交通安全協会 意義発信し、活動続ける 非現金化で迫る変化の波
県内の警察署が3月から手数料の支払いにキャッシュレス決済を導入したことを受け、多摩と麻生の交通安全協会(安協)は、3月末に収入証紙の販売を終了した。今後、両安協では財源確保など組織運営にあたり難しい判断が迫られそうだが、現段階では地域の交通安全を守るという取り組みの意義を改めて発信しながら、活動を継続していく考えだ。
安協は、各警察署管内で交通安全啓発や広報、幅広い年代への教育活動を行うなど、地域安全の一翼を担う任意団体だ。
多摩と麻生の警察署にそれぞれ併設されている両区の安協では、運転免許証の更新に必要な収入証紙の販売、免許証郵送の受付、更新者の顔写真撮影などを担ってきた。その業務の際、協会への任意加入を呼びかけ、販売や業務の手数料に加えて、会費を交通安全活動の主な財源としてきた。
一方、神奈川県警では3月から、免許更新のほか車庫証明、道路使用許可などの申請時にかかる手数料の支払いに、クレジットカードや交通系電子マネー、コード決済などの「キャッシュレス決済」を導入。これに伴い県内では、収入証紙の販売、利用が順次終了することになった。
両安協も3月末に収入証紙の販売を終了。手数料の支払いは現在、各警察署の窓口で対応している。キャッシュレス決済の利用が難しい場合は、署内でもらえる納付書でコンビニなどでの現金支払いが可能だという。
重要性を発信
収入源の一つであった証紙の販売終了に加え、対面機会の減少により会員を直接勧誘できなくなることで、両安協では財源の確保が難しくなる見込みだ。麻生安協は、「会員の高齢化もあり、厳しさも感じる」と険しい表情を浮かべる。
だが、「まちのために交通安全運動は続けていきたい」と、現段階では両安協共に、窓口を現在の事務所に据え置き、活動を継続する意向。引き続き、交通安全啓発キャンペーンの実施や、町内会・自治会の会合などで、つながりを生かしながら、取り組みの重要性を呼びかけていく考えだ。多摩安協は「収支の推移を踏まえ、方針を見極める」と今後について語った。