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北海道の冬に「見えないホームレス」路上生活だけではない困窮の実態は

Sitakke

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札幌市役所の会議室に集まる人たち。既に時計の針は午前2時を回っています。

札幌市から委託を受けて行う、ホームレスの実態調査です。
中心メンバーは、ホームレスの支援を行うボランティア団体「北海道の労働と福祉を考える会」、略して「労福会」です。

毎年1月に市内10か所で、路上や車中で生活するホームレスの人数を調査しています。

この日の気温は-0.4℃。
暖冬とは言え、外で寝ると命にかかわるような寒さです。

札幌の地下に入る入口には「立ち入り禁止」の札。

山内太郎代表(49)は「以前はなかった。あの中でホームレスが寝ていたんですよ」と話します。

札幌のホームレスは日中は移動していて、服装も小綺麗なため、ホームレス以外の人と区別するのが難しいといいます。

そのため、調査は、ホームレスが眠りにつく深夜に行います。

2007年には132人いたホームレスですが、徐々に減っていって、2024年は4分の1以下の31人でした。

これは、支援の目が行き届いたことや、高齢化によって路上での生活に耐えられなくなったことなどさまざまな要因が考えられます。

しかし、31人という数字の裏には、”見えないホームレス”がいます。

“見えないホームレス”

年末の夕方、札幌市中央区民センターに行列ができました。
労福会の活動の1つ、炊き出しです。

参加者は衣類や食事を受け取っていきます。

この日配られた弁当はカレーライス。
クリスマスが近かったこともあり、ケーキのプレゼントもありました。

希望者には散髪のサービスもあります。

この日炊き出しに参加した60人ほどのうち、路上で生活している人は10人もいません。

ネットカフェや友人の家で生活する”見えないホームレス”が最近増えているというんです。

路上にいない彼らは実態調査の対象から外れるため、その数を把握しきれていないのが現状です。

家を失った人たちが生活できる場所

家を失った人を一時的に保護する活動をしている小川遼さん。

ピアノやプロジェクターがあるオシャレな空間が広がるコミュニティスペース。
一時的な保護を受けている人たちが、楽器を弾いたり映画を見たりすることができます。

また、コミュニティスペースとは別に、家を失った人が一時的に生活することができるシェルターがあります。

シェルターの入所者には、経済的な問題を抱えた人だけでなく、認知症や精神障害で家賃が払えなくなった人、家庭内のトラブルやDV被害・児童虐待から逃れてきた人もいます。

そのシェルターに、入所したばかりの30代前半の女性がいました。


ごはんも食べられず…ずっと布団の中

「ご飯も全然食べられなくて寝られなくて、でもだからといって後何か活動できるわけでもなくて…ずっと布団の中にいた」

シェルターに入所して2週間になる30代前半の女性。

母親との関係がこじれて祖父の家で暮らしていましたが、その祖父ともうまくいかず、家を出たのだといいます。

祖父について、「すごい真面目というか厳しい人」と話す女性。

「仕事が続かない、何かちゃんとした生活ができないっていうのが、許せない感じで、どうしてもきつく言われることもあった」

実家や祖父の家で暮らしていたときは、精神的な苦しさから生活リズムや体調が崩れて、昼夜逆転生活を送っていました。

しかし、シェルターに入所してからは規則正しい生活を送ることができています。

シェルターを運営する小川遼さんは「全然昼夜逆転していただいて構わない。勝手にどうぞ夜型の暮らしを楽しんでくださいって感じ。自発的になりたい自分になる場所として使ってもらえたらいい」と話します。


支える側の若者が激減している

労福会は元々北海道大学の学生らが運営する団体でした。

しかし、そのメンバーはここ1、2年で急激に減っています。
コロナで学生の生活が大きく変わったことも影響しているといいます。

現在学生の会員は、事務局長で宮島学園(みやじまがくえん)北海道ファッション専門学校2年生の田中未唯さん1人。

そんな田中さんは「札幌にホームレスがいて、支援する団体があるということを、ホームレス本人だけでなく周りが知っていると、きっと役立つ。周知は必要」と力をこめます。

今回の調査には、北海道大学で労福会代表の山内さんの講演をきいた北大生など新たに9人の学生が参加しました。

初参加の大学生は「衝撃だった」と話します。

「いろんな選択肢が考えられる中で、寒い中外で寝泊まりをしようという選択に至った。自分もこの寒さにいながら歩いていてちらっと見たらホームレスが実際にいる。実際に見なきゃダメだと思いました」

生活に困窮する可能性は誰にでもあります。
だからこそ労福会は、気軽に相談できる団体を目指します。

山内さんは「ホームレスとか困窮者の人って、誰も助けてくれない。『お前駄目だよそれ』って言われ続けてきた。でも労福会は怒らない。そういうところがあったらいい」

決して他人事ではない、突然困窮に陥る可能性

新型コロナウイルスの流行を経験し、突然仕事や居場所を失って、貧困に陥るということも実際にあるわけで、決して他人事ではありません。

困窮者を支援する側も、厳しい状況での運営となっているようですが、家がない、食べるものがないなど、困ったときは『労福会』や『JOIN』という相談窓口があります。

『労福会』は、生活保護の申請のほか、新たな家や職探しもサポートしています。
『JOIN』は札幌市から委託を受けて相談やシェルターの運営をしている団体です。

●『労福会』
090-7515-8393

●『JOIN』札幌市ホームレス相談支援センター
0120-887-860(平日午前10時~午後6時)

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年2月7日)の情報に基づきます。

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