気になる“熟年離婚”のその後…元夫婦たちの末路 #11「妻から解放されたのに…新たなストレス」
熟年離婚を選ぶ人は、人生の区切りで離婚を思い立ったり「その日」を待ち望んで準備を続けていたり、事情は本当に人それぞれです。
問題なのは離婚後の生活で、生活費や住むところ、両親との関係など、結婚していたら直面することのなかった現実が襲ってきます。
熟年離婚したそれから後、元夫婦たちはどんな人生を送っているのか、お伝えします。
「家族に隠れて浮気をしていた妻と別れたのは、50代に入ってすぐでした。
子どもたちは大学や専門学校を卒業してから県外で自立した生活を送っていて、今も月に一度は電話で連絡を取り合っています。
妻の浮気を知っていても離婚しなかったのは、子どもたちのためだけでした。学生のうちは両親が揃った家庭の子でいてほしかったです。
妻の浮気相手はジムのインストラクターで、母親が家庭の外で別の男性と親しくしているのは子どもたちも気が付いていたのか、離婚するつもりだと打ち明けたときは『だよね』とあっさり返してくれたのが救いでした。
子どもたちが無事に学校を卒業し、就職が決まってから妻には離婚を切り出しましたが、『今さらひどい』と言い出して、『そっちこそ、ずっとインストラクターの男にプレゼントばかり、家族をないがしろにしてきただろう』と返したら黙りましたね。
離婚届に判をつかないなら裁判所で調停を申し立てると言ったら、すぐにサインをしました。どうも子どもたちに相談したらしく、冷たい反応が返ってきたようです。
何とか離婚が成立し、家を出たら同じ市内の両親が住む実家に戻りました。
両親には別れてから事後報告の形で伝えていて、『いずれひとり暮らしをするから、その間までの同居』の約束でした。
息子の突然の離婚に驚いていたものの、両親はともに退職金と年金で優雅な二人暮らし、元から頻繁に会うこともなく、今さらどうとも思わなかったでしょうね。
自分は正社員のサラリーマンで、収入は安定しているのでゆっくり家を探そうと思ったのですが、ある日父親から『このまま同居しないか』と持ちかけられました。
そのほうがお金も浮くし、お互いにとってメリットは多いと最初は思ったのですが、いざ腰を据えてみると町内会長をしている父親から地域の活動をあれこれと言いつけられ、大変でした。
こっちは休日くらいゆっくり休みたいのに、公園の清掃から平日朝の交通誘導まで、町内会長をしている父親は『息子のお前がやらないと恥をかく』と、毎日ガミガミ言われるのが本当にストレスでしたね。
しかも、自分に確認もなく次の町内会長にしようと目論んでいたらしく、母親からそれを聞いたときに実家を出ようと改めて決めました。
今はひとり暮らしをしていますが、両親の反対を押し切って出てきたので二人との仲はそれ以来冷え切っています。
母親からたまに電話があって、父親の活動を手伝えと言われるのですが、離婚して一人になった途端に自分たちの生活に巻き込もうとする親には気持ちが離れる一方です」(男性/52歳/人事)
離婚して実家に戻ったとき、受け入れてくれる親には感謝するものの、今度は親の事情に巻き込まれるのはよくあることです。
古い価値観を持った親の場合、離婚していわゆる出戻りとなった我が子を恥だと感じる人は多く、子どもではなく自分の体面を守るために在り方を押し付けます。
親ではあるけれど、人生の責任を負ってはくれません。
同居は無理だと感じたら潔く離れることも、確執が深くなる一方の毎日よりは健全といえます。
自立できる収入をまず確保し、自分のための生活を目指したいですね。
(ハピママ*/弘田 香)