TVアニメの放送やMyGO!!!!!との合同ライブ、フェス参加……Ave Mujicaが駆け抜けた半年間を佐々木李子さん&高尾奏音さんが振り返る|5th LIVE「Nova Historia」から始まる新たな歴史の幕開けと、その先にある理想のバンド像とは【インタビュー】
2023年4月より『バンドリ!』プロジェクトに登場したバンド「Ave Mujica」。
楽曲リリースやキャストによるリアルライブなど精力的に活動を続けていき、2025年1月からは、メンバー5人を主人公としたTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』が放送。
4月にはMyGO!!!!!との合同ライブ、さらには作品を越え、「JAPAN JAM 2025」「ANISAMA WORLD 2025 in MANILA」といったフェスにも参加するなど、昨年末から今年の上半期にかけ、世界にその名を轟かせるほどの大躍進を遂げました。
そんな怒涛の展開を経て、7月26日(土)・27日(日)に、LaLa arena TOKYO-BAYにて、Ave Mujica 5th LIVE「Nova Historia」が開催。
「Nova Historia=新たな歴史」の意味合いを持つ本公演の開催に際して、ドロリス/三角初華役の佐々木李子さん、オブリビオニス/豊川祥子役の高尾奏音さんにインタビューを実施。濃密な半年間の中で感じたことやライブパフォーマンスの変化、5th LIVEにかける想い、そしてこれから目指すバンド像などを存分に語っていただきました。
※以下、5th LIVEの公演内のネタバレを一部含みます。
【写真】Ave Mujica・佐々木李子&高尾奏音が怒涛の’25年上半期を振り返る/インタビュー
MyGO!!!!!との合同ライブで二人が交わした「音での会話」
――昨年4月掲載のインタビューぶりに取材させていただくのですが、待ち時間や撮影中は以前と変わらず……というより以前にも増して仲睦まじい印象を受けました。Ave Mujicaのメンバーの皆さんはずっとその印象があるのですが、どうしてそんなに仲が良いのでしょう?
高尾奏音さん(以下、高尾):なぜなんでしょうね?(笑) 自然に仲良くなりました。
佐々木李子さん(以下、佐々木):うん。フィーリングが合い過ぎてる。
高尾:それが演奏にも表れていたりして、視線を送るだけで音が合ったりします。
佐々木:逆に音だけ聴いて「あ、今日こういう気持ちかな」と分かったり!
高尾:分かる! ライブの日のコンディションとか気持ちが、演奏と声で分かるから、それに合わせてちょっと演奏を変えたりしています。
佐々木:それぞれ個性はみんな違うけど、向かう先は一緒だし、心地いいよね。
高尾:あと、みんな向上心があって、その努力する姿を近くで見ているから、より共感できるんだと思います。
佐々木:ただ好きなだけじゃなくて、ちゃんと尊敬できるみんなだから、会うたびに元気が出ます。ちょっと落ち込んでいるときも、バンド練習の後はすごく回復している気がします。
高尾:私も。バンド練習がリフレッシュ方法かもしれない……!
佐々木:メンバーにもスタッフさんにも恵まれていて、そしてそれは当たり前じゃないということを、感謝の気持ちを忘れずに活動しています。
ただ仲が良いだけじゃなくて、ちゃんと何でも言い合えるのがいいなと思います。私たちが何か思うことがあったら、プロデューサーに言っちゃうときもあって(笑)。でもプロデューサーも遠慮せずに言ってくれるので、そうやって、みんなで一つのものを磨きながら、作っていけるのがいいチームなんだろうなと思います。
高尾:「このチーム、メンバーじゃなかったら、途中で心が折れていたな」と思うことが今まで何回もあって。周りの人に支えられて今があることをバンド活動を通してすごく感じています。
――音を聴いてコンディションが分かるようになった、と仰っていましたが、そう感じるようになった具体的なタイミングはあったのでしょうか?
佐々木:ハッキリと確信したのは、MyGO!!!!!との合同ライブ「わかれ道の、その先へ」(4月26日・27日開催)のときです。1日目はあまりのんたんと目が合わなかったんですが、それはたぶんオブリビオニスとしての彼女から「わかれ道の狭間の気持ち」みたいなものを感じたからなんだと思います。音を聴いて「あ、今じゃないかも」と思って、あえて私だけ一方的に見つめたりしていました。
高尾:打ち合わせとか何もしなかったけど、よく分かったね!?
佐々木:逆に2日目は……!
高尾:めっちゃ合ったよね!
佐々木:音を聴いて「あ、今見てくれてるかも……(高尾さんの方を向いたら)やっぱり見てる!」と。1日目と違って、すごく近づいてみたりして。
高尾:確かに2日目も特に打ち合わせはしていなかったんですが、なぜか触りたくなって引き寄せたりしました(笑)。
佐々木:本当に「音で会話した」感覚でした。みんな心は一つに繋がっているから、今後何が起きても大丈夫だと強く思いました。
高尾:私は「Symbol III : ▽」をライブでやり始めた頃かな。声から「今こういう気持ちなんだ」「こういう風に今日はやるつもりなんだな」と本番で感じ取って、ちょっと合わせて強弱を付けるようになりました。
合同ライブでは、1日目はアニメの演出に沿った形でパフォーマンスをやらせてもらって、2日目はアニメからアレンジした私たち(演者)の部分も出していくパフォーマンスの仕方だったんですが、今の話を聞いて、私が祥子の気持ちで演奏しているときに、そうやって感じてくれていたんだ、というのが分かって嬉しくなりました。
佐々木:「Symbol III : ▽」もそうだし、「Georgette Me, Georgette You」もキーボードとボーカルのみのパートでは、私に合わせてくれていて。例えば、私が呟くように歌うと、ピアノの音色で寄り添ってくれるので、本当にすごいなと思います。
高尾:逆に私は、その道しるべを作ってくれることがすごいと思う。りこちが「こうしよう」と歌声に出してくれるから、それに付いていくことができるんです。
佐々木:いやいや。私はあの「ドゥルン♪」という前奏を聴いて「あ、わかった」と歌っているので。音でラリーしている感覚です。
――そういった感覚は、おふたりの間だけでなく、他のメンバーからも感じるものですか?
2人:みんなあります!
高尾:私、めいしゃん(ティモリス/八幡海鈴役・岡田夢以さん)が調子がいいときすごく分かる。「あ、今日ノリノリだな」って。
佐々木:私は、ゆづむん(モーティス/若葉睦役・渡瀬結月さん)がギター仲間なのもそうですし、(渡瀬さんのいる)上手側のイヤモニの音を大きめにしてもらっていることもあって、より合わせやすい気がします。「あ、今日はけっこうガツガツ来ているな」というときは一緒にユニゾンしたり。
あかねん(アモーリス/祐天寺にゃむ役・米澤茜さん)のドラムも、日によって少し違ったりしていて。
高尾:あかねんのドラムは本当にその日の感情が出ているというか。
佐々木:素敵だよね。まったく同じに叩かずに、その日その日でちょっとアレンジする瞬間があったりして、一緒にやっていて楽しいです。
高尾:「次は何が来るかな?」って、一緒にジェットコースターに乗っている気分みたいな。
「何が来るか分からない」で思い出したんですが、合同ライブの「八芒星ダンス」のときのゆづむんのギター回し。あれは本番で成功した瞬間、全員がいい顔してたよね!
佐々木:誇らしかった……! あかねんとか泣いてなかった?
高尾:リハのときね(笑)。
佐々木:でも分かります。すごく努力していたので。本番ではサラリとめっちゃカッコよくやっていますが、やっぱり簡単にはできないんですよ。実は私、ゆづむんが初めてギター回しに挑戦したとき、たまたまスタジオに一緒にいたんです。本当にドキドキしながら、でも覚悟を決めて、「どうなってもいいから、とにかく中途半端じゃなく全力でやります!」と言っていて。
高尾:前日の夜に「今すごく不安なの」ってメッセージが来たりもしたんですが、いざ本番ではあのカッコよさ。努力が表れていましたよね……!
アニメのラストは、暗闇の中にいたからこそ、かすかな光が眩しく見えた
――今年1月からのTVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』を皮切りに、アニメ・リアルバンドと共に濃密な上半期だったかと思います。
高尾:そうですね。目まぐるしいというよりは、ひとつひとつが濃すぎてむしろ長く感じました。
佐々木:そうだね。私も夢の中にいる感覚というか。1月からアニメが始まって、電車に乗ってふと車内を見たら、自分たちが演じているキャラクターのポスターがあって、世界中をAve Mujicaがジャックしているのが本当にすごくて。
アニメをやっとみなさんにお届けできた嬉しさもありつつ、でも一筋縄ではいかない物語なので、みんなの感想もいろいろあって。それを見たり、自分で考察していると現実世界を忘れるというか。この“アニメムジカ”の世界観の中で生きているような感覚がありました。
高尾:確かに、「作品の中で生きている感覚がした」ってすごく分かるかも。収録自体はけっこう前に終わっていたんですが、アニメの放送中も、ちょっと自分のキャラクターの置かれている状況と自分の心情がリンクしちゃう瞬間があって。放送中はけっこうナイーブでした(笑)。
――祥子にリンクしてしまったら、かなり精神的に参ってしまいそうです。ご飯もまともに食べられなくなりそうな……?
高尾:はい、まさにご飯がおかゆのときもありました。「おかゆ食べながら卒論書いてます」みたいな写真をLINEグループに貼ったり(笑)。
佐々木:バンド練のときも、曲の雰囲気に引っ張られていたというか。そんなのんたんを見て心配しつつも、その姿がカッコよくて、アーティストだなって思いました。憑依してるみたいで。
高尾:自分でも制御できていなくて、「あ、これはとんでもない状況だぞ」って思いました。いつも練習のとき、泣いていたもんね。でもみんな慰めてくれる。
佐々木:本当にみんなで支え合いながらの半年間でした。
――それこそ作中の初華と祥子、ひいてはバンドとしてのAve Mujicaのラストも人によって色々な感想や受け止め方があるんだろうなと思いました。
高尾:当時の気持ちを忘れないようにしようと思って、スマホにメモしていたんです。(その場で確認すると)「生きた心地がしない」とありました。走馬灯を見ているような、まだ夢の中のような感じで。プラスにもマイナスにも捉えられない、不思議な感情でした。
佐々木:「人生って難しいな」という気持ちになりました。でも私個人としては……救いがあったかなと。すごく辛い暗闇の中にいたからこそ、かすかな光がより眩しく感じるラストになっていたなと思います。
高尾:私のスマホのメモにも「幸せな憂鬱」って書いてある。「こんな言葉がぴったりとあてはまる世界だった」「闇を抱えているのに光を見ているような」と。
佐々木:表裏一体だと思います。闇があるからこそ、かすかな幸せを感じられたりもするから、全ての苦しみも悲しみも無駄じゃないし、そういう黒い感情も抱きしめて進めるバンドって強いじゃないですか。それこそがAve Mujicaだなと思いました。
――アニメの展開に引っ張られるとなると、「KiLLKiSS」のフリーライブ(2月2日開催)はタイミング的により大変だった気も……。
高尾:あのライブだけは、(アニメの展開とは)切り離してできたかもしれません。
佐々木:あのライブは、初めて仮面を付けずに演奏しましたが、アニメも始まって、キャラクターの内面もそれぞれ見え始めていたので、全てを解放するような、「見てください! 仮面を取った私たちのありのままの姿を!」みたいな気持ちでした。
高尾:無料配信もされて、世界中の人が見られる状況だったので、アニメはもちろん、「Ave Mujica」というバンドとしても知ってもらえるきっかけになったらいいなという気持ちもあり、いつものライブとパフォーマンスを少し変えていた気がします。
佐々木:確かに、「バンドとして見てほしい」という気持ちでもやりました。実際、そこで知ってくださった方もきっと多かったと思います。
高尾:先日もリリースイベントのお渡し会のときに「いつから応援してくれていますか?」と訊いたら、フリーライブと答えてくださった方がけっこういました。
佐々木:嬉しいよね。私たちの世界観ってダークで、メタルで、ちょっと怖いと思う方もいるかもしれないけど、フリーライブは来やすかったのかも。
高尾:まだ足を踏み入れていない方はぜひ来てください! 一度入ったら抜け出せないはずなので。
佐々木:いつでもようこそ、お待ちしております(笑)。
仮面を外すようになってからも、“見えない仮面”はずっと付けている
――バンドの立ち上がりから数えると、1年半以上は素顔を見せずにステージに立っていたわけですよね。仮面を取ってパフォーマンスする上で心境の変化などはあるのでしょうか?
高尾:私は変わったと思います。仮面を付けていると、やっぱり表情が固定されてしまうので、演奏でしか感情が出せないんですが、外してからは自分がどんな表情もできるので、そのときに思っていることとか、キャラクターの心情をより出せているなと思います。
佐々木:0th LIVE「Primo die in scaena」のときはローブを着たり、以降も仮面を付けていましたが、個人的にAve Mujicaのステージは「鎧を着て戦いに行く」ような気持ちがあって。でも仮面がなくなっても、私は逆に変わらなかったかも。ドロリスがそもそも生まれたときから仮面を付けているような存在なので。(衣装としての)仮面を外しても、「Ave Mujicaのドロリス」という概念的な仮面を付けている感覚で、その曲ごとの主人公になっている感じがします。
……もちろん(物理的に)視界が開けたという意味では変わっていますけど(笑)。みんなの仮面も外れて、「もっとみんなを見て!」という気持ちは強まりましたが、私は“見えない仮面”をずっと付けている感覚があるかもしれません。
高尾:カッコいい……!
佐々木:Ave Mujicaの世界観が綿密に構築されているからこそ、素のままでは歌えない、何かを降ろさないとできない気がしています。ライブ中は役に入り込み過ぎてトリップしちゃうこともあって……自分自身がAve Mujicaに落ちていく感覚というか。
高尾:前に幽体離脱した、みたいなこと言ってなかった?
佐々木:そういう瞬間もある(笑)。自分でもすごく不思議な感覚なんですが、(キャパシティを)限界突破しているのかもしれないです。ギターを弾きながら歌って、その曲の内容も簡単には歌えないもので……というギリギリの状態で神経を研ぎ澄ませながら表現していると、何かこう、離脱していって。どこか第三者的な視点で歌っている瞬間があります。
高尾:たぶん、りこちの才能なんだと思う。
佐々木:ちょっとうまく言葉にできないんですが、この感覚はもっと研究していきたいなって。「佐々木李子」として歌っているときには起きない、Ave Mujica限定で起きる現象ですね。キャラクターたちもそれぞれの道があって、過去があって、いろいろなものを背負ってきているからこそ、リンクしているのかなと。その間は精神も魂も削りながら音に込めている気がします。
――高尾さんもそういった感覚はあるのでしょうか?
高尾:私も演奏しているときに、実際はどこにも痛みはないのに、すごく“痛い”瞬間があって、Ave Mujicaでしか感じたことのない感覚があります。Ave Mujicaのライブをやるたびに、寿命がちょっと削れている気がする……もちろんいい意味で! いい意味でですよ!(笑)
――生を実感できるということですね。
高尾:そうです! 命を感じています。
佐々木:なるほど。「LIVE」ってそういう2つの意味があるんだなって。
――たしかに。「生きる」と……
高尾:「死ぬ」!?
佐々木:いや、「生の(演奏)」(笑)。
一同:(笑)
高尾:そういうことか。ごめんなさい……(笑)。
佐々木:でもまさにライブをするたびに生きている実感を、命を感じています。それはきっとファンの人も同じ気持ちなんじゃないかなって、合同ライブのときに思いました。SNSを見ても、アニメが終わって、それぞれの想いを抱えながらライブに来てくださっていて、ただ「楽しみ! 遊びに行くぞ」というだけじゃない感じが空気感から伝わってきて。「戦いに行くような気持ちで来ました」みたいなコメントもあったりとか。
実際にライブをしていても、劇中で流れる曲を披露しているときは、そのシーンのことが蘇ってきて、一緒にちょっと苦しくなったり、切なくなったりするのを楽しんでくれて。もちろん笑顔も多く見られたけど、痛みも一緒に共有できた、同じ熱量でライブを受け止めてくれたことが嬉しかったです。ファンの人にも感謝ですね。
高尾:確かに。一緒に人生を歩んでいる感覚があります。Ave Mujicaのライブは芸術に近いような気がしていて。個人的に芸術は、おもしろい、楽しい、ハッピーなものだけではなく、苦しい、辛い、消えてしまいそう、みたいなネガティブな感情すらも美しさに変えてくれるものだと思うので。そういった感情も表現することで、誰かに生きる意味を少しでも与えられているんじゃないかなと自負していて、嬉しくなります。やりがいがあるなと。
――ただ楽しみ、盛り上がりつつも、見入ってしまう感覚もあるというか。
佐々木:呆然と立ち尽くして観ている方も(ステージから)見えたりします。
高尾:スタッフさんに演出や構成を説明されたときに、「あ、ここきっとファンの人驚くだろうな」と思うポイントがあったり、そういうのを考えるのもライブ作りで楽しいところです。
佐々木:本当にみんなで一緒にライブを作っているなって。演者もスタッフさんもファンの人も、みんなでその世界を楽しんでいるなと思います。
高尾:その三者が揃っているからこそAve Mujicaの世界は成立していると思うので、ぜひ皆さんも一緒に作っている感覚になっていただけたら嬉しいです。
――作品の枠を飛び出して、「JAPAN JAM 2025(5月5日)」「ANISAMA WORLD 2025 in MANILA(6月7日)」といったフェス形式のライブへの参加もありました。
佐々木:これはもうやっぱりですね、「Unmask」がキーワードです!
高尾:急に口調が変わった(笑)。
佐々木:「Ave Mujica」というバンドとして、アニメをまったく知らない方にも、とにかく音を楽しんでほしい、ちゃんと音をぶつける気持ちで行くぞと意気込んでいました。なので、あえて作りこみ過ぎないというか、全然リハでやらなかったことをしたりもして。その瞬間に心が動いたままに演奏したり、歌ったり、語りかけるのが、普段のライブとはまた違った楽しさだと思います。
高尾:まずMCがあって演者として喋ることが、普段のAve Mujicaのライブではありえないので。それも特別感がありますし、いい意味で行き当たりばったりというか、そのときに吹いた風に乗ろうと。お客さんの反応を見て、自分のテンションも上がって、その気持ちをパフォーマンスに乗せたりとか、相乗効果でライブを作っている感覚があって、普段の作り込まれた世界観とはまた全然違いました。
佐々木:それに普通にフェスとしても楽しんでいました。出演前にはいろんなアーティストさんのステージをみんなで見に行ったんです。それぞれバンドの個性があって、それぞれの音の芯を感じられたので、そこからもらった刺激で「Ave Mujicaをもっと広めたい!」という気持ちになりました。「アニメのバンド」の枠をいい意味で越えられるように頑張ろうと思いました。
高尾:日によって全然違うものが生まれてくると思うので、Ave Mujicaのライブは一回でも逃しちゃうとダメだと思うんです。全部に意味があるので、全部見届けてほしいと思います。
佐々木:確かに、空気感も気持ちも、毎回全然違うからね。
――「ANISAMA WORLD 2025 in MANILA」は、海外でのフェスということもあってまず環境から違いましたし。
佐々木:いろいろな場所でライブができて、本当にありがたいなと思います。マニラは、私としては珍しく、直前に少しだけ不安感が生まれて。
高尾:確かに。珍しいと思った。
佐々木:でもステージに立ったら、不安がなくなったどころか、むしろ元気になったんです。私はライブで自分の気持ちを放出するだけじゃなくて、ライブからいろんなものを吸収してパワーにするタイプなんだって、そこで改めて気付きました。
高尾:私は逆に不安はまったくなかったです。いつもの慣れている地じゃないからこそ、「ここでなら何をやっても大丈夫!」みたいな謎の自信があって。ファンの皆さんがすごい熱量で盛り上げてくださるから、それに応えようという気持ちでした。
佐々木:言語や文化が違っても、歌や音は伝わるんだって改めて思いました。いろんなアーティストさんとコラボもさせていただいて、すごく楽しかったです。
高尾:あとはシンプルに、海外にも応援してくださる方がいることを実際に感じられて嬉しかったです。
作品を越え、バンドの歴史に「Ave Mujica」の名が刻まれるようなライブを、これからもし続けていきたい
――さまざまな経験を経て、今のAve Mujicaは乗りに乗っている状態だと思いますが、そんな中で5th LIVE「Nova Historia」(7月26日・27日)が開催を控えています(取材時点)。
高尾:「Nova Historia」、“新たな歴史”という意味合いですが、ここを乗り越えたら、私は新しい景色を見られる気がしています。
佐々木:タイトル通り、新たな歴史になると思います。私はライブの流れを把握して、自分の中でかみ砕いて、パッと思い浮かんだ単語が「天変地異」でした。
高尾:私はあのセトリをもらった瞬間から十字架を背負っています(笑)。
佐々木:楽しみですね。「私たち、行くところまで行くしかないな」って。
高尾:今回、プロデューサーにマネージャーと2人で呼び出されて、セトリを聞いたんです。そこで、「グランドピアノの独奏、できますか?」と。もしこれを皆さんにお届けできたら、Ave Mujicaにとって新しい扉になるし、高尾奏音という個人としても、今までの頑張りが報われると思ったので、今ヒーヒー言って、練習しています。
佐々木:私たちメンバー4人もセトリをもらって、スッ……てのんたんを見ちゃったよね。高尾奏音といえば、幼少期からいろいろな場所で音楽の基礎を培ってきていますから。これは私も普通にファンの気持ちで楽しみというか、早くリハで見たいなと。
高尾:こういう風にメンバーが言ってくれるって、優しいですよね。スタッフのみなさんにも「じゃあ高尾に任せてみよう」と思ってもらえたことが嬉しいですし、メンバーのみんなも側にいてくれてよかったなって思います。
佐々木:でもいいタイミングだよね。ファンの期待値が上がっている今これをやったら、みんな「神!」ってなるよ。
高尾:わたくしがAve Mujicaを神にしてみせます。Ave Mujica、全員を。
佐々木:嬉しい……! それと、のんたんだけではなく、メンバー各々にも課せられたものがあって。テンプレートにならない、みんなが予測できないライブにしようとプロデューサーからお話がありました。裏を返すと、「何をしてもいいよ」と。
高尾:本当にその通りに言っていました。「打ち合わせなしで何をしてもいいです」って。そんな状態の私たちだから、きっと2日間は同じライブに絶対ならないんですよ。自分でも予測できない。皆さんと一緒で、何が起きるんだろうなと思っています。
佐々木:一緒に天変地異を楽しみたいです。みんながどのようにライブをするのか、自分がどういう動きをするのか。全てを裏切りながら、楽しんでもらいたいですね。
高尾:みんなをいい意味で裏切りたいね。
――5th LIVEでは冬の単独ライブと、来年のツアーが発表されるとお聞きましたが、こちらについてはいかがですか?
高尾:正直、この5th LIVEが終わらないと、今後のライブがどうなるか分からなくて……!
佐々木:でも早くやりたい気持ちもあって。ツアー(※)は今、MyGO!!!!!ちゃんがやっていて、いいなー!って思っていました。私たちも、いろんな場所をムジカ色に染め上げたいなという気持ちに燃えています。
※MyGO!!!!! ZEPP TOUR 2025「心のはしを辿って」/7月1日~8月7日
高尾:確かに。「ツアーをやってほしい」というファンの方の声に応えられるのも嬉しいです。場所によって空気感も変わってくるんだろうなと。それも予想できなくて楽しみです。
佐々木:おいしいものも食べたいし。みんなとの思い出がいっぱいできるのも嬉しい。みんなと同じ時間をいろんな場所で共有できるし、もしかしたらまだ知らないみんなの一面も見れるかもと思ったり。より絆も深まって、強靭なバンドになるんじゃないかなって。
高尾:ツアーを乗り越えたら、絆すごそうだよね。
――5th LIVEから、Ave Mujicaの新たな歴史が始まるわけですが、今後目指したいバンド像を教えてください。
高尾:いい意味で、アニメを飛び越えていきたいです。
佐々木:「バンドとしても大きくなっていきたい」というのが一番で、私としては、合同ライブもそうだったと思うんですが、「伝説になるライブ」をもっと残していきたいです。『バンドリ!』の歴史はもちろん、バンドの歴史にもAve Mujicaの名が刻まれるようなライブを、音楽をし続けられるバンドにしたい。Ave Mujicaを永遠にしたいです。
高尾:うん。永遠に音楽したい。
佐々木:でも本当に大変なことだと思うんです。「続ける」ってすごく難しい。
高尾:本当にそう!
佐々木:ただ同じようにやるだけじゃダメで、進化し続けていかないと。ファンの期待を越えるライブをし続けていくことは、きっと大変なことも多いと思うんですが、今までいろんなことを乗り越えてきたこの5人だったら絶対に大丈夫。皆さんの人生に刻まれるようなライブをできる、そんなバンドになっていきたいです。
高尾:活動を続けていく中で、作品を越えて、「バンド・Ave Mujica」としても世界的に羽ばたいていきたいです。そう思えるようになったのは、やっぱり“共犯者(ファン)”の皆さんの熱量や、メンバーとの絆、スタッフさんの温かさがあったからこそだと思います。それに対する恩返しとして、皆さんにいろんな景色をお見せしたいと思います。……どこか上から目線に聞こえるかもしれませんが(苦笑)。
佐々木:いいと思う。その強さがAve Mujicaだから。
高尾:いろんな世界を皆さんにお見せしたいし、私も一緒に体験できるバンドになりたい。「Ave Mujica=神」というバンドになりたいです。だから、どこまでもついてきてほしいと思います。
[インタビュー・編集/鳥谷部宏平 文/篭法 撮影/小川遼]