【ロードサイド銭湯記】大宮のスーパー銭湯「湯けむり横丁」に徒歩で行って気づいた “街の魅力”
不動産サイトのSUUMOが毎年発表している「住みたい街ランキング」。昨年、首都圏のランキングで埼玉県大宮が吉祥寺を下して2位に入り話題となったが、2025年も2位をキープしていて今大宮が熱い。と言われているが、魅力が一見さんにも分かりやすい吉祥寺に比べ、大宮はピンと来ないのが正直なところ。
そこで大宮のスーパー銭湯に行ってみることにした。以前、美楽温泉SPA HERBSに行ったけど、今回はロードサイドにある『湯けむり横丁』まで足を伸ばしてみよう。
・駅近辺
県道2号線沿いにある大宮の『野天湯元 湯快爽快 湯けむり横丁』。場所的にはJR大宮駅と西大宮駅の中間くらい。大宮駅から行くなら、西口を出て真っすぐ進み続けた先である。
東口側は飲み屋街の部分があって下町的な雑多さをのぞかせる大宮駅だが、西口側は閑静な雰囲気で駅の近くでも住みやすそうだ。歩いていて、全てが近場にまとまっているバランスの良さみたいなものを感じる。
松屋も松のやとの併設店なところが良い。東京の都市部ど真ん中にはあんまりないんだよね。しかも、ライスお替わり無料店。都市でありながら郊外的なコスパの良さがあるのも特徴かもしれない。松屋から読み解く街の雰囲気。1人暮らしにも良さそう。
・駅前だけではない大宮
駅から離れると一軒家が増えて、すぐに広くなる空。道路沿いに昔ながらの町そばがポツンとあったりするのも味がある。ラーメン屋じゃなくそば屋なところが良いじゃないか。
さらに歩くと、桜と菜の花畑に挟まれた道が登場。三橋総合公園という公園なのだが、全国お花見ガイドの埼玉県トップ10に入ってないことから察するにそこまで知名度が高いスポットではないと思われる。
だけど、そのふと佇んで訪れる人だけを迎える桜がとても味わい深かった。人も少なめで四季を噛みしめられる。代々木公園とは正反対のお花見スポットと言えるだろう。
・異世界み
そんな三橋総合公園を越えた先、国道17号線とぶつかるクロスロードの向こう岸に『湯けむり横丁』があった。銭湯に着くまでに色んな街の表情が垣間見えた気がする。
温かみを感じる和風の建物が湯治場オーラを漂わせている『湯けむり横丁』。入館料は平日980円で土・日・祝1180円で、バスタオルとフェイスタオルレンタルは350円。今回は土曜日に手ぶらで来たため計1530円(税込)であった。
入ってみると、2階まで天井がぶち抜かれた開放的な食堂スペースがあって、ここの雰囲気がまた湯治場みたい。天井から吊り下げられた巨大な提灯に『千と千尋の神隠し』的な異世界感がある。
・ひとっ風呂浴びる
奥の階段を上って2階に上がると浴場の入口があった。浴場は露天風呂が広めで、源泉かけ流しの湯舟があつ湯、ぬる湯と2つあるだけでなく、高濃度炭酸泉と湯舟用に小屋が建てられた庵湯まである。露天風呂の充実度が高い。
ちなみに、サウナ室も高温(90度)と低温(70度)の2種類ある。水風呂は17.8度。どちらかと言うとゆるめか? ビシビシに詰められるのが好きなので、サウナ室、水風呂と入った時は若干の物足りなさを感じた私(中澤)。だが、外気浴に出たところ考えを改めることになった。
・トリップ
体と空気の境目があいまいになるような意識の膨張感。空気に溶けそうなくらいチルイ。そうなった理由は……
椅子のポジションがめちゃくちゃ良かったのである。私が座ったのはぬる湯の前にあるリクライニングチェアだったのだが、寝転がると全身日光浴状態になるのだ。まるで日光の風呂に浸かっているような感覚。そこにサウナのととのいが合わされば光合成でもしてるみたいである。は~こりゃええわ。
風呂上りに2階の休憩所でごろ寝すると、心に溜まった垢まで溶けるようだった。日帰り異世界トリップ完了。
そんな1日で感じた大宮の印象は、住んでる人の方を向いた街というもの。考えてみると、住みたい街ランキングトップの横浜や3位の吉祥寺はもっと外を向いた街な気がする。大宮はその2つほど外向きじゃないけど、逆に言うと、憧れじゃなくリアル住みたい度と言える。
憧れとか楽しそうとかそういうテンションじゃなく、チルイ生活が送れそう。あと、池袋まで約20分、東京まで約40分で交通の便も普通に良い。確かに住みたいかもしれない。ロードサイドの銭湯まで歩いて行ったら大宮を好きになった。また来よ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 野天湯元 湯快爽快『湯けむり横丁』おおみや
住所 埼玉県さいたま市西区三橋5-1010
営業時間 10:00~深夜1:00
定休日 年中無休(休館日あり)
参考リンク:野天湯元 湯快爽快『湯けむり横丁』、SUUMO
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.