JC08モードとは|現在の燃費表示(WLTCモード)と何が違う?
JC08モードは、2018年頃まで使われていた燃費表示や測定方法を指す言葉です。ここでは現在採用されているWLTCモードとの違い、WLTCモードへの数値換算の目安、JC08モードやWLTCモードと実燃費の差を解説するとともに、燃費性能の優れたおすすめ中古車をご紹介しています。
JC08モードとは
JC08モードとは、クルマの燃費表示や、燃費の測定方法を指す言葉です。2011年春から2018年秋まで、各メーカーのカタログ燃費の表示に使われていました。
2018年10月以降、燃費表示は「WLTCモード」に切り替わっています。JC08モードとWLTCモードでは、同じ車種でも燃費の数値が異なります。
Q. WLTCモードとどれくらい違う?
JC08モードとWLTCモードを比べると、燃費の数値はJC08モードの方が高めに算出される傾向があります。ただし「WLTCモードでの数字がJC08モードの何割程度か」は車種によって異なります。
大まかな傾向としては、WLTCモードの数値がハイブリッド車でJC08モードの約8割、純ガソリン車で約9割ほどです。これについては、後の章でもう少し詳しく解説します。
Q. 実燃費との差はどれくらい?
JC08モードの場合、実燃費は全車平均で「2~3割低下」と言われています。特に、ハイブリッド車などカタログ燃費の良い車種は、実燃費との差が大きい傾向があります。
また、現在使われているWLTC燃費も、実燃費は10~30%ほど下がることが多いです。
日本での燃費表示の変化
日本では、この35年ほどで燃費表示が以下のように変わっています。
•10・15モード(1991年~2011年春)
•JC08モード(2011年春~2018年秋)
•WLTCモード(2018年秋以降)
10・15モード
10・15モードは、1991年に国土交通省が定めた燃費表示です。それ以前の「10モード」に15項目の走行パターン(15モード)を追加したため、この名称となりました。
【特徴】
•市街地想定の「10モード」と高速度域想定の「15モード」で測定
•測定時間は14分程度
•エンジンが暖まった状態で測定
10・15モードは導入から20年ほど使用されましたが「実燃費との乖離が大きすぎる」という批判がありました。これは、測定スピードが現実的な運転より低速だったり、実際の走行のようにエンジンが冷えた状態での測定を行わなかったりしたためです。
JC08モード(2011年4月~)
JC08モードは「Japan Cycle '08」の略です。2011年4月から本格的に導入され、2013年3月に表示がJC08モードに統一されました。
【特徴】
•10・15モードより平均速度と最高速度を引き上げ
•測定時間は20分程度
•エンジンが冷えた状態での測定を導入(25%程度)
JC08モードでは、10・15モードより現実の運転状況に近づけるよう測定方法が変更されました。JC08モードでの表記は、10・15モードより約1割ほど数値が低い傾向があります。それでも、実燃費よりは数値が2~3割ほど高い傾向がありました。
WLTCモード(2018年10月~)
WLTCモードは「Worldwide-harmonized Light vehicles Test Cycle」の略で「世界統一試験サイクル」とも呼ばれています。その名称通り、国際基準の燃費表示です。日本では、2018年10月からWLTCモードでの表示が義務化されました。
【特徴】
•総合燃費と「市街地」「郊外」「高速道路」での燃費を表示
•JC08モードより平均速度と最高速度を引き上げ
•測定時間は24分程度
•必ずエンジンが冷えた状態から測定
•アイドリング時間を少なめに設定
•積載重量も重めに設定
WLTCモードでは、総合的な燃費表示に加えて3つの使用環境(市街地・郊外・高速道路)での燃費も表示されます。また、測定時間や測定条件も厳しくなっており、JC08モードの8~9割程度の数値となる傾向があります。
JC08モードとWLTCモードの違い
JC08モードとWLTCモードの違いは、主に以下の3点です。
•国内基準か国際基準か
•表示項目の数(WLTCモードの方が多い)
•測定方法・条件の厳しさ(WLTCモードの方が厳しい)
JC08モードはあくまで国内基準であり、燃費の表示も総合的な燃費表示しかありません。一方、WLTCモードは世界の様々な国・地域で使われており、市街地・郊外・高速道路と3つの走行環境での燃費も示しています。
また、WLTCモードの方が測定方法・条件が厳しいため、JC08モードより燃費の数値が下がる傾向があります。
JC08モード→WLTCモードへの換算値
冒頭でご紹介したように「WLTCモードでの数字がJC08モードの何割程度か」は車種によって異なり、換算するのは容易でありません。
スズキ「ハスラー」
(HYBRID X、2WD、CVT)
スズキ「ジムニー」
(XC、4WD、AT)
パワートレイン
マイルドハイブリッド
純ガソリン
JC08モード
30.4km/L
16.4km/L
WLTCモード
25.0km/L
14.3km/L
WLTC ÷ JC08 × 100
約82.2%
約87.2%
上記はスズキのハスラーとジムニーの例ですが、ハイブリッド車とガソリン車で両モードの差には一定の開きがあります。
国土交通省は「ハイブリッド車やアイドリングストップ搭載車の方がJC08モードとWLTCモードでの燃費差が大きい」と発表しています。ハイブリッド車では80~85%、純ガソリン車では85~90%程度と考えると良いでしょう。
燃費の良いおすすめ中古車3選
ここでは、JC08モードで燃費が記載されていた車両の中でおすすめの低燃費モデルをご紹介します。
①トヨタ「プリウス」(50系)
現在で考えてもトップクラスの燃費を誇る50系プリウス。人気が高く中古での流通量が多いこと、また2023年に新型が登場したことから、中古車相場は下落傾向です。
おすすめは、マイナーチェンジした2019年以降の後期モデル。安全性能が充実しています。現行モデルよりもリアの視野も広く、多くの人にとって運転しやすいです。
②日産「ノート」(2代目)
2代目ノートも中古車での流通量が多く、3代目へのモデルチェンジから年数も経過しているため、中古車相場が下がっています。2016年11月以降に登場したe-POWERモデル(ハイブリッド車)は、50系プリウスと大きく変わらない燃費性能です。
現行モデルと比較しても、燃費は充分な数値と言えるでしょう。
③トヨタ「C-HR」(初代)
かつてSUVの中でトップクラスの燃費性能を誇っていたC-HR。安全性能も優れており、すでに生産を終了しているので中古車相場も下落しています。
似たようなサイズのカローラクロスは、上位グレードのハイブリッド車を買おうと思うと300万円オーバー。また、燃費性能もC-HRと殆ど変わりません。そのため、予算を抑えたい場合にお勧めします。
Supervised by norico編集長 村田創( https://221616.com/norico/hajime-murata/ )
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!