない木の柱、思わずじっくりと観察してしまいます。

キッチンには、洗濯機、炊飯器や電子レンジなど、長期滞在にはうれしい設備もしっかりついていました。食器や洗剤も用意されています。お試し住宅の近くには下津井漁港があるので、新鮮な魚介類を手に入れて調理するのも楽しそうです。

2階のキッチンスペース

気になっていた水回りも覗いてみました。シャワー室とトイレは清潔感があり、快適に利用できます。1階の浴室にはバスタブもついているそうです。

シャワー室
きれいなトイレ

和室の座卓の上には、地域の飲食店やスーパーマーケットが紹介されているリストが置かれていました。下津井シービレッジプロジェクトのメンバーが作ったもので、移住者目線で選ばれたおすすめのお店を知られます。

他にも、くらしき作陽大学の学生が手作りした下津井の見どころマップがありました。お試し住宅ならではのおもてなしですね。

続いて、1階の部屋を見学します。

1階と2階で設備に大きな違いはありませんが、内覧会当日は1階の和室が受付を兼ねていました。実際にお試し住宅を利用した人の感想も数多く展示されています。

1階和室

利用者の感想を読んでみると、瀬戸内海の美しさに惚れた人や、下津井の人々の温かさに触れて感動した人が多くいました。県外の人目線で書かれた下津井の魅力。地元の人にとっても新鮮な驚きがあるかもしれません。

ダイニングキッチンには、お試し住宅のリノベーション前の写真が置かれていました。

先ほど見た2階の和室も、昔の面影を残しつつ改装されたのがよくわかります。木造建築ならではの木の温もりと、長年人が暮らしていた懐かしさを、改めて感じられました。

リノベーション前の2階和室の写真

中庭にも足を運んでみました。普段は利用者が使えるレンタサイクルの駐輪場になっているようです。

今回はイベント用に移住者交流会の写真が展示されていました。

移住者交流会はお試し住宅の体験プログラムのひとつで、利用者が希望すると開催されます。下津井を中心に、倉敷に実際に移住した人たちが集まり、一緒に晩ごはんを食べながらリアルな移住の話を聞ける場です。

どの写真も非常になごやかな雰囲気で、参加者の笑顔があふれていました。

実は筆者も以前、こちらの移住者交流会に誘われて参加したことがあります。その時は、20代~30代の利用者に仕事に関することや倉敷の住み心地について質問されました。「なぜ自分が倉敷を選んだのか」を改めて振り返る良い機会だったと思います。

利用者の知りたい情報は、年齢や家族構成によってさまざまです。
たとえば、子連れの利用者が下津井の子育て環境について知りたい場合、実際に子育てをしている移住者が学校の雰囲気を伝えていました。よりリアルな情報を伝えられるように、移住者側も幅広い年代の人が参加しているようです。

内覧会に訪れた地元の人たちの反応

内覧会には、下津井の住民を中心に40人程度が訪れました。チラシを見て来る人や、通りすがりにスタッフに声を掛けられて覗く人、観光のついでに訪れた県外の観光客など、足を運ぶ理由はさまざまです。

「いつも前を通る時に気になっていたのよね」と話す地元の人は、室内を見学して「こんなにきれいだったの」と驚いていました。

訪れた人のなかには、きれいな外装から旅館だと勘違いしている人もいて、今回の内覧会で初めて移住支援の施設であることを知る人が多かったです。

リノベーションされた建物が、地域でどのように活用されているのか地元の人に伝えられる良い機会だと思いました

内覧会中、お試し住宅は地元の人たちの交流の場にもなっていました。アンケートのお礼に提供されたコーヒーとお菓子を食べながら「素敵な取り組みだね」と話す声が耳に入り、お手伝いしている筆者までうれしくなります。

途中、地元の人が通りがかった知人に声を掛ける場面もありました。平日の開催なので人通りこそ少ないですが、通りがかった人の大半が足を止めてくれたように感じられます。

以前は、「渡辺豆腐店」という地元で愛されるお豆腐屋さんだったお試し住宅。渡辺豆腐店とつながりのあった人も訪れて、思い出話も聞けました。昔の下津井の温かい雰囲気を感じられたひと時でした。

主催者にミニインタビュー

下津井シービレッジプロジェクトに携わる3人。左から、福川(ふくかわ)さん・中臣(なかとみ)さん・菅野(すがの)さん

──今回のイベントの企画意図について教えてください

菅野(敬称略)──

お試し住宅の利用者は県外のかたなので、今までは都市圏を中心に県外に向けて情報発信していました。

ですが、県内の人と話をするなかで、お試し住宅の認知度が低いことに気が付き、そもそも地域の人に知っていただく必要があるのではと思い、今回のイベントを企画しました。

たとえば、旅行で訪れた観光客に対して、お店の人が「こんな施設があるよ」と紹介してくれる……それをきっかけにお試し住宅を利用する人も生まれると思うんです。

また、地域の人が利用者とお話しする際に「あぁ、あそこに泊まっているのね」と共通の話題が生まれることで、より交流がしやすくなると思いました。利用者にとって、地域の人との交流は記憶に残る特別な体験です。まずは、地域の人にお試し住宅の存在を知ってもらうところから始めようと思い、企画したのが内覧会でした。

──内覧会を開催してみて、地域の人たちの反響はいかがでしたか。

福川(敬称略)──

想像以上に温かい反応が多くて驚きました

下津井シービレッジプロジェクトのメンバーは移住者が多く、地域の財産を活用する取り組みに対して、地元の人がどう思うのか気になっていました。ですが、思っていたよりも受け入れてくださるかたが多くてほっとしています。

地元の人と交流する福川さん(写真左奥)

中臣(敬称略)──

お試し住宅の存在を知っていた人が思いのほか多く、ずっと施設を気にかけてくださった人もいてうれしく思いました。地元のおじいちゃん、おばあちゃんたちがチラシを見てわざわざ足を運んでくださり、ありがたかったです。

菅野──

一番印象に残ったのは、下津井のお店や事業者のかたが非常に協力的だったことです。

今回、私たちと一緒に下津井を盛り上げてくださるお店には、認証店として「下津井サポーターズ」というステッカーをお渡ししていたんです。こちらから認証店の協力をお願いしたお店は、すべて快く受け取ってくださって、お試し住宅の利用者を歓迎する言葉もいただき、下津井が温かい街であることを再認識できました

──今後、下津井はどのような地域であってほしいと思いますか

菅野──

さらに面白い街になっていくと思います。今がちょうどいろいろ始まってきた時期で、移住者が増えて、飲食店や宿が少しずつできてきました。下津井に訪れてくれる人を増やして、地域が元気になるような街の循環を続けていきたいです。

中臣──

下津井は、歴史ある観光地でありながら現在も暮らしの営みが続いている街です。ただ便利な街に変わってしまうのは、少し違うような気がしています

便利なコンビニやスーパーマーケットができるというより、なにかをやってみたい人たちが集まる、面白い場所になってほしいです。空き家を一軒一軒活用して、面白い人・ものが集まる地域になっていけたらと思います。

福川──

下津井シービレッジプロジェクトとしては、地域の人と連携しながら、さらに下津井の魅力を伝えていきたいです。地元の団体と協力する機会も少しずつ増えてきたので、地域全体を巻き込んで活動できるように頑張ります

おわりに

穏やかな雰囲気のなかでおこなわれた、せとうち古民家お試し住宅内覧会。

筆者はお手伝いのスタッフとして参加しましたが、地域の人に昔の下津井のようすを教えてもらったり、「寒いなかおつかれさま」と声を掛けてもらったりして、下津井の人々の温かさに少し触れられた気がします。

お試し住宅は、移住希望者と地域をつなぐ重要な拠点です。地元の人が町おこしに関心を持ち、理解してくれることで、さらに充実した体験を利用者に提供できるのだと思います。

そのためには、今回の内覧会のように地域の人に知ってもらう取り組みが非常に重要だと感じました。

下津井シービレッジプロジェクトの活動を、今後も応援していきたいです。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 5分前にご飯を食べ終わったはずの犬が…まさかの『静かすぎる抗議』に2万いいね集まる「目は合わせないの草」「控え目なアピールw」と絶賛

    わんちゃんホンポ
  2. 【東京ディズニーリゾート】レトロイラストが可愛い♪ 最新グッズから「即買いバッグ」を紹介!

    ウレぴあ総研
  3. 2025年の鉄道事始めは秩父鉄道で 「開運特別ヘッドマーク列車」を撮り鉄【コラム】

    鉄道チャンネル
  4. 物語をまとめ上げる、読者の期待を裏切って驚かせる「確信」の使い方【プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑】

    ラブすぽ
  5. 神々しい鳳凰は「はばタン」をオマージュ!?神戸元町に巨大ランタンオブジェが出現 神戸市

    Kiss PRESS
  6. 年神見送り無病息災願う 矢之根でどんど焼き

    タウンニュース
  7. 鎌倉描くカレンダー展 中央図書館で21日から

    タウンニュース
  8. シグナス’94 新たな出発から30年 1月25日に記念演奏会

    タウンニュース
  9. 女の子が高熱で寝込んでいたら、大型犬が…心配して添い寝してくれる姿が43万再生「なんて優しい子」「でもどっちが具合悪いか分からないw」

    わんちゃんホンポ
  10. <クレーム対応の嫁>「席が狭い」と毎回言う義両親との食事がストレス!回避する方法は?

    ママスタセレクト