県高校野球選手権 投手陣でつかんだ優勝 柳ケ浦、接戦制し夏へ弾み 【大分県】
第147回大分県高校野球選手権大会
5月26日 別大興産スタジアム
決勝
大分商業 100 000 000|1
柳ケ浦 000 200 00×|2
夏の甲子園を目指す県大会の前哨戦、高校野球県選手権の決勝。センバツ出場校の柳ケ浦と伝統校・大分商業が激突したこの一戦は、夏を占うにふさわしい白熱の接戦となった。
試合は一回、一死満塁のチャンスをつくった大分商業が押し出し四球で先制。勢いに乗りたい大商だったが、その後の追加点を奪えなかったのが響いた。
追う柳ケ浦は4回、無死一、二塁からキャプテンの田原光太郎(3年)が冷静な判断でサインプレーを変更。前進守備の一瞬の隙を突くバスターで右越え適時打を放ち、同点に追いついた。さらに、相手バッテリーのミスで三塁走者が生還し、逆転に成功した。
ここからは投手戦となる。柳ケ浦は3年生3人による継投で、大分商業打線をわずか5安打に封じ込めた。バックの守備も堅く、終盤のピンチにも落ち着いて対応。投手中心の守り勝つ野球を体現し、2ー1で逃げ切った。15季ぶり20回目の優勝に、選手たちは笑顔を見せたが、表情に慢心はなかった。
3人による継投で投手戦に勝利
「打線が弱いのは分かっている。これでは夏は戦えない」と語るのは、柳ケ浦の鈴木聡監督。守備と投手力を武器に公式戦の緊張感を経たことは大きな収穫としつつ、あと1カ月半での打撃力強化に全力を注ぐと気を引き締めた。キャプテンの田原は「粘り強い守備を継続し、1点でも多く勝てるようにしたい」と夏への決意を語る。守備の要であるセカンド島袋二魁(3年)とショート亀安歩汰(同)の二遊間コンビは抜群のポジショニングと安定感でチームを支える。「守備の粘り強さこそが、うちの持ち味」(田原)と胸を張る。
センバツでの初戦負けの悔しさを糧に、堅守とつなぐ打撃を徹底してきたチームは、地に足のついたプレーで県選手権を制した。だが、勝負はここからだ。鈴木監督は「(夏の大会に向けて)調整ではなく挑戦」と強調する。自らに足りないものを直視し、チーム全員で一歩ずつ前に進む覚悟をにじませた。
15季ぶりの優勝を夏への勢いに変えることができるか。投手陣を軸に、課題を明確にした柳ケ浦は、すでに次の舞台を見据えている。
15季ぶりの優勝を飾った柳ケ浦
(七蔵司)